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たんぽぽ舎です。【TMM:No1304】
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その289 ◆
4つの情報をお知らせします(1月8日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.北風に要注意
特に高齢者と乳幼児はマスクをするか、外出を避けること(山崎久隆)
★2.<テント日誌 1/3(火)>
全国から届けられた年賀状のご紹介
―― 経産省前テントひろば 115日目 ――
<テント日誌 1/4(水)>
脱原発新年餅つき大会は盛大に!
誰もかも 心ひとつの テント前
―― 経産省前テントひろば 116日目――
★3.読者から(イベントのおさそい)
3-1.「第18回社会運動ユニオニズム研究会」(1月10日締切り)
3-2.「大逆事件と誤った処刑」院内集会のご案内:1月24日(火)昼
★4.処理水の有害物質放置
福島第一、原子炉の臨界・腐食防止に使う化学物質も「汚染水」と一緒に
放出、更なる海洋汚染 (2012.01.06東京新聞 一面より抜粋)
★1.北風に要注意
特に高齢者と乳幼児はマスクをするか、外出を避けること
恐れていたことが起きているようです。このブログは嘉指信雄さんに教えて
もらいましたが、中部大学の武田教授のブログです。
http://takedanet.com/2012/01/post_d320.html
要旨は、関東地方(福島以南)でセシウム濃度が急激に上がっているという
ことです。
私が過去に話をさせていただいた機会に「冬は北風に気を付けて」と言って
いましたが、それが現実になっています。
特に、年末年始から現在に至る時期、北風が強く吹いています。
この風に乗って、北関東一帯に降り注いでいた放射性物質が再浮遊をしてい
ます。
セシウムやヨウ素です。
ヨウ素131は半減期が8日なので、もう検出されないかと思っていました
が、多摩地区の下水処理場の乾燥汚泥から最大170ベクレル/kg(北多摩
一号水再生センター (府中市小柳町)ものヨウ素が検出されています。(12
月15日~20日)同時期のセシウムより多い量です。
これもまた、北関東からの再浮遊と考えた方が良さそうです。
今後は、北風が吹くような時は外出を控えるか、マスクを着用する。残念な
がら窓はなるべく開けないなどの対策が必要であろうと思われます。
(山崎 久隆 YAMASAKI Hisataka <vfa01742@nifty.com>)
★2.<テント日誌 1/3(火)>
全国から届けられた年賀状のご紹介
―― 経産省前テントひろば 115日目 ――
「案ずるより産むが易すし」というがテント前広場の年末年始の特別態勢は
成功裡の内にやり抜けた。12月29日から1月3日はそれぞれ忙しさに追わ
れてテント広場も手薄になるのではないかと懸念したのだけれどそれは杞憂だ
った。
この日誌でも報告されているように、多くの企画が持ち込まれそれぞれ盛会
だったのである。レーバーネットのみなさんが寒風に晒されながらネットの生
中継をやっていただいたのも大きかった。テント前から大NHKに対抗して紅白歌
合戦や「いく年くる年」などが行われるなんて以前なら想像できなかったこと
である。
そうは言っても多くの皆さんが様々の形でこの期間を支えていただいたから
こそ、事態はうまく行ったのであり、あらためて感謝をしたい。一人ひとりの
力で支えあって維持されているテント広場であるが、それが発揮されたといえ
るのだろう。
この期間を利用してテントを訪れるという人は多かったが、今日も仙台や愛
知、あるいは横浜の人たちが来られた。仙台は東日本大震災で被災した地方で
あり、現在も復興や復旧に大変であるが、放射能汚染については新宿並みとい
うことで福島との落差を感じられているとのことだった。
復旧が進むにつれて同じ被災地でも原発震災や放射能汚染をめぐる差異はで
てくるのであろうが、どうしていいのか悩んでいるとのことだった。これは切
実なことであるように思える。
愛知の方は地方では運動が停滞しているという実感を持っておられるようで
あった。今年の反原発運動を暗示しているかも知れないと感じさせるようでも
ありこころに残った。
12月27日の日誌で年賀状のお願いをしたのであるが、ちょっと遅すぎた
かなというのがテント内の声だった。それでも現在、55通程頂いている。こ
れらはほとんど12月27日以前に投函されたものと推定されるから今後もっ
と増えると思える。地方(首都圏以外)の方が半数以上であるが、少し紹介さ
せていただく。
「寒風の中に起つ皆さんの姿に勇気をもらって新しい年を迎えております。
富山の雪空のなかでも″原発いらんちゃ″と北陸電力本社前で行動をいたして
おります。共に連帯のこころをお届けします」(富山のTさん)。
「日々御苦労さまです。私も自分の住んでいるところでできることをやって
いこう、とテント広場でがんばっておられる方に励まされています。ありがと
う?」(滋賀のMさん)。
「新しい年がきました。私と息子は埼玉から岡山へ年末に疎開しました。部
屋探しに行く日に、テント広場に寄りました。さむかったです~。毛布を貸し
て頂きしばらく座りました。みなさん、体に気をつけてくださいね。私と息子
(4才にしてデモ7回参戦です)も岡山で元気に脱原発に向けて頑張ります」
(岡山のMさん)。4才の息子さんの元気な姿が印刷されていて、思わず心が
なごんだ。
「30年年賀状を書いたことありません。今日、そちらに伺い、急いでハガ
キを書きました。また、遊びに行きます。皆で共に歩いて行きましょう」(館
山市のMさん)。30年ぶりの年賀状をありがとう。
1月4日からはテントも通常(?)の態勢に戻る。そして、今年の決意をこ
めた餅つきがある。拳を挙げての歌ではなく餅つきがテント広場の決意という
のもいいと思う。美味しいお餅を想像したら明日の楽しくなった。
(M/O)
今日は、夕刻から椎名さんを案内して、山谷の越冬闘争に参加する。山谷に
着いたのは、5時近く、配食を始める前の連絡のハンドマイクをお借りして挨拶
をさせていただきました。橘がまず、福島弁で経産省前で原発をなくすための
テント闘争が展開されていること、デモやテントでの交流など、山谷の仲間た
ちとの共闘は、大変心強い、今年もよろしくお願いします。そういうお話をし
て椎名さんをご紹介。
「野宿を強いられる人々の困難な生活、放射能の危険にさらされる福島の
人々、共に状況は厳しいが国が弱者を切り捨てていくことを許さず、命を削っ
てでも立ち向かって闘って行きたい」という彼女の渾身のスピーチに山谷の仲
間たちから拍手が沸き起こる。昨夜の渋谷の越冬闘争とは打って変わり、人い
きれがセンター前の路地一帯を圧倒するような寄せ場での炊き出しの雰囲気は
独特のものがある。 (タッチー)
<テント日誌 1/4(水)>
脱原発新年餅つき大会は盛大に!
誰もかも 心ひとつの テント前
―― 経産省前テントひろば 116日目――
1月4日(水) 晴れ 後曇り
今日は新年餅つき大会である。天気は晴れ、風もなく穏やかな陽気。12時
頃にはテント前はもうたくさんの人が集まっている。第2テントの横に臼が置
かれ、テント前には、つきあがった餅を丸めてあんこ、きな粉、おろし、納豆
をまぶして食べられるように、用意が調えられている。餅米を蒸すのは公安の
了解の下、日比谷公園で行うことに。が、公園事務所は許可せず、やむなく公
園と歩道の境の空間で公安が見守る中、2人行ったそうだ。ところが、30分
もした頃、丸の内署の制服警官20名程が撤去!と叫びながら押し寄せ取り囲
む。で、やむなく撤収。
取りあえず最初のぶんをテントに届けた後、急遽、テントの弁護対策をして
いただいている弁護士さんの法律事務所に移動して、なんと法律事務所内で餅
米蒸しをさせていただく。
予定の1時を少し過ぎたところでいよいよ餅つき開始。一斉に臼の前には黒
山の人だかりが。そしてつきあがると、この餅をもっての各省庁への挨拶回り
の出陣式。
椎名さんが挨拶文を読み上げる。経産省、財務省、文科省、外務省、農水
省、厚労省の6つの省庁を4人が正装して回るも、各省庁はお餅の受け取りは
拒否。挨拶文は受け取ったそうであるが。
そのあとは次々とつきあがってくるお餅をみんなでいただく。豚汁の炊き出
しもあり。ともかく、警察の介入や経産省の査察などもありつつも、無事、餅
つき大会は大成功のうちに終わった。参加者は総数150名にも及ぶ程に。
その熱気が冷めやらぬうちに、川柳大会が行われ、乱鬼龍さんの選定により、
標題の句が優秀賞を獲得。
~ 誰もかも 心ひとつの テント前 ~
─────・─────・─────・─────・─────
☆☆テントひろばへの抱負、期待、要望、意見など、
様々な思いを寄せて下さい。可能な限りテント日誌でご紹介します。
またそれらを集めた「テントひろば通信」の発行も考えています☆☆
郵便なら、
〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-3-1 経産省前テントひろば
メールなら 電子メール アドレス : tentohiroba@gmail.com へ。
実名・ハンドルネーム・イニシアル・匿名なんでもありです。
地域名、年齢、性別は記入していただくとありがたいです。
( Y・T )
★3-1.第18回社会運動ユニオニズム研究会(1月10日締切り)
http://socialmovementunionism.blogspot.com/
福島の子供たちの現状と『子供たちを放射能から守る福島ネットワーク』の
活動について
日時:2012年1月14日(土)13:00~16:30
会場:明治大学駿河台キャンパス研究棟2階第9会議室
地図:http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
(高層のリバティータワーを入り、左手奥の出口を抜けると研究棟1階入口で
す)
ビデオ『フクシマ原発震災~被災者の声をたどる旅』上映(制作:LaborNow)
テーマ:福島の子供たちの現状と「子供たちを放射能から守る福島ネットワー
ク」の活動について
報告:佐藤幸子さん(子供たちを放射能から守る福島ネットワーク)
主催:一橋大学フェアレイバー研究教育センター、明治大学労働教育メディア
研究センター、Labor Now
参加申込み:配布資料準備の都合上、参加希望者は1月10日までに、高須宛ご
連絡下さい。
連絡先:h_takasu(at)jca.apc.org (at)を@に置き換えて送信下さい。
★3-2.「大逆事件と誤った処刑」院内集会のご案内 1月24日(火)昼
大逆事件とは、自白強要や証人申請が全く認められない中で、1910年12月10
日に裁判が始まり、1911年1月18日に判決が大審院一審だけで出たスピード裁判
です。
判決からわずか6日後の1911年1月24日の日に、幸徳秋水たち11人が処刑さ
れ、菅野スガは翌1月25日に処刑、他の12人が無期懲役になりました。
この大逆事件は、冤罪、表現の自由、民主主義への弾圧という観点など、多
くの観点から考えなければならない重要な事件です。
昨年に引き続き、大逆事件の意味、その今日的な問題を皆さんと共有する会
としたいと思います。ぜひ、ご参加ください。
日時:2012年1月24日(火)12:00~13:30
場所:参議院議員会館講堂(1階、入口で通行証をお渡しします)
講演:鎌田慧(ルポルタージュ作家)「政治裁判を問う」
田中伸尚(ノンフィクション作家)「過去の声にどう応えるか」
大岩川嫩(「大逆事件の真実をあきらかにする会」世話人)
「大逆事件101年目の真実」
この他にリレートークも予定あり
資料代:500円
問合せ:福島みずほ事務所(TEL:03-6550-1111、事前予約は不要です)
★4.処理水の有害物質放置
福島第一、原子炉の臨界・腐食防止に使う化学物質も「汚染水」と一緒に
放出 更なる海洋汚染 (2012.01.06東京新聞 一面より抜粋)
福島第一原発で、高濃度汚染水を処理した水には、腐食防止などのため大量
の化学物質が含まれ、この水が海に放出されると、放射性物質とは別に汚染を
引き起こす可能性のあることが、東京電力などへの取材で分かった。水は原子
炉の冷却に使われるが、建屋地下への地下水流入で、使い切れないほど水量が
増え、既設タンクは残り容量が少ない。混ぜられた化学物質はいずれも有害だ
が、東京電力も国も、この問題を放置している。
投入されている化学物質は、ホウ酸やヒドラジン。(中略)いずれの物質も
人体に悪影響がある。ホウ酸はゴキブリの駆除剤にも使われ、人間が吸い込む
と、吐き気や下痢などの症状が起きる。ヒドラジンは、皮膚に触れると激しく
ただれ、体内に取込むと中枢神経や肝臓、腎臓の機能障害を引き起こすとされ
る。そのため、水質汚濁防止法などにより規制がかけられている。
汚染水の場合、放射性物質にばかり目が向けられがちだが、外部への放出と
なると、こうした化学物質による海洋汚染も無視できない問題となる(中略)
東電は14万トンの処理水タンクを準備しているが、早ければ三月にも満杯
になる可能性がある。(中略)
東電担当者は、放射性物質に関しては「仮に放出する際は、可能な限り浄化
する」としているが、化学物質となると「現時点では特に検討していない」と
いう。
環境省も、化学物質の問題には着目していない。
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その289 ◆
4つの情報をお知らせします(1月8日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.北風に要注意
特に高齢者と乳幼児はマスクをするか、外出を避けること(山崎久隆)
★2.<テント日誌 1/3(火)>
全国から届けられた年賀状のご紹介
―― 経産省前テントひろば 115日目 ――
<テント日誌 1/4(水)>
脱原発新年餅つき大会は盛大に!
誰もかも 心ひとつの テント前
―― 経産省前テントひろば 116日目――
★3.読者から(イベントのおさそい)
3-1.「第18回社会運動ユニオニズム研究会」(1月10日締切り)
3-2.「大逆事件と誤った処刑」院内集会のご案内:1月24日(火)昼
★4.処理水の有害物質放置
福島第一、原子炉の臨界・腐食防止に使う化学物質も「汚染水」と一緒に
放出、更なる海洋汚染 (2012.01.06東京新聞 一面より抜粋)
★1.北風に要注意
特に高齢者と乳幼児はマスクをするか、外出を避けること
恐れていたことが起きているようです。このブログは嘉指信雄さんに教えて
もらいましたが、中部大学の武田教授のブログです。
http://takedanet.com/2012/01/post_d320.html
要旨は、関東地方(福島以南)でセシウム濃度が急激に上がっているという
ことです。
私が過去に話をさせていただいた機会に「冬は北風に気を付けて」と言って
いましたが、それが現実になっています。
特に、年末年始から現在に至る時期、北風が強く吹いています。
この風に乗って、北関東一帯に降り注いでいた放射性物質が再浮遊をしてい
ます。
セシウムやヨウ素です。
ヨウ素131は半減期が8日なので、もう検出されないかと思っていました
が、多摩地区の下水処理場の乾燥汚泥から最大170ベクレル/kg(北多摩
一号水再生センター (府中市小柳町)ものヨウ素が検出されています。(12
月15日~20日)同時期のセシウムより多い量です。
これもまた、北関東からの再浮遊と考えた方が良さそうです。
今後は、北風が吹くような時は外出を控えるか、マスクを着用する。残念な
がら窓はなるべく開けないなどの対策が必要であろうと思われます。
(山崎 久隆 YAMASAKI Hisataka <vfa01742@nifty.com>)
★2.<テント日誌 1/3(火)>
全国から届けられた年賀状のご紹介
―― 経産省前テントひろば 115日目 ――
「案ずるより産むが易すし」というがテント前広場の年末年始の特別態勢は
成功裡の内にやり抜けた。12月29日から1月3日はそれぞれ忙しさに追わ
れてテント広場も手薄になるのではないかと懸念したのだけれどそれは杞憂だ
った。
この日誌でも報告されているように、多くの企画が持ち込まれそれぞれ盛会
だったのである。レーバーネットのみなさんが寒風に晒されながらネットの生
中継をやっていただいたのも大きかった。テント前から大NHKに対抗して紅白歌
合戦や「いく年くる年」などが行われるなんて以前なら想像できなかったこと
である。
そうは言っても多くの皆さんが様々の形でこの期間を支えていただいたから
こそ、事態はうまく行ったのであり、あらためて感謝をしたい。一人ひとりの
力で支えあって維持されているテント広場であるが、それが発揮されたといえ
るのだろう。
この期間を利用してテントを訪れるという人は多かったが、今日も仙台や愛
知、あるいは横浜の人たちが来られた。仙台は東日本大震災で被災した地方で
あり、現在も復興や復旧に大変であるが、放射能汚染については新宿並みとい
うことで福島との落差を感じられているとのことだった。
復旧が進むにつれて同じ被災地でも原発震災や放射能汚染をめぐる差異はで
てくるのであろうが、どうしていいのか悩んでいるとのことだった。これは切
実なことであるように思える。
愛知の方は地方では運動が停滞しているという実感を持っておられるようで
あった。今年の反原発運動を暗示しているかも知れないと感じさせるようでも
ありこころに残った。
12月27日の日誌で年賀状のお願いをしたのであるが、ちょっと遅すぎた
かなというのがテント内の声だった。それでも現在、55通程頂いている。こ
れらはほとんど12月27日以前に投函されたものと推定されるから今後もっ
と増えると思える。地方(首都圏以外)の方が半数以上であるが、少し紹介さ
せていただく。
「寒風の中に起つ皆さんの姿に勇気をもらって新しい年を迎えております。
富山の雪空のなかでも″原発いらんちゃ″と北陸電力本社前で行動をいたして
おります。共に連帯のこころをお届けします」(富山のTさん)。
「日々御苦労さまです。私も自分の住んでいるところでできることをやって
いこう、とテント広場でがんばっておられる方に励まされています。ありがと
う?」(滋賀のMさん)。
「新しい年がきました。私と息子は埼玉から岡山へ年末に疎開しました。部
屋探しに行く日に、テント広場に寄りました。さむかったです~。毛布を貸し
て頂きしばらく座りました。みなさん、体に気をつけてくださいね。私と息子
(4才にしてデモ7回参戦です)も岡山で元気に脱原発に向けて頑張ります」
(岡山のMさん)。4才の息子さんの元気な姿が印刷されていて、思わず心が
なごんだ。
「30年年賀状を書いたことありません。今日、そちらに伺い、急いでハガ
キを書きました。また、遊びに行きます。皆で共に歩いて行きましょう」(館
山市のMさん)。30年ぶりの年賀状をありがとう。
1月4日からはテントも通常(?)の態勢に戻る。そして、今年の決意をこ
めた餅つきがある。拳を挙げての歌ではなく餅つきがテント広場の決意という
のもいいと思う。美味しいお餅を想像したら明日の楽しくなった。
(M/O)
今日は、夕刻から椎名さんを案内して、山谷の越冬闘争に参加する。山谷に
着いたのは、5時近く、配食を始める前の連絡のハンドマイクをお借りして挨拶
をさせていただきました。橘がまず、福島弁で経産省前で原発をなくすための
テント闘争が展開されていること、デモやテントでの交流など、山谷の仲間た
ちとの共闘は、大変心強い、今年もよろしくお願いします。そういうお話をし
て椎名さんをご紹介。
「野宿を強いられる人々の困難な生活、放射能の危険にさらされる福島の
人々、共に状況は厳しいが国が弱者を切り捨てていくことを許さず、命を削っ
てでも立ち向かって闘って行きたい」という彼女の渾身のスピーチに山谷の仲
間たちから拍手が沸き起こる。昨夜の渋谷の越冬闘争とは打って変わり、人い
きれがセンター前の路地一帯を圧倒するような寄せ場での炊き出しの雰囲気は
独特のものがある。 (タッチー)
<テント日誌 1/4(水)>
脱原発新年餅つき大会は盛大に!
誰もかも 心ひとつの テント前
―― 経産省前テントひろば 116日目――
1月4日(水) 晴れ 後曇り
今日は新年餅つき大会である。天気は晴れ、風もなく穏やかな陽気。12時
頃にはテント前はもうたくさんの人が集まっている。第2テントの横に臼が置
かれ、テント前には、つきあがった餅を丸めてあんこ、きな粉、おろし、納豆
をまぶして食べられるように、用意が調えられている。餅米を蒸すのは公安の
了解の下、日比谷公園で行うことに。が、公園事務所は許可せず、やむなく公
園と歩道の境の空間で公安が見守る中、2人行ったそうだ。ところが、30分
もした頃、丸の内署の制服警官20名程が撤去!と叫びながら押し寄せ取り囲
む。で、やむなく撤収。
取りあえず最初のぶんをテントに届けた後、急遽、テントの弁護対策をして
いただいている弁護士さんの法律事務所に移動して、なんと法律事務所内で餅
米蒸しをさせていただく。
予定の1時を少し過ぎたところでいよいよ餅つき開始。一斉に臼の前には黒
山の人だかりが。そしてつきあがると、この餅をもっての各省庁への挨拶回り
の出陣式。
椎名さんが挨拶文を読み上げる。経産省、財務省、文科省、外務省、農水
省、厚労省の6つの省庁を4人が正装して回るも、各省庁はお餅の受け取りは
拒否。挨拶文は受け取ったそうであるが。
そのあとは次々とつきあがってくるお餅をみんなでいただく。豚汁の炊き出
しもあり。ともかく、警察の介入や経産省の査察などもありつつも、無事、餅
つき大会は大成功のうちに終わった。参加者は総数150名にも及ぶ程に。
その熱気が冷めやらぬうちに、川柳大会が行われ、乱鬼龍さんの選定により、
標題の句が優秀賞を獲得。
~ 誰もかも 心ひとつの テント前 ~
─────・─────・─────・─────・─────
☆☆テントひろばへの抱負、期待、要望、意見など、
様々な思いを寄せて下さい。可能な限りテント日誌でご紹介します。
またそれらを集めた「テントひろば通信」の発行も考えています☆☆
郵便なら、
〒100-0013 東京都千代田区霞が関1-3-1 経産省前テントひろば
メールなら 電子メール アドレス : tentohiroba@gmail.com へ。
実名・ハンドルネーム・イニシアル・匿名なんでもありです。
地域名、年齢、性別は記入していただくとありがたいです。
( Y・T )
★3-1.第18回社会運動ユニオニズム研究会(1月10日締切り)
http://socialmovementunionism.blogspot.com/
福島の子供たちの現状と『子供たちを放射能から守る福島ネットワーク』の
活動について
日時:2012年1月14日(土)13:00~16:30
会場:明治大学駿河台キャンパス研究棟2階第9会議室
地図:http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
(高層のリバティータワーを入り、左手奥の出口を抜けると研究棟1階入口で
す)
ビデオ『フクシマ原発震災~被災者の声をたどる旅』上映(制作:LaborNow)
テーマ:福島の子供たちの現状と「子供たちを放射能から守る福島ネットワー
ク」の活動について
報告:佐藤幸子さん(子供たちを放射能から守る福島ネットワーク)
主催:一橋大学フェアレイバー研究教育センター、明治大学労働教育メディア
研究センター、Labor Now
参加申込み:配布資料準備の都合上、参加希望者は1月10日までに、高須宛ご
連絡下さい。
連絡先:h_takasu(at)jca.apc.org (at)を@に置き換えて送信下さい。
★3-2.「大逆事件と誤った処刑」院内集会のご案内 1月24日(火)昼
大逆事件とは、自白強要や証人申請が全く認められない中で、1910年12月10
日に裁判が始まり、1911年1月18日に判決が大審院一審だけで出たスピード裁判
です。
判決からわずか6日後の1911年1月24日の日に、幸徳秋水たち11人が処刑さ
れ、菅野スガは翌1月25日に処刑、他の12人が無期懲役になりました。
この大逆事件は、冤罪、表現の自由、民主主義への弾圧という観点など、多
くの観点から考えなければならない重要な事件です。
昨年に引き続き、大逆事件の意味、その今日的な問題を皆さんと共有する会
としたいと思います。ぜひ、ご参加ください。
日時:2012年1月24日(火)12:00~13:30
場所:参議院議員会館講堂(1階、入口で通行証をお渡しします)
講演:鎌田慧(ルポルタージュ作家)「政治裁判を問う」
田中伸尚(ノンフィクション作家)「過去の声にどう応えるか」
大岩川嫩(「大逆事件の真実をあきらかにする会」世話人)
「大逆事件101年目の真実」
この他にリレートークも予定あり
資料代:500円
問合せ:福島みずほ事務所(TEL:03-6550-1111、事前予約は不要です)
★4.処理水の有害物質放置
福島第一、原子炉の臨界・腐食防止に使う化学物質も「汚染水」と一緒に
放出 更なる海洋汚染 (2012.01.06東京新聞 一面より抜粋)
福島第一原発で、高濃度汚染水を処理した水には、腐食防止などのため大量
の化学物質が含まれ、この水が海に放出されると、放射性物質とは別に汚染を
引き起こす可能性のあることが、東京電力などへの取材で分かった。水は原子
炉の冷却に使われるが、建屋地下への地下水流入で、使い切れないほど水量が
増え、既設タンクは残り容量が少ない。混ぜられた化学物質はいずれも有害だ
が、東京電力も国も、この問題を放置している。
投入されている化学物質は、ホウ酸やヒドラジン。(中略)いずれの物質も
人体に悪影響がある。ホウ酸はゴキブリの駆除剤にも使われ、人間が吸い込む
と、吐き気や下痢などの症状が起きる。ヒドラジンは、皮膚に触れると激しく
ただれ、体内に取込むと中枢神経や肝臓、腎臓の機能障害を引き起こすとされ
る。そのため、水質汚濁防止法などにより規制がかけられている。
汚染水の場合、放射性物質にばかり目が向けられがちだが、外部への放出と
なると、こうした化学物質による海洋汚染も無視できない問題となる(中略)
東電は14万トンの処理水タンクを準備しているが、早ければ三月にも満杯
になる可能性がある。(中略)
東電担当者は、放射性物質に関しては「仮に放出する際は、可能な限り浄化
する」としているが、化学物質となると「現時点では特に検討していない」と
いう。
環境省も、化学物質の問題には着目していない。
PR
たんぽぽ舎です。【TMM:No1303】
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その288 ◆
4つの情報をお知らせします(1月7日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
(1月6日付けのメルマガは、担当者が風邪でダウンの為お休みしました)
(テント日誌の1/3、1/4、1/5は、あす以降のメルマガに掲載します)
★1.三菱重工から献金をもらった人が
「三菱重工原発」を審査(ストレステスト)する???
こんなことが許されていいのか!!500万~200万円もらった
3教授はストレステスト委員を辞任せよ!
★2.<テント日誌 1/6(金)>
ストレステスト公聴会とお茶会と
―― 経産省前テントひろば 118日目 ――
★3.「原発ゼロ元年」おめでとう!東も西も再稼働NO!
~1.10 東電・関電前アクション~
★4.双葉町長手記 政府を痛烈批判
「事故収束」宣言 いまだウソ 恥じるべき 安定化、今の状態では無理
中間貯蔵施設計画 被害者に責任取らすのか 町民の使い捨て許さぬ
(2012.01.06東京新聞「こちら特報部」より抜粋)
★1.三菱重工から献金をもらった人が
「三菱重工原発」を審査(ストレステスト)する???
こんなことが許されていいのか!!500万~200万円もらった
3教授はストレステスト委員を辞任せよ!
1月6日(金)経産省入口と経産省内のストレステスト聴取会の会場で、衝
撃的なビラが福島原発事故緊急会議と経産省前テントひろばの人々の共同で配
布された。その数1000枚。そのビラの要旨(A4版両面)を紹介します。
・おもて面は、三菱重工から献金をもらった人が「三菱重工原発」を審査
(ストレステスト)する?
岡本、阿部、山口の「利益相反」3教授はストレステスト委員を辞任せよ!
の見出し。岡本はストレステストに係る意見聴取会の司会進行役で、従来から
悪い役目を果たしている人。委員11人中9人が御用学者。そのうちの3人が
金まみれ委員。利益相反=「1人の人間が泥棒と警察の両方をやること」はみ
とめられない、とキビシク批判した内容。
・うら面は、安全委員24人に8500万円 - 06年~10年度寄付が原
子力業界から。原発審査の中立性は保たれるか?(朝日新聞1月1日号から)
阿部豊(筑波大教授)は三菱重工業から500万円、岡本幸司(東大教授)は三
菱重工業から200万円など、9名の氏名と金額、本人の釈明などが掲載され
ている。電力会社の元幹部は「寄付でパイプをつくった先生の原発アドバイス
を事前にうければ(原発の)審査でもめない」と語る。 (や)
─────・─────・─────・─────・─────
ストレステストに係る意見聴取会は今回で6回目。利益相反ありと見られている岡本委員は、相変わらず保安院側の席次中央にすわり、危険を訴え続ける委員の発言を押さえつけるかのように進行する。電力会社は2、3人しか発言しないにも関わらず10人ほどの大所帯で出席×2(関電、北電)している。
電力会社の資料は、実はどの原子炉についてもほとんど同じ構造だ。彼らは
1つの電源が喪失しても次の段階で代替案を用意して、過酷事故に至らないス
トーリーを作ってくる。しかしそれは紙の上で作ったもので、二重三重の備え
というには程遠い。
例えば、予備の電源車は津波に備えて高台に配置するという対策案。(大津
波が来れば当然、大地震も起きると想像できるのだが、原子力業界は違うらしい)高台に置いた電源車は、がけ崩れにも遭わないし、ケーブル切断という心
配もなく、高台の海抜高さを確認する質問だけで、話はおわり。
様々な予備対策は、その実効性を確認してはじめて「有効な手段」とするべ
きだ、という数名の委員の発言は、保安院席に鎮座する進行役によって遮られ
てしまう。
これでは、何回会議を繰り返しても、脆弱なところは見えてこない。(ち)
★2.<テント日誌 1/6(金)>
ストレステスト公聴会とお茶会と
―― 経産省前テントひろば 118日目 ――
今朝は、テントの後ろに建つ経産省本館地下の講堂でストレステストの公聴
会があり、多くの仲間と傍聴、めいっぱい東大の岡本教授をヤジってきまし
た。9時からの傍聴に先立ち、10名近い仲間で、岡本たちが献金受けていると
いう元旦の朝日の記事をコピーしたビラを本館前で配りました。マイクはなし
でしたが、とても受け取る方が多くて、時間が短かったのが残念でした。
公聴会は、委員になってる後藤正志さん、井野さんの突っ込みが素晴らしく
て、3時間の予定が30分程伸びて、散会後も残って糾弾している傍聴者もいる
ような熱気あふれるものとなりました。内容は、たんぽぽ舎などのサイトをご
覧ください。
私が特に印象に残ったのは、北海道電力がたくさんの若手社員引き連れて来
ていて、うーん、こいつらを相手にこれからたたかって行くのかと思うと、悔
しくてたまらんかったこと。突込をする委員も、傍聴も、傍聴も、こちらの仲
間は相当年季が入っている。後ろのステージ上のカメラで写されたら、それは
一目瞭然、頭髪の具合で…。
女性テントでの午後のお茶会、5日・6日とまとめての報告です。
5日はお茶会参加者、全部で6名。
山梨からの退職教員の方、とそのお友達?草加からの退職教員の方、新宿西
口のイラク反戦スタンディングに参加している方、原発事故で不妊治療を断念
したという方、皆さん、初めて訪れた方でしたが、話が弾み、私がたんぽぽ舎
のボランティアのTさんと横浜会議での大間原発の展示の企画をしているとい
うお話をしたところ、大間原発について詳しく知りたいというお話や、福島の
子どもが心配というお話などで盛り上がりました。
炬燵で話し込んでいると、ビニールの向こうから、ちらちらと中を伺う方の
様子が見えるのですが、ひとりで5人の方とお話しながら、外の呼び込みまで
は、残念ながらできかねました。
6日のお茶会は、お天気が良かったので、外で座り込みながら、おにぎり食
べてお話をしたりしていたら、可愛いお孫さんたちを連れて一家でテントを訪
れた、女性テントのお泊りもしてらっしゃるMさんたちにテント周辺は一気に
賑やかになって、そこへ、群馬でのサーカス学校を放射能汚染のために閉めた
という校長さんと生徒さんが現われ、また、一段とにぎやかに。
他にも、数人、初対面同士でも、話がはずむ。 (タッチー)
★3.「原発ゼロ元年」おめでとう!東も西も再稼働NO!
~1.10 東電・関電前アクション~
呼びかけ:東電前アクション!
詳細:http://toudenmaeaction.blogspot.com/
Email: toudenmae.action@gmail.com
■日時:1月10日(火)
19時 ~ 東電前開始
19時半~ 関電東京支社前開始
■場所:
新橋東電本店前:JR・東京メトロ・都営地下鉄浅草線新橋駅より徒歩5分
都営地下鉄三田線内幸町駅より徒歩3分
関西電力東京支社:(東電本店前から徒歩3分)
■鳴り物、自作プラカード、歌う人、叫ぶ人、
静かに意思表示する人歓迎。
★注)たんぽぽ舎も協力し、ノボリ旗をもって参加します。皆さんの参加歓迎
■このアクションを「非暴力」「反差別」の行動として呼びかけます。
★大飯原発再稼動反対署名にご協力を!
http://toudenmaeaction.blogspot.com/2011/12/blog-post_14.html
【2012年「原発ゼロ元年」おめでとうございます!】
新年一発目の「東電前アクション」、3.11からほぼ10ヶ月目の1月10日に東電前
そして関西電力の東京支店前でやります!
誰も・政府自身も信じていない12月16日の野田首相と細野原発担当相の「冷温
停止状態-福島事故収束宣言」。
しかし、政府はこの大嘘を前提として、福島の避難民の帰還を促進し、避難
や移住の要求を妨げるであろうことはあきらかです。
そして何より、東電の賠償負担を和らげることそのものを目的とし、福島の
人々をさらに追い詰める「収束宣言」を絶対に認めるわけにはいきません。
この「収束宣言」を根拠にして、またぞろ全国の原発を再稼動させようとい
う動きも新年早々強まるでしょう。法的根拠のない「ストレステスト」を、組
織改編が焦眉の課題となっている無機能状態の原子力安全・保安員が、あるい
は「冷温停止宣言を歓迎」などという談話を出す国際原子力マフィア:IAEA
審査して再び原発を稼動させるなどということを許すことは出来ません。
再稼動第1号の可能性が高いと言われているのは、関西電力の大飯原発3・4
号機です。「原発銀座」と言われる福井県若狭湾にあるこの大飯原発の1号機は
2011年7月にトラブルで手動停止しています。また、おなじ関電の美浜原発で
は、2004年に蒸気漏れ事故で5人の死者を出しています。
★4.双葉町長手記 政府を痛烈批判
「事故収束」宣言 いまだウソ 恥じるべき 安定化、今の状態では無理
中間貯蔵施設計画 被害者に責任取らすのか 町民の使い捨て許さぬ
(2012.01.06東京新聞「こちら特報部」より抜粋)
福島第一原発事故で全町民が避難した福島双葉町の井戸川克隆町長(65)
が、東京新聞に「原発事故を振り返って」と題した手記を寄せた。汚染土壌な
どを保管する中間貯蔵施設を同県双葉郡に建設する政府方針に、反発。野田首
相の「事故収束」宣言を「とんでもないこと」と強く批判する。手記に込めら
れた井戸川町長の怒りと嘆きの声を届ける。(略)
「世界最大の原発被害者になってしまったことは大変つらい。終わりの見え
ない旅。『避難指示』だけの言葉で故郷を離れている。(避難所を)慰問に来
られた方が歌う『故郷』は、私たちにはとても耐えられない、悲しい歌になっ
ていることが、皆さんには分かってもらえない。(略)ちり紙に遺書を書いたという方の話を聞いた時、涙が止まりませんでした。多くの方が死を覚悟されたのですね。政府はこのような方をどう思っているのか。本当に日本の恩人です。(略)恥ずかしいのは、いまだにうそをついている人たち。事故は終わっていません。今も、微妙なバランスの中で安定化させている。(略)ものをいわない相手に、五感と経験を駆使して対することは、一瞬の油断もできない。
膨大な部品の集まりを正常にし、安定化することは今の状態では無理。(「収
束」宣言を)とんでもないことと思う。私は認めるわけにはいかない。現場に
やる気を失わせてしまわないかと心配。誰もが認める検査プロセスでなけれ
ば、信用は得られません」
細野豪志環境相は先月28日、福島県の佐藤雄平知事と双葉郡の八町村の首
長に、除染で出る汚染土壌などの中間貯蔵施設を双葉郡内に設置したいとの意
向を伝えた。有力候補地は高線量地域である双葉長と大熊町と言われる。町長
は手記で「(放射線物質の)除去もできず住む希望も持てない一番ひどい地域
とされる双葉と大熊が、事故の最大の被害者。ここに施設を造れということ
を、誰にもいわれたくない。私たちは誰よりも早く帰りたい気持ちがあり、
『放射能をどこかに持っていけ』と加害者に声を大にして言いたい」と訴え
る。「皆さんは『一番放射線量が高い地域に』、と思うのでしょうか。でも、
原因を作った者は誰か。どう責任を取るのか。だれが負担をするのか。被害者
に責任はあるのか。被害者に責任をかぶせることができるのか。被害者に『元
の生活をするな』と言える人はいるのか。ここから議論したい」と事故の責任
を問う。
「次世代を担う子どもたちにも聞かなければならない。”被害者不詳”のま
まで、立地を頼みに来ることを許すわけにはいきません。誰かが『私が責任者
です』と名乗り出ても、どうにもならないくらいの規模の世界最大の事故で
す。『原子力ムラ』の全員が加害者であると思っています。
放射線物質汚染対処特別措置法が今月、全面施行。除染作業が本格化する。
双葉町では「除染はしなければならないが、技術的に確立されていないので、
まだ行わない」とする。除染作業は国の責任で進めると言うが、「除染作業に
従事する町民がさらに被ばくすることを恐れている。町民が大手企業の下働き
で、使い捨てにされることは許しません。町民の皆さんが早く帰りたいと思う
気持ちは理解できますが、これ以上被ばくさせるわけにはいかない」と訴え
た。
「私たちは昨年三月十一日から被ばくを繰り返している。これほどの被ば
く者を出し続けていて、世界から原子力輸出国として認証されるのか疑問で
す。国家の恥だと思っています。地域の自然と同様、人間そのものを除染しな
ければ。(がんを)発症するかしないかの議論で、罪隠しにはならない。自然
界以外の被ばくのすべては、要求しない迷惑なものを浴びせられていることに
なる。専門家と称する多くの方たちの安全基準は、まったく意味がない。被ば
くについて安全といった人たちに、賠償を求めなければなりません。皆さん、
団結しましょう」
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その288 ◆
4つの情報をお知らせします(1月7日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
(1月6日付けのメルマガは、担当者が風邪でダウンの為お休みしました)
(テント日誌の1/3、1/4、1/5は、あす以降のメルマガに掲載します)
★1.三菱重工から献金をもらった人が
「三菱重工原発」を審査(ストレステスト)する???
こんなことが許されていいのか!!500万~200万円もらった
3教授はストレステスト委員を辞任せよ!
★2.<テント日誌 1/6(金)>
ストレステスト公聴会とお茶会と
―― 経産省前テントひろば 118日目 ――
★3.「原発ゼロ元年」おめでとう!東も西も再稼働NO!
~1.10 東電・関電前アクション~
★4.双葉町長手記 政府を痛烈批判
「事故収束」宣言 いまだウソ 恥じるべき 安定化、今の状態では無理
中間貯蔵施設計画 被害者に責任取らすのか 町民の使い捨て許さぬ
(2012.01.06東京新聞「こちら特報部」より抜粋)
★1.三菱重工から献金をもらった人が
「三菱重工原発」を審査(ストレステスト)する???
こんなことが許されていいのか!!500万~200万円もらった
3教授はストレステスト委員を辞任せよ!
1月6日(金)経産省入口と経産省内のストレステスト聴取会の会場で、衝
撃的なビラが福島原発事故緊急会議と経産省前テントひろばの人々の共同で配
布された。その数1000枚。そのビラの要旨(A4版両面)を紹介します。
・おもて面は、三菱重工から献金をもらった人が「三菱重工原発」を審査
(ストレステスト)する?
岡本、阿部、山口の「利益相反」3教授はストレステスト委員を辞任せよ!
の見出し。岡本はストレステストに係る意見聴取会の司会進行役で、従来から
悪い役目を果たしている人。委員11人中9人が御用学者。そのうちの3人が
金まみれ委員。利益相反=「1人の人間が泥棒と警察の両方をやること」はみ
とめられない、とキビシク批判した内容。
・うら面は、安全委員24人に8500万円 - 06年~10年度寄付が原
子力業界から。原発審査の中立性は保たれるか?(朝日新聞1月1日号から)
阿部豊(筑波大教授)は三菱重工業から500万円、岡本幸司(東大教授)は三
菱重工業から200万円など、9名の氏名と金額、本人の釈明などが掲載され
ている。電力会社の元幹部は「寄付でパイプをつくった先生の原発アドバイス
を事前にうければ(原発の)審査でもめない」と語る。 (や)
─────・─────・─────・─────・─────
ストレステストに係る意見聴取会は今回で6回目。利益相反ありと見られている岡本委員は、相変わらず保安院側の席次中央にすわり、危険を訴え続ける委員の発言を押さえつけるかのように進行する。電力会社は2、3人しか発言しないにも関わらず10人ほどの大所帯で出席×2(関電、北電)している。
電力会社の資料は、実はどの原子炉についてもほとんど同じ構造だ。彼らは
1つの電源が喪失しても次の段階で代替案を用意して、過酷事故に至らないス
トーリーを作ってくる。しかしそれは紙の上で作ったもので、二重三重の備え
というには程遠い。
例えば、予備の電源車は津波に備えて高台に配置するという対策案。(大津
波が来れば当然、大地震も起きると想像できるのだが、原子力業界は違うらしい)高台に置いた電源車は、がけ崩れにも遭わないし、ケーブル切断という心
配もなく、高台の海抜高さを確認する質問だけで、話はおわり。
様々な予備対策は、その実効性を確認してはじめて「有効な手段」とするべ
きだ、という数名の委員の発言は、保安院席に鎮座する進行役によって遮られ
てしまう。
これでは、何回会議を繰り返しても、脆弱なところは見えてこない。(ち)
★2.<テント日誌 1/6(金)>
ストレステスト公聴会とお茶会と
―― 経産省前テントひろば 118日目 ――
今朝は、テントの後ろに建つ経産省本館地下の講堂でストレステストの公聴
会があり、多くの仲間と傍聴、めいっぱい東大の岡本教授をヤジってきまし
た。9時からの傍聴に先立ち、10名近い仲間で、岡本たちが献金受けていると
いう元旦の朝日の記事をコピーしたビラを本館前で配りました。マイクはなし
でしたが、とても受け取る方が多くて、時間が短かったのが残念でした。
公聴会は、委員になってる後藤正志さん、井野さんの突っ込みが素晴らしく
て、3時間の予定が30分程伸びて、散会後も残って糾弾している傍聴者もいる
ような熱気あふれるものとなりました。内容は、たんぽぽ舎などのサイトをご
覧ください。
私が特に印象に残ったのは、北海道電力がたくさんの若手社員引き連れて来
ていて、うーん、こいつらを相手にこれからたたかって行くのかと思うと、悔
しくてたまらんかったこと。突込をする委員も、傍聴も、傍聴も、こちらの仲
間は相当年季が入っている。後ろのステージ上のカメラで写されたら、それは
一目瞭然、頭髪の具合で…。
女性テントでの午後のお茶会、5日・6日とまとめての報告です。
5日はお茶会参加者、全部で6名。
山梨からの退職教員の方、とそのお友達?草加からの退職教員の方、新宿西
口のイラク反戦スタンディングに参加している方、原発事故で不妊治療を断念
したという方、皆さん、初めて訪れた方でしたが、話が弾み、私がたんぽぽ舎
のボランティアのTさんと横浜会議での大間原発の展示の企画をしているとい
うお話をしたところ、大間原発について詳しく知りたいというお話や、福島の
子どもが心配というお話などで盛り上がりました。
炬燵で話し込んでいると、ビニールの向こうから、ちらちらと中を伺う方の
様子が見えるのですが、ひとりで5人の方とお話しながら、外の呼び込みまで
は、残念ながらできかねました。
6日のお茶会は、お天気が良かったので、外で座り込みながら、おにぎり食
べてお話をしたりしていたら、可愛いお孫さんたちを連れて一家でテントを訪
れた、女性テントのお泊りもしてらっしゃるMさんたちにテント周辺は一気に
賑やかになって、そこへ、群馬でのサーカス学校を放射能汚染のために閉めた
という校長さんと生徒さんが現われ、また、一段とにぎやかに。
他にも、数人、初対面同士でも、話がはずむ。 (タッチー)
★3.「原発ゼロ元年」おめでとう!東も西も再稼働NO!
~1.10 東電・関電前アクション~
呼びかけ:東電前アクション!
詳細:http://toudenmaeaction.blogspot.com/
Email: toudenmae.action@gmail.com
■日時:1月10日(火)
19時 ~ 東電前開始
19時半~ 関電東京支社前開始
■場所:
新橋東電本店前:JR・東京メトロ・都営地下鉄浅草線新橋駅より徒歩5分
都営地下鉄三田線内幸町駅より徒歩3分
関西電力東京支社:(東電本店前から徒歩3分)
■鳴り物、自作プラカード、歌う人、叫ぶ人、
静かに意思表示する人歓迎。
★注)たんぽぽ舎も協力し、ノボリ旗をもって参加します。皆さんの参加歓迎
■このアクションを「非暴力」「反差別」の行動として呼びかけます。
★大飯原発再稼動反対署名にご協力を!
http://toudenmaeaction.blogspot.com/2011/12/blog-post_14.html
【2012年「原発ゼロ元年」おめでとうございます!】
新年一発目の「東電前アクション」、3.11からほぼ10ヶ月目の1月10日に東電前
そして関西電力の東京支店前でやります!
誰も・政府自身も信じていない12月16日の野田首相と細野原発担当相の「冷温
停止状態-福島事故収束宣言」。
しかし、政府はこの大嘘を前提として、福島の避難民の帰還を促進し、避難
や移住の要求を妨げるであろうことはあきらかです。
そして何より、東電の賠償負担を和らげることそのものを目的とし、福島の
人々をさらに追い詰める「収束宣言」を絶対に認めるわけにはいきません。
この「収束宣言」を根拠にして、またぞろ全国の原発を再稼動させようとい
う動きも新年早々強まるでしょう。法的根拠のない「ストレステスト」を、組
織改編が焦眉の課題となっている無機能状態の原子力安全・保安員が、あるい
は「冷温停止宣言を歓迎」などという談話を出す国際原子力マフィア:IAEA
審査して再び原発を稼動させるなどということを許すことは出来ません。
再稼動第1号の可能性が高いと言われているのは、関西電力の大飯原発3・4
号機です。「原発銀座」と言われる福井県若狭湾にあるこの大飯原発の1号機は
2011年7月にトラブルで手動停止しています。また、おなじ関電の美浜原発で
は、2004年に蒸気漏れ事故で5人の死者を出しています。
★4.双葉町長手記 政府を痛烈批判
「事故収束」宣言 いまだウソ 恥じるべき 安定化、今の状態では無理
中間貯蔵施設計画 被害者に責任取らすのか 町民の使い捨て許さぬ
(2012.01.06東京新聞「こちら特報部」より抜粋)
福島第一原発事故で全町民が避難した福島双葉町の井戸川克隆町長(65)
が、東京新聞に「原発事故を振り返って」と題した手記を寄せた。汚染土壌な
どを保管する中間貯蔵施設を同県双葉郡に建設する政府方針に、反発。野田首
相の「事故収束」宣言を「とんでもないこと」と強く批判する。手記に込めら
れた井戸川町長の怒りと嘆きの声を届ける。(略)
「世界最大の原発被害者になってしまったことは大変つらい。終わりの見え
ない旅。『避難指示』だけの言葉で故郷を離れている。(避難所を)慰問に来
られた方が歌う『故郷』は、私たちにはとても耐えられない、悲しい歌になっ
ていることが、皆さんには分かってもらえない。(略)ちり紙に遺書を書いたという方の話を聞いた時、涙が止まりませんでした。多くの方が死を覚悟されたのですね。政府はこのような方をどう思っているのか。本当に日本の恩人です。(略)恥ずかしいのは、いまだにうそをついている人たち。事故は終わっていません。今も、微妙なバランスの中で安定化させている。(略)ものをいわない相手に、五感と経験を駆使して対することは、一瞬の油断もできない。
膨大な部品の集まりを正常にし、安定化することは今の状態では無理。(「収
束」宣言を)とんでもないことと思う。私は認めるわけにはいかない。現場に
やる気を失わせてしまわないかと心配。誰もが認める検査プロセスでなけれ
ば、信用は得られません」
細野豪志環境相は先月28日、福島県の佐藤雄平知事と双葉郡の八町村の首
長に、除染で出る汚染土壌などの中間貯蔵施設を双葉郡内に設置したいとの意
向を伝えた。有力候補地は高線量地域である双葉長と大熊町と言われる。町長
は手記で「(放射線物質の)除去もできず住む希望も持てない一番ひどい地域
とされる双葉と大熊が、事故の最大の被害者。ここに施設を造れということ
を、誰にもいわれたくない。私たちは誰よりも早く帰りたい気持ちがあり、
『放射能をどこかに持っていけ』と加害者に声を大にして言いたい」と訴え
る。「皆さんは『一番放射線量が高い地域に』、と思うのでしょうか。でも、
原因を作った者は誰か。どう責任を取るのか。だれが負担をするのか。被害者
に責任はあるのか。被害者に責任をかぶせることができるのか。被害者に『元
の生活をするな』と言える人はいるのか。ここから議論したい」と事故の責任
を問う。
「次世代を担う子どもたちにも聞かなければならない。”被害者不詳”のま
まで、立地を頼みに来ることを許すわけにはいきません。誰かが『私が責任者
です』と名乗り出ても、どうにもならないくらいの規模の世界最大の事故で
す。『原子力ムラ』の全員が加害者であると思っています。
放射線物質汚染対処特別措置法が今月、全面施行。除染作業が本格化する。
双葉町では「除染はしなければならないが、技術的に確立されていないので、
まだ行わない」とする。除染作業は国の責任で進めると言うが、「除染作業に
従事する町民がさらに被ばくすることを恐れている。町民が大手企業の下働き
で、使い捨てにされることは許しません。町民の皆さんが早く帰りたいと思う
気持ちは理解できますが、これ以上被ばくさせるわけにはいかない」と訴え
た。
「私たちは昨年三月十一日から被ばくを繰り返している。これほどの被ば
く者を出し続けていて、世界から原子力輸出国として認証されるのか疑問で
す。国家の恥だと思っています。地域の自然と同様、人間そのものを除染しな
ければ。(がんを)発症するかしないかの議論で、罪隠しにはならない。自然
界以外の被ばくのすべては、要求しない迷惑なものを浴びせられていることに
なる。専門家と称する多くの方たちの安全基準は、まったく意味がない。被ば
くについて安全といった人たちに、賠償を求めなければなりません。皆さん、
団結しましょう」
たんぽぽ舎です。【TMM:No1302】
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その287 ◆
4つの情報をお知らせします(1月5日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.4月に全原発停止濃厚
運転中6基、順次定期検査 再稼働めど立たず(デーリー東北より)
★2.東電は柏崎刈羽も稼働続ける権利は無い
東電は何十年にもわたって原発事故を隠し続けてきた過去あり
★3.<テント日誌 1/2(月)>
新年2日目も、テントひろばは賑わって
―― 経産省前テントひろば 114日目――
★4.被曝労働(者)問題プロジェクト連続講座第4回
1月22日(日)のおさそい
やっぱり「生きてるうちが花」なのか、
どうして「ニワトリはハダシ」なのか?
─────被曝労働者たちを描いた映画から
★1.4月に全原発停止濃厚
運転中6基、順次定期検査 再稼働めど立たず
デーリー東北より
全国の商業用原発54基が4月に全て停止する可能性が強まったことが30日、
共同通信のまとめで分かった。現在稼働中の6基は来年1月以降に定期検査で
順次止まり、最後の北海道電力泊原発3号機が4月下旬に停止。検査中の原発
再稼働にはめどが立っておらず、政府が現状を打開できなければ稼働する原発
が完全にゼロとなる。
日本原子力発電の東海原発が1966年に初の営業運転を始めて以来、草創
期を除くと全原発停止は極めて異例。電力各社が競って原発事業を推進した80
年代以降では初めての事態となる。
東京電力の福島第1原発事故による安全性への懸念に政府対応のまずさが重
なり、原発が立地する自治体の再稼働への動きは鈍い。
(中略)
各社の計画通りに進めば、1月中旬に四国電力の伊方原発2号機、下旬には
東電の柏崎刈羽原発5号機と中国電力の島根原発2号機が定期検査入り。2月
中旬には関西電力の高浜原発3号機、3月中には柏崎刈羽6号機と続き、4月
下旬には残る泊3号機が検査を迎え、停止する。
一方で電力各社はこれまで検査を実施してきた原発のうち11基について、再
稼働の前提となる安全評価の1次評価をことし10~12月に終え、報告書を原子
力安全・保安院に提出した。保安院の審査には数カ月かかる見通しで、その後
は原子力安全委員会があらためて審査する。
報告書を10~11月に提出した関西電力の大飯3、4号機と四国電力の伊方3
号機が手続きで先行しているが、再稼働には地元住民の同意が不可欠で、全原
発の停止を回避するのは困難な情勢だ。
★2.東電は柏崎刈羽も稼働続ける権利は無い
東電は何十年にもわたって原発事故を隠し続けてきた過去あり
たんぽぽ舎 近藤 福島県会津地方在住
福島県では、県議会の決議を受けて、原子力邑の一員であった筈なのに、事
故後は一貫して被害者面を通している佐藤雄平知事も、遂に県の復興計画に県
内の全ての原子炉を廃炉にする要求を明記する事を決めました。遅過ぎた事実
は払拭できませんが、ようやく脱原発の決心が着いたようです。県に廃炉の権
限は無くとも、事故を起こした福島第一原発だけでなく福島第二原発を含む計
10炉の稼働が事実上不可能となる見込みです。
東電のもう一か所の原発立地、柏崎刈羽原発7基の運転状況は、2号炉、3
号炉、4号炉が2007年7月の新潟中越沖地震で停止中、7号炉は2010年8月か
ら、1号炉は2011年8月から定期検査で停止中です。運転中であるのは、5号
炉と6号炉ですが、5号炉は来年3月、6号炉も来年4月には定期点検で停止
予定です。
中越沖地震があった2007年7月16日から停止中の3炉はもう4年以上も稼働
されていない事になります。原発稼動が大好きで、最優先させて稼働させてき
た東電が、4年以上も柏崎刈羽原発を動かさなかったと言う事は、中部沖地震
による事故は報道された以上に深刻で、それを隠蔽していたと勘ぐられても当
然でしょう。当時、アメリカやドイツでさえトップニュースになったのにも関
わらず、日本では報道もそれほど大々的には為されませんでした。日本のマス
コミは政府や電力会社の発表以上にはあまり踏み込みませんでした。大手マス
コミは既に電力会社に飼い慣らされてしまっていました。確かな事は、仮に深
刻な事態が進行していたとしても、「本当のこと」は最後の最後、事故が隠し
通せなくなるまで「公表」されることはなかったであろうことは、今回の東電
の対応を見ていれば明らかです。この時もっと真摯に取り組んでいれば、今回
の福島第一原発事故は防げたかもしれないし、起こったとしてもここまで深刻
にはならずに済んだ事でしょう。
東電は性懲りもなく、何十年にもわたって福島第一原発、第二原発、柏崎刈
羽原発全ての原発で事故隠しを続けてきた過去があります。3.11の福島第一原
発の同時多発事故も、はじめに事故を軽く見せようと画策したのは、4年前の
柏崎刈羽原発事故でも上手く(?)深刻な事故を隠し通したから・・と私は見
ています。そのように無責任極まりない東電は、原発稼働を続ける権限は無い
でしょう。福島原発同様、柏崎刈羽原発も直ちに廃炉にする以外の選択肢は無
い筈です。
★3.<テント日誌 1/2(月)>
新年2日目も、テントひろばは賑わって
―― 経産省前テントひろば 114日目――
1月2日(火) 曇り後晴れ
今日は風が強く、冷たい。とくに午後と夜には強風が舞う。そのたびにテン
トはバタバタとはためき、揺れるほどに。
午前中は、さすがに31日、1日の疲れがあってか人も少なく、ひっそりと
静まっていた。が、午後になると次々と人が集まり、相変わらずの賑わいに。
この日は近くで一般参賀があり、その帰りに右翼の来襲が懸念されたが、罵
詈雑言垂れ流しの小さめのワゴンが1台、足早に通り過ぎただけ。
同じ一般参賀の帰り道の母子連れがテントに立ち寄り、訪問者名簿に記帳し
ていく。
昨日も5万円ものカンパをしていただいた方がおられたが、今日も3万円の
カンパをして下さった方が。有り難く頂戴する。
元旦に届いたテントへの年賀状50通ほどに目を通す。本当に全国各地から
熱い想いが寄せられている。ここでまとめてお礼を申し上げておきたい。
なかでも富山の方々からの賀状が多かったが、そういえばテントの前に、富
山の北陸電力本社前でランチタイムアピール行動を続けておられる方々からの
新年のメセージと、行動の写真が張り出してあった。経産省前テントはこのよ
うに全国の人々の行動と強く結ばれているのだと感じる。
テントの前は、昨日に引き続いて、炊き出しあり、野点あり、そして囲碁大
会に書き初めと賑わっている。とくに埼玉からきた16歳の高校生が、お札で
カンパをした後、囲碁大会に参加し、何十歳も年上の囲碁自慢たちをなぎ倒
し、ついに70代の腕自慢と頂上決戦の名人戦。なかなかの見応えある真剣勝
負に。また、三多摩方面から訪れたミュージシャンたちのライブに踊りの輪も
できる、まるで大人の学園祭みたい状態。マリオさん、ボケ丸さん、寒い中有
難う!テントの中では、老若織りまぜて、原発問題での熱い議論がひとしきり
続く。
椎名さんは、救援連絡センターを訪ねたり、渋谷の仲間たちの越冬闘争に合
流して芝居を観たりと、寒い中をたくさん歩いた後、テントにご帰還。強風が
吹き付ける中、テントの夜は更けていく。今日の泊まり込み人員は多い。
( Y・T )
★4.被曝労働(者)問題プロジェクト連続講座第4回
1月22日(日)のおさそい
福島原発事故緊急会議
やっぱり「生きてるうちが花」なのか、
どうして「ニワトリはハダシ」なのか?
─────被曝労働者たちを描いた映画から
・講師:近藤昭二さん(ジャーナリスト/脚本家)
・2012年1月22日(日) 13時より
・会費:800円 ※資料映像あり。
・たんぽぽ舎 4階会議室 千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル
TEL 03-3238-9035 http://www.tanpoposya.net
福島原発事故をきっかけに、原発問題をテーマにした多くの映像が「発掘」
されている。核エネルギーを転用したこの「原子力発電」というテーマはそれ
だけ隠されてきたのである。「被曝労働者たち」を描いた作品はさらに数少な
い。その中で、1985年に作られた森崎東監督『生きてるうちが花なのよ死んだ
らそれまでよ党宣言』という劇映画は、原発建屋の内部で働く人間たちを主人
公にしたほとんど唯一のものだ。
チェルノブイリ事故が起きる前年、敦賀原発を舞台にした作品は、故原田芳
雄が演じるコザから来た男など原発に群がる人間たちの「ごった煮」を描いて
熱く苦い笑いを含んだ傑作だった。ほぼ同じスタッフで作られた18年後の森崎
監督作品『ニワトリはハダシだ』とともに、シナリオを担当したのが近藤昭二
さんである。労働者たちが集まる敦賀で取材を重ねた体験など、私たちがこの
問題に肉薄していくために貴重なお話をじっくりと伺いたい。
講師紹介 近藤昭二さん:
1941年名古屋市生まれ。かつてはテレビ朝日、現在はフリーのディレクター
&シナリオライター。主に事件・司法問題を取材し「NHKスペシャル」「ザ・ス
クープ」などの番組を制作。シナリオでは森崎東監督『ロケーション』(1984
年)などがあり、同監督『ニワトリはハダシだ』(2003年)で、ベルリン映画
祭招待上映・東京国際映画祭最優秀芸術貢献賞・2004年度年間代表シナリオに
選出される。
著書に『誰も知らない死刑の裏側』(二見書房)ほか多数 。訳書に『死の工
場 隠蔽された731部隊』 シェルダン・H・ハリス著(柏書房)など。
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その287 ◆
4つの情報をお知らせします(1月5日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.4月に全原発停止濃厚
運転中6基、順次定期検査 再稼働めど立たず(デーリー東北より)
★2.東電は柏崎刈羽も稼働続ける権利は無い
東電は何十年にもわたって原発事故を隠し続けてきた過去あり
★3.<テント日誌 1/2(月)>
新年2日目も、テントひろばは賑わって
―― 経産省前テントひろば 114日目――
★4.被曝労働(者)問題プロジェクト連続講座第4回
1月22日(日)のおさそい
やっぱり「生きてるうちが花」なのか、
どうして「ニワトリはハダシ」なのか?
─────被曝労働者たちを描いた映画から
★1.4月に全原発停止濃厚
運転中6基、順次定期検査 再稼働めど立たず
デーリー東北より
全国の商業用原発54基が4月に全て停止する可能性が強まったことが30日、
共同通信のまとめで分かった。現在稼働中の6基は来年1月以降に定期検査で
順次止まり、最後の北海道電力泊原発3号機が4月下旬に停止。検査中の原発
再稼働にはめどが立っておらず、政府が現状を打開できなければ稼働する原発
が完全にゼロとなる。
日本原子力発電の東海原発が1966年に初の営業運転を始めて以来、草創
期を除くと全原発停止は極めて異例。電力各社が競って原発事業を推進した80
年代以降では初めての事態となる。
東京電力の福島第1原発事故による安全性への懸念に政府対応のまずさが重
なり、原発が立地する自治体の再稼働への動きは鈍い。
(中略)
各社の計画通りに進めば、1月中旬に四国電力の伊方原発2号機、下旬には
東電の柏崎刈羽原発5号機と中国電力の島根原発2号機が定期検査入り。2月
中旬には関西電力の高浜原発3号機、3月中には柏崎刈羽6号機と続き、4月
下旬には残る泊3号機が検査を迎え、停止する。
一方で電力各社はこれまで検査を実施してきた原発のうち11基について、再
稼働の前提となる安全評価の1次評価をことし10~12月に終え、報告書を原子
力安全・保安院に提出した。保安院の審査には数カ月かかる見通しで、その後
は原子力安全委員会があらためて審査する。
報告書を10~11月に提出した関西電力の大飯3、4号機と四国電力の伊方3
号機が手続きで先行しているが、再稼働には地元住民の同意が不可欠で、全原
発の停止を回避するのは困難な情勢だ。
★2.東電は柏崎刈羽も稼働続ける権利は無い
東電は何十年にもわたって原発事故を隠し続けてきた過去あり
たんぽぽ舎 近藤 福島県会津地方在住
福島県では、県議会の決議を受けて、原子力邑の一員であった筈なのに、事
故後は一貫して被害者面を通している佐藤雄平知事も、遂に県の復興計画に県
内の全ての原子炉を廃炉にする要求を明記する事を決めました。遅過ぎた事実
は払拭できませんが、ようやく脱原発の決心が着いたようです。県に廃炉の権
限は無くとも、事故を起こした福島第一原発だけでなく福島第二原発を含む計
10炉の稼働が事実上不可能となる見込みです。
東電のもう一か所の原発立地、柏崎刈羽原発7基の運転状況は、2号炉、3
号炉、4号炉が2007年7月の新潟中越沖地震で停止中、7号炉は2010年8月か
ら、1号炉は2011年8月から定期検査で停止中です。運転中であるのは、5号
炉と6号炉ですが、5号炉は来年3月、6号炉も来年4月には定期点検で停止
予定です。
中越沖地震があった2007年7月16日から停止中の3炉はもう4年以上も稼働
されていない事になります。原発稼動が大好きで、最優先させて稼働させてき
た東電が、4年以上も柏崎刈羽原発を動かさなかったと言う事は、中部沖地震
による事故は報道された以上に深刻で、それを隠蔽していたと勘ぐられても当
然でしょう。当時、アメリカやドイツでさえトップニュースになったのにも関
わらず、日本では報道もそれほど大々的には為されませんでした。日本のマス
コミは政府や電力会社の発表以上にはあまり踏み込みませんでした。大手マス
コミは既に電力会社に飼い慣らされてしまっていました。確かな事は、仮に深
刻な事態が進行していたとしても、「本当のこと」は最後の最後、事故が隠し
通せなくなるまで「公表」されることはなかったであろうことは、今回の東電
の対応を見ていれば明らかです。この時もっと真摯に取り組んでいれば、今回
の福島第一原発事故は防げたかもしれないし、起こったとしてもここまで深刻
にはならずに済んだ事でしょう。
東電は性懲りもなく、何十年にもわたって福島第一原発、第二原発、柏崎刈
羽原発全ての原発で事故隠しを続けてきた過去があります。3.11の福島第一原
発の同時多発事故も、はじめに事故を軽く見せようと画策したのは、4年前の
柏崎刈羽原発事故でも上手く(?)深刻な事故を隠し通したから・・と私は見
ています。そのように無責任極まりない東電は、原発稼働を続ける権限は無い
でしょう。福島原発同様、柏崎刈羽原発も直ちに廃炉にする以外の選択肢は無
い筈です。
★3.<テント日誌 1/2(月)>
新年2日目も、テントひろばは賑わって
―― 経産省前テントひろば 114日目――
1月2日(火) 曇り後晴れ
今日は風が強く、冷たい。とくに午後と夜には強風が舞う。そのたびにテン
トはバタバタとはためき、揺れるほどに。
午前中は、さすがに31日、1日の疲れがあってか人も少なく、ひっそりと
静まっていた。が、午後になると次々と人が集まり、相変わらずの賑わいに。
この日は近くで一般参賀があり、その帰りに右翼の来襲が懸念されたが、罵
詈雑言垂れ流しの小さめのワゴンが1台、足早に通り過ぎただけ。
同じ一般参賀の帰り道の母子連れがテントに立ち寄り、訪問者名簿に記帳し
ていく。
昨日も5万円ものカンパをしていただいた方がおられたが、今日も3万円の
カンパをして下さった方が。有り難く頂戴する。
元旦に届いたテントへの年賀状50通ほどに目を通す。本当に全国各地から
熱い想いが寄せられている。ここでまとめてお礼を申し上げておきたい。
なかでも富山の方々からの賀状が多かったが、そういえばテントの前に、富
山の北陸電力本社前でランチタイムアピール行動を続けておられる方々からの
新年のメセージと、行動の写真が張り出してあった。経産省前テントはこのよ
うに全国の人々の行動と強く結ばれているのだと感じる。
テントの前は、昨日に引き続いて、炊き出しあり、野点あり、そして囲碁大
会に書き初めと賑わっている。とくに埼玉からきた16歳の高校生が、お札で
カンパをした後、囲碁大会に参加し、何十歳も年上の囲碁自慢たちをなぎ倒
し、ついに70代の腕自慢と頂上決戦の名人戦。なかなかの見応えある真剣勝
負に。また、三多摩方面から訪れたミュージシャンたちのライブに踊りの輪も
できる、まるで大人の学園祭みたい状態。マリオさん、ボケ丸さん、寒い中有
難う!テントの中では、老若織りまぜて、原発問題での熱い議論がひとしきり
続く。
椎名さんは、救援連絡センターを訪ねたり、渋谷の仲間たちの越冬闘争に合
流して芝居を観たりと、寒い中をたくさん歩いた後、テントにご帰還。強風が
吹き付ける中、テントの夜は更けていく。今日の泊まり込み人員は多い。
( Y・T )
★4.被曝労働(者)問題プロジェクト連続講座第4回
1月22日(日)のおさそい
福島原発事故緊急会議
やっぱり「生きてるうちが花」なのか、
どうして「ニワトリはハダシ」なのか?
─────被曝労働者たちを描いた映画から
・講師:近藤昭二さん(ジャーナリスト/脚本家)
・2012年1月22日(日) 13時より
・会費:800円 ※資料映像あり。
・たんぽぽ舎 4階会議室 千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル
TEL 03-3238-9035 http://www.tanpoposya.net
福島原発事故をきっかけに、原発問題をテーマにした多くの映像が「発掘」
されている。核エネルギーを転用したこの「原子力発電」というテーマはそれ
だけ隠されてきたのである。「被曝労働者たち」を描いた作品はさらに数少な
い。その中で、1985年に作られた森崎東監督『生きてるうちが花なのよ死んだ
らそれまでよ党宣言』という劇映画は、原発建屋の内部で働く人間たちを主人
公にしたほとんど唯一のものだ。
チェルノブイリ事故が起きる前年、敦賀原発を舞台にした作品は、故原田芳
雄が演じるコザから来た男など原発に群がる人間たちの「ごった煮」を描いて
熱く苦い笑いを含んだ傑作だった。ほぼ同じスタッフで作られた18年後の森崎
監督作品『ニワトリはハダシだ』とともに、シナリオを担当したのが近藤昭二
さんである。労働者たちが集まる敦賀で取材を重ねた体験など、私たちがこの
問題に肉薄していくために貴重なお話をじっくりと伺いたい。
講師紹介 近藤昭二さん:
1941年名古屋市生まれ。かつてはテレビ朝日、現在はフリーのディレクター
&シナリオライター。主に事件・司法問題を取材し「NHKスペシャル」「ザ・ス
クープ」などの番組を制作。シナリオでは森崎東監督『ロケーション』(1984
年)などがあり、同監督『ニワトリはハダシだ』(2003年)で、ベルリン映画
祭招待上映・東京国際映画祭最優秀芸術貢献賞・2004年度年間代表シナリオに
選出される。
著書に『誰も知らない死刑の裏側』(二見書房)ほか多数 。訳書に『死の工
場 隠蔽された731部隊』 シェルダン・H・ハリス著(柏書房)など。
たんぽぽ舎です。【TMM:No1301】
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その286 ◆
4つの情報をお知らせします(1月5日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.意見表明が容易な社会を望む
異なる意見を尊重しない社会ほど怖いものはない(東京新聞より)
★2.「事故収束」?
細野原発担当大臣曰く、「住民が追加で避難しなければならない事態は
もう絶対起こらない」?
★3.<テント日誌 1/1(日)>
今年は正念場 しなやかな気持ちで新年を迎える
―― 経産省前テントひろば 113日目 ――
★4.今すぐ、命の危険にさらされているふくしまの子どもたちを救うために
十二人の怒れる市民による「ふくしま集団疎開裁判」世界市民法廷の開
催を決定
★1.意見表明が容易な社会を望む
異なる意見を尊重しない社会ほど怖いものはない(東京新聞より)
弁護士 小町谷 育子
東京新聞には、さまざまなコラムがある。他紙と比較すると、コラムの書き
手のバックグラウンドの多様さと数の多さはぬきんでているよぅに思ぅ。さな
がら、新聞上の伝言版である。特に楽しみにしているのは、杉良太郎さんの
「紙つぶて」だ。(略)過去に芸能界から政治家に転身した人はいる。しか
し、芸能活動をしながら政治的な意見を発信しているひとはほとんど見かけな
い。太田光さんや山本太郎さんぐらいだろう。ハリウッド俳優が特定政党の支
援を公然と表明しているのとは大きな違いがあるようだ。(略)芸能界だけで
はなく、日本の社会全体が政治的な意見の表明をどこか歓迎していないよう
だ。その最たる例が、公務員の政治的な活動の禁止ではないか。休日に公務員
が職務とは無関係に、政党関係のビラを配布したからといって、市民が公務の
中立性、公平性を真剣Lこ疑ぅことがあるのだろうか。
裁判官が法廷の外で政治的な集会に参加したり、メディアで意見を述べたり
しても、それだけで判決が中立的でなくなるはずがない。役所に苦情が来た
り、裁判所がおよそ事案に関連性のない批判にさらされたりするのは、言葉は
悪いが、面倒臭いことだし、公務員の社会では批判されること自体が問題なの
かもしれない。
外国と比べて、日本では人権が保障されているといわれるのは誤りではない
が、大多数の人と同じ行動を取っている限りにおいて保障されているにすぎな
い。だから私たちは権利が侵害されていると感じないのだ。異なる意見を尊重
しない社会、意見に対する批判を恐れて自主的に規制する社会ほど怖いものは
無い。(略)個性を殺した画一性、協調性を重んじる日本社会の息苦しさがあ
るように思う。
★2.「事故収束」?
細野原発担当大臣曰く、「住民が追加で避難しなければならない事態は
もう絶対起こらない」?
たんぽぽ舎・劣化ウラン研究会 山崎 久隆
12月16日の野田首相会見は「冷温停止」と同時に「事故収束」も宣言し
た。このことは以前にも書いたが、もう一つ指摘しなければならない。「事故
収束」を同時に宣言した細野剛志原発担当大臣が「住民が追加で避難しなけれ
ばならない事態はもう絶対起こらない」と言ったのだ。
もともとこの日は「ステップ2」の達成という「節目」についての会見でし
か無かったはずなのに、どういうつもりか事故を収束としてしまった。そのあ
げくに「追加避難は絶対無い」と、根拠の無い「安全宣言」までしてしまっ
た。それを聞いて佐藤雄平福島県知事までもが怒った。事故収束とは、一般に
は事故処理が完了したという意味だろうが、この場合、放射能放出を止めたわ
けでも、事故の影響が無くなったわけでも無い。
最も大きな問題は細野大臣の言う「住民の避難が今後新たに生じない」こと
を「絶対」という言葉で言ったことだ。これほどの事故を引き起こしたのに、
まだ政府には「平常性バイアス」に基づく「安全神話」が生きているのかと愕
然とした。
最も重大な責任があるのは原子力安全委員会だ。斑目春樹委員長は「収束と
いう言葉を使ったことが無い」などと毎日新聞に語っているが、本当ならば全
力を挙げてそのような発言を阻止すべき立場だった。それをしなかった責任は
あまりにも重い。安全神話をまき散らし、事故の影響をできるだけ小さく見せ
ようとする政府の行為を助長するような原子力安全委員会は今すぐ解体すべき
だ。
原子炉直下にある燃料のデブリからは、まだ大量の放射能が出続けて散る。
そのため厳重な装備を付けなければ建屋内部はもちろんのこと、周辺にも近づ
けない。作業員は被曝覚悟で作業に当たるが、収束と言われて呆れかえってい
る。ますます自分たちの安全が脅かされるのではと、恐怖を感じる人も居る。
細野大臣の「絶対」という言葉を使っての追加避難否定発言は、これから放
射能を放出する事態になっても避難を発令しないとも読める。原子炉直下にあ
る燃料は、大量の水を流し続けてようやく冷えている。冷却水が止まれば再度
高温になる。燃料が何処にどうなっているかがさっぱり分からない状態では、
そういうことにならない保証が出来るわけがない。
さらに、気象庁は大規模余震と津波の到来を否定していないばかりか、相当
高い確率で発生し得るとしている。地震と爆発で大破している原発が余震や津
波の襲来に耐えられると、誰が保証できるというのか。健全だった原発ですら
地震で大破したことを、もう忘れたのだろうか。次のステップに進むために
は、仕切りが必要だとしても、それは「収束宣言」ではあり得ない。
★3.<テント日誌 1/1(日)>
今年は正念場 しなやかな気持ちで新年を迎える
―― 経産省前テントひろば 113日目 ――
1月1日(日) 曇り
テントは昨日来のオールナイトの盛り上がりの余韻を残し、テント前は賑わ
い、炊き出しや新年アピール放映が行われている。椎名さんは福島の子ども達
に話が及ぶと思わず目に涙が・・・。同時に、昨夜来の疲れもあって眠りこけ
ている人も多い。
今日も第3テントの皆様の炊き出しで、おいしいうどんや、暖かいコーヒー
に座り込みの仲間の顔がほころびます。交差点を行き交う乗用車、初もうでら
しき人々、観光客風の外国の人々など、意外と交通量はあって、今朝の東京新
聞を見たと言って訪ねてくる方も。(東京新聞の一面下のコラムに、テントひ
ろばでの昨夜のオールナイトのイベントのことが記されていた。)私は、簡易
着物を着こんで、2号テントの受付デスクを外に出してもらって、お抹茶をた
てて、受付と呼びかけ、テントの中では椎名さんや、鎌倉デュオ、など、数名
の方が大掃除。年末に届いた大量の飲料水や湯たんぽなどを整理し、テントの
中に置かれた私物は各自引き取っていただきました。
次々と届く差し入れで、華やいだ食卓となりました。お抹茶は、略式という
よりも、2杯ずつ流れ作業で、淹れては紙コップに移し替えてお渡しする方式
でちょうど良い塩梅の人出。意外と好評で、おかわりの声も。特筆すべきは、
小学生の子どもを自転車に乗せた若いお母さんが、「子供の質問なのですが、
どうして、デモをしないで皆さんは座っているの?」と尋ねていらっしゃっ
て、話が弾みました。脱原発・デモが好意的に捉えられた上での疑問を携えて
の訪問ということに、私たちは確かな手ごたえを感じ取りました。連日通って
いらっしゃる斎藤美智子さんが、嬉しそうにその母子を見送りながら、「毎日
ずーっとデモでは身が持たない」とぽつり。ほんとうに、テントで交流しなが
ら座り込み闘争ができることはありがたいことです。2号テントには、脱原発
お札が張り出されて、皆でその周りをあれこれと工夫して飾り立て、お賽銭箱
も登場、○○ガミさんも登場して、テントの周囲は、正にありがたい雰囲気が
漂っています。
「東北のボランティアの帰りですが、ツイッターで見て、来たかった、名古
屋に帰る途中で高速降りてきました」という青年が質素な作業服のポケットか
らお札をカンパ箱に。また、いかにも下町っ子らしい作業着姿の親父さんは、
「ほら コレッ」と東京新聞を差し出した後、ご祝儀袋にお札を入れてカンパ
箱に。マイクでお話をしていると、信号待ちの都バスの中から、年配の男性が
手を振ってくれたり、乗用車の若者たちが車の窓から身を乗り出して興味深そ
うに見てくれるので、椎名さんがスマイリングサンシールを差し上げると喜ん
で下さったり、右翼も警察も妨害が無いまま3時までの生活時間展開は年初か
ら大成功!
( タッチー )
★4.今すぐ、命の危険にさらされているふくしまの子どもたちを救うために
十二人の怒れる市民による「ふくしま集団疎開裁判」世界市民法廷の開
催を決定
「私たちは100%」チェルノブイリ避難基準の強制避難地域で教育を受け
る子どもたちです。「0%の人たち」の手によって、私たちの命が危険にさら
されるという不正義を、昨年暮れ、裁判所もお墨付きを与えました(12月1
6日決定)。私たちはこのような理不尽な不正義を許す訳には行きません。正
義の裁きを下すため、2012年冬、「ふくしま集団疎開裁判」の世界市民法
廷を開催することにしました。
以下、生原稿ですが(今後、詳細を公表)、発表します。
1.3.11以来、6.24の申立までのふくしまの現実と子どもたちの状況
頬を真っ赤にして、風の中を走りぬけ、木イチゴをほおばり、虫取りに胸を躍
らせ、雪原をころげまわる・・・。それが、ふくしまの子どもたちでした。
3・11福島第一原発の巨大事故により、ふくしまはすっかり変わってしまい
ました。疎開裁判の申立人である14名の子どもたちが住む郡山市では、安定
ヨウ素剤の配布もなく、放射能測定値が公表されない中で、多くの市民が目に
は見えない放射能に曝されたのです。
息子を給水車の列に並ばせてしまった父親がいました。毎日屋外での部活に出
かけた高校生がいました。卒業式を行うという学校の指示に従い、避難先から
娘を連れて戻ってきた母親がいました。
SPEEDIのデータをはじめとする情報は隠され、「安全キャンペーン」に
より、事故は矮小化されました。文科省の年間20mSvの基準に象徴される
ように、さまざまな基準値が突然引き上げられました。
不安と恐怖の中で、親たちは必死で子どもを守ろうとしてきましたが、行政に
よる子どもたちの命と健康の確保は、除染という方法しかなされませんでし
た。避難区域に指定されていない郡山市の子どもたちには命と健康を確保する
ためには自主避難という方法しかありませんでした。しかし、自主避難は、子
どもたちにとっては、友だちと別れ、知らない世界に飛び込まなければならな
いことでした。親たちにとっては、大きな経済的負担や家族が別れ別れになる
ことが余儀なくされるため、その選択を誰もができた訳ではありません。
そのような中で、申立人となった14名の子どもたちはやむにやまれぬ思いで、
「ふくしま集団疎開裁判」を起こしたのです。
2.申立の理由とその意味
(1) なぜ、申立をしたのか?
文科省は、福島県の父母たちの抗議を受けて、2011年5月27日に、福島
県内の学校について、空間線量の値が年間20mSv以下なら教育OKという
基準を改め、年間1mSv以下を目指すと訂正しました。
しかし、現実に福島県内の学校は殆ど全てが年間1mSv以上の汚染状況であ
り、それどころか郡山市中心部では殆ど全てがチェルノブイリ避難基準で強制
的に避難させられる移住義務地域(年5mSv以上)に該当する極めて危険な
状態でした(汚染マップ参照 https://docs.google.com/viewer?url=http%3A%2F%2F1am.sakura.ne.jp%2FNuclear%2Fkou55-4Koriyamap-Airdose.pdf)。
これに対し、文科省と自治体は、福島県の父母たちが強く求めたにもかかわら
ず、子どもたちを安全な場所に移して教育を実施しようとしませんでした。そ
もそも政府は福島第一原発事故の加害者です。加害者という身でありながら、
いわれなき人災のために命と健康の危険にさらされている子どもたちをこのま
ま放置しておくことは、過去に例を見ない凶悪な人権侵害行為であるのみなら
ず、国際法上の犯罪である「人道に対する罪」に該当する重大犯罪です。
そこで、苦しみの中で救済を求めている市民の声に耳を傾けようとしない政府
と自治体の人権侵害行為をただすため、「人権の最後の砦」として政府等の病
理現象を正すことを本来の使命とする裁判所に救済を訴え出ました。それが2
011年6月24日、郡山市の小中学生14名が郡山市を相手に訴えた「子供
たちを安全な場所で教育せよ」を求める裁判(仮処分申立)です。
(2) 申立の意味とは
この疎開裁判が最終的に目指すのは、福島第一原発事故のために命と健康の危
険にさらされている全ての子どもたちが安全な場所で教育を受けられるように
することです。しかし、今の裁判制度ではそれを直ちに実現することは不可能
です。そこで、まず、郡山市の14名の小中学生がいわば先駆けとなって、救
済を求める裁判を起こしました。もしこの訴えが認められたら、次に、14名
の小中学生と同様の危険な環境に置かれている全ての子どもたちの救済を、
「子供たちを安全な場所で教育せよ」という裁判所の命令を踏まえて、市民に
よる対行政交渉を通じて実現するというプランでした。その意味で、この14
名は被ばくにより命と健康の危険にさらされている全ての子どもたちを事実上
代表して、訴訟に出たのです。
3.審理の経過
疎開裁判は過去に例を見ない裁判のため、形式的な理由で門前払いされるおそ
れがありましたが、裁判所は門前払いせず、子どもたちの被ばくの危険性とい
う裁判の主題の検討(実体審理)に入りました。
当初、2011年9月9日で審理を終え、結論を出す予定でしたが、当日、私
たちが提出した書面により審理は異例の延長となりました。8月末に文科省が
公表したセシウムの土壌汚染のデータにより、初めてチェルノブイリ事故との
具体的な対比が可能となったからです(セシウムの汚染度が郡山市と同程度の
ルギヌイ地区を取り上げ、チェルノブイリ事故以後、その地区で発生した異常
な健康障害が、郡山の子どもたちをこのままにしておくと、今後、同様の健康
障害が発生することが予測されると指摘した矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授の意
見書など)。
これに対し、郡山市は、チェルノブイリ事故との対比について「不知」と答え
るのみで、転校の自由があるのだから危険だと思う者は自主的に引っ越せばよ
い、安全な場で教育を受ける権利を侵害したのは東電であって自分たちではな
い、だから郡山市は子どもたちを安全な場所に避難させる義務を負わないと反
論しました。これは人権宣言の正反対とも言うべき人権侵害の宣言です。
これに対し、私たちは、その後もチェルノブイリ事故との対比に関する証拠を
精力的に提出し、万全を期しました。こうして、延長戦の審理は10月末に終了
しました。
4.12.16判決(決定)の結論と理由
仮処分申立は本来、緊急に救済を実現するためのものですが、今回、裁判所が
判断を下したのは審理終結から45日経過した、奇しくも、野田総理大臣が福島
第一原発事故の原子炉は「冷温停止状態」になったと宣言したのと同じ12月
16日でした。結果も同じく「避難停止状態」、子どもたちの申立を却下する
ものでした。
理由のエッセンスは、14名の申立は郡山市の全ての小中学生を有無を言わせ
ず一律に疎開を求めるというものであるから、その要件は厳格に解する必要が
あること、そのためには14名の子どもたちの生命身体に対する具体的に切迫し
た危険性があること、その危険性を判断する上で最大の論拠となるのは空間線
量の値が年間100mSv以上であること、ところが、14名の子どもたちが通
う学校の空間線量の値が年間100mSv以上であることの証明はない、とい
うものでした。
他方で、私たちが最も力を入れて主張・立証した「チェルノブイリ事故との対
比」に対して、裁判所は一切応答せず、これを黙殺しました。
また、申立却下の最大の根拠となったいわゆる100mSv問題(100mS
v未満の放射線量を受けた場合における晩発性障害の発生確率について実証的
な裏付けがないかどうかという問題)について、審理の中では一度も当事者か
らも裁判所からも取り上げられたことがなかったにもかかわらず、裁判所は判
決の中で、いきなり、なおかつ当事者が提出した証拠に基づかずに認定しまし
た。つまり、裁判所は、処分権主義、弁論主義、証拠裁判主義といった「人権
の最後の砦」を支える近代裁判の基本原則をことごとく踏みにじることで申立
却下という結論を導き出したのです(その詳細は、裁判所の判決(決定)に対
するコメント(1) コメント(2) コメント(3) )。
5.判決を是正し、今、命の危険にさらされているふくしまの子どもたちを救
うために必要な取組み
裁判所の判決(決定)は「人権の最後の砦」である司法の自殺であり、政府と
自治体の凶悪な人権侵害行為にお墨付きを与える重大犯罪です。そのため、ふ
くしまの子どもたちは今、命の危険という重大な危機にさらされています。こ
れを救うために、私たちは再び、人類普遍の価値を有する近代の人権宣言の原
点に帰って行動を起こすことにしました。その原点の1つがアメリカ独立革命
のヴァージニア憲法3条です。
「政府は人民、国家または社会の利益、保護および安全のために樹立される。
いかなる政府も、これらの目的に反するか、または不十分であると認められた
場合には、社会の多数の者は、その政府を改良し、変改し、または廃止する権
利を有する。この権利は、疑う余地のない、人に譲ることのできない、また棄
てることもできないものである。」
私たちは、今から「市民の、市民による、市民のための市民法廷」を開催し、
世界中の市民から構成される陪審員の手によって、上記の裁判所の判決が正し
いかどうか、過っているならばその正しい判断と理由は何かについて、人類普
遍の価値を有する人権宣言とそれを子どもに適用した「子どもの権利条約」に
基づいて裁くことにしました。それが「ふくしま集団疎開裁判」世界市民法廷
の開催です。
この世界市民法廷を通じて、今、命の危険にさらされているふくしまの子ども
たちを救うために、世界中の良識ある市民から支持される正しい裁きを下した
いと思います。
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その286 ◆
4つの情報をお知らせします(1月5日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.意見表明が容易な社会を望む
異なる意見を尊重しない社会ほど怖いものはない(東京新聞より)
★2.「事故収束」?
細野原発担当大臣曰く、「住民が追加で避難しなければならない事態は
もう絶対起こらない」?
★3.<テント日誌 1/1(日)>
今年は正念場 しなやかな気持ちで新年を迎える
―― 経産省前テントひろば 113日目 ――
★4.今すぐ、命の危険にさらされているふくしまの子どもたちを救うために
十二人の怒れる市民による「ふくしま集団疎開裁判」世界市民法廷の開
催を決定
★1.意見表明が容易な社会を望む
異なる意見を尊重しない社会ほど怖いものはない(東京新聞より)
弁護士 小町谷 育子
東京新聞には、さまざまなコラムがある。他紙と比較すると、コラムの書き
手のバックグラウンドの多様さと数の多さはぬきんでているよぅに思ぅ。さな
がら、新聞上の伝言版である。特に楽しみにしているのは、杉良太郎さんの
「紙つぶて」だ。(略)過去に芸能界から政治家に転身した人はいる。しか
し、芸能活動をしながら政治的な意見を発信しているひとはほとんど見かけな
い。太田光さんや山本太郎さんぐらいだろう。ハリウッド俳優が特定政党の支
援を公然と表明しているのとは大きな違いがあるようだ。(略)芸能界だけで
はなく、日本の社会全体が政治的な意見の表明をどこか歓迎していないよう
だ。その最たる例が、公務員の政治的な活動の禁止ではないか。休日に公務員
が職務とは無関係に、政党関係のビラを配布したからといって、市民が公務の
中立性、公平性を真剣Lこ疑ぅことがあるのだろうか。
裁判官が法廷の外で政治的な集会に参加したり、メディアで意見を述べたり
しても、それだけで判決が中立的でなくなるはずがない。役所に苦情が来た
り、裁判所がおよそ事案に関連性のない批判にさらされたりするのは、言葉は
悪いが、面倒臭いことだし、公務員の社会では批判されること自体が問題なの
かもしれない。
外国と比べて、日本では人権が保障されているといわれるのは誤りではない
が、大多数の人と同じ行動を取っている限りにおいて保障されているにすぎな
い。だから私たちは権利が侵害されていると感じないのだ。異なる意見を尊重
しない社会、意見に対する批判を恐れて自主的に規制する社会ほど怖いものは
無い。(略)個性を殺した画一性、協調性を重んじる日本社会の息苦しさがあ
るように思う。
★2.「事故収束」?
細野原発担当大臣曰く、「住民が追加で避難しなければならない事態は
もう絶対起こらない」?
たんぽぽ舎・劣化ウラン研究会 山崎 久隆
12月16日の野田首相会見は「冷温停止」と同時に「事故収束」も宣言し
た。このことは以前にも書いたが、もう一つ指摘しなければならない。「事故
収束」を同時に宣言した細野剛志原発担当大臣が「住民が追加で避難しなけれ
ばならない事態はもう絶対起こらない」と言ったのだ。
もともとこの日は「ステップ2」の達成という「節目」についての会見でし
か無かったはずなのに、どういうつもりか事故を収束としてしまった。そのあ
げくに「追加避難は絶対無い」と、根拠の無い「安全宣言」までしてしまっ
た。それを聞いて佐藤雄平福島県知事までもが怒った。事故収束とは、一般に
は事故処理が完了したという意味だろうが、この場合、放射能放出を止めたわ
けでも、事故の影響が無くなったわけでも無い。
最も大きな問題は細野大臣の言う「住民の避難が今後新たに生じない」こと
を「絶対」という言葉で言ったことだ。これほどの事故を引き起こしたのに、
まだ政府には「平常性バイアス」に基づく「安全神話」が生きているのかと愕
然とした。
最も重大な責任があるのは原子力安全委員会だ。斑目春樹委員長は「収束と
いう言葉を使ったことが無い」などと毎日新聞に語っているが、本当ならば全
力を挙げてそのような発言を阻止すべき立場だった。それをしなかった責任は
あまりにも重い。安全神話をまき散らし、事故の影響をできるだけ小さく見せ
ようとする政府の行為を助長するような原子力安全委員会は今すぐ解体すべき
だ。
原子炉直下にある燃料のデブリからは、まだ大量の放射能が出続けて散る。
そのため厳重な装備を付けなければ建屋内部はもちろんのこと、周辺にも近づ
けない。作業員は被曝覚悟で作業に当たるが、収束と言われて呆れかえってい
る。ますます自分たちの安全が脅かされるのではと、恐怖を感じる人も居る。
細野大臣の「絶対」という言葉を使っての追加避難否定発言は、これから放
射能を放出する事態になっても避難を発令しないとも読める。原子炉直下にあ
る燃料は、大量の水を流し続けてようやく冷えている。冷却水が止まれば再度
高温になる。燃料が何処にどうなっているかがさっぱり分からない状態では、
そういうことにならない保証が出来るわけがない。
さらに、気象庁は大規模余震と津波の到来を否定していないばかりか、相当
高い確率で発生し得るとしている。地震と爆発で大破している原発が余震や津
波の襲来に耐えられると、誰が保証できるというのか。健全だった原発ですら
地震で大破したことを、もう忘れたのだろうか。次のステップに進むために
は、仕切りが必要だとしても、それは「収束宣言」ではあり得ない。
★3.<テント日誌 1/1(日)>
今年は正念場 しなやかな気持ちで新年を迎える
―― 経産省前テントひろば 113日目 ――
1月1日(日) 曇り
テントは昨日来のオールナイトの盛り上がりの余韻を残し、テント前は賑わ
い、炊き出しや新年アピール放映が行われている。椎名さんは福島の子ども達
に話が及ぶと思わず目に涙が・・・。同時に、昨夜来の疲れもあって眠りこけ
ている人も多い。
今日も第3テントの皆様の炊き出しで、おいしいうどんや、暖かいコーヒー
に座り込みの仲間の顔がほころびます。交差点を行き交う乗用車、初もうでら
しき人々、観光客風の外国の人々など、意外と交通量はあって、今朝の東京新
聞を見たと言って訪ねてくる方も。(東京新聞の一面下のコラムに、テントひ
ろばでの昨夜のオールナイトのイベントのことが記されていた。)私は、簡易
着物を着こんで、2号テントの受付デスクを外に出してもらって、お抹茶をた
てて、受付と呼びかけ、テントの中では椎名さんや、鎌倉デュオ、など、数名
の方が大掃除。年末に届いた大量の飲料水や湯たんぽなどを整理し、テントの
中に置かれた私物は各自引き取っていただきました。
次々と届く差し入れで、華やいだ食卓となりました。お抹茶は、略式という
よりも、2杯ずつ流れ作業で、淹れては紙コップに移し替えてお渡しする方式
でちょうど良い塩梅の人出。意外と好評で、おかわりの声も。特筆すべきは、
小学生の子どもを自転車に乗せた若いお母さんが、「子供の質問なのですが、
どうして、デモをしないで皆さんは座っているの?」と尋ねていらっしゃっ
て、話が弾みました。脱原発・デモが好意的に捉えられた上での疑問を携えて
の訪問ということに、私たちは確かな手ごたえを感じ取りました。連日通って
いらっしゃる斎藤美智子さんが、嬉しそうにその母子を見送りながら、「毎日
ずーっとデモでは身が持たない」とぽつり。ほんとうに、テントで交流しなが
ら座り込み闘争ができることはありがたいことです。2号テントには、脱原発
お札が張り出されて、皆でその周りをあれこれと工夫して飾り立て、お賽銭箱
も登場、○○ガミさんも登場して、テントの周囲は、正にありがたい雰囲気が
漂っています。
「東北のボランティアの帰りですが、ツイッターで見て、来たかった、名古
屋に帰る途中で高速降りてきました」という青年が質素な作業服のポケットか
らお札をカンパ箱に。また、いかにも下町っ子らしい作業着姿の親父さんは、
「ほら コレッ」と東京新聞を差し出した後、ご祝儀袋にお札を入れてカンパ
箱に。マイクでお話をしていると、信号待ちの都バスの中から、年配の男性が
手を振ってくれたり、乗用車の若者たちが車の窓から身を乗り出して興味深そ
うに見てくれるので、椎名さんがスマイリングサンシールを差し上げると喜ん
で下さったり、右翼も警察も妨害が無いまま3時までの生活時間展開は年初か
ら大成功!
( タッチー )
★4.今すぐ、命の危険にさらされているふくしまの子どもたちを救うために
十二人の怒れる市民による「ふくしま集団疎開裁判」世界市民法廷の開
催を決定
「私たちは100%」チェルノブイリ避難基準の強制避難地域で教育を受け
る子どもたちです。「0%の人たち」の手によって、私たちの命が危険にさら
されるという不正義を、昨年暮れ、裁判所もお墨付きを与えました(12月1
6日決定)。私たちはこのような理不尽な不正義を許す訳には行きません。正
義の裁きを下すため、2012年冬、「ふくしま集団疎開裁判」の世界市民法
廷を開催することにしました。
以下、生原稿ですが(今後、詳細を公表)、発表します。
1.3.11以来、6.24の申立までのふくしまの現実と子どもたちの状況
頬を真っ赤にして、風の中を走りぬけ、木イチゴをほおばり、虫取りに胸を躍
らせ、雪原をころげまわる・・・。それが、ふくしまの子どもたちでした。
3・11福島第一原発の巨大事故により、ふくしまはすっかり変わってしまい
ました。疎開裁判の申立人である14名の子どもたちが住む郡山市では、安定
ヨウ素剤の配布もなく、放射能測定値が公表されない中で、多くの市民が目に
は見えない放射能に曝されたのです。
息子を給水車の列に並ばせてしまった父親がいました。毎日屋外での部活に出
かけた高校生がいました。卒業式を行うという学校の指示に従い、避難先から
娘を連れて戻ってきた母親がいました。
SPEEDIのデータをはじめとする情報は隠され、「安全キャンペーン」に
より、事故は矮小化されました。文科省の年間20mSvの基準に象徴される
ように、さまざまな基準値が突然引き上げられました。
不安と恐怖の中で、親たちは必死で子どもを守ろうとしてきましたが、行政に
よる子どもたちの命と健康の確保は、除染という方法しかなされませんでし
た。避難区域に指定されていない郡山市の子どもたちには命と健康を確保する
ためには自主避難という方法しかありませんでした。しかし、自主避難は、子
どもたちにとっては、友だちと別れ、知らない世界に飛び込まなければならな
いことでした。親たちにとっては、大きな経済的負担や家族が別れ別れになる
ことが余儀なくされるため、その選択を誰もができた訳ではありません。
そのような中で、申立人となった14名の子どもたちはやむにやまれぬ思いで、
「ふくしま集団疎開裁判」を起こしたのです。
2.申立の理由とその意味
(1) なぜ、申立をしたのか?
文科省は、福島県の父母たちの抗議を受けて、2011年5月27日に、福島
県内の学校について、空間線量の値が年間20mSv以下なら教育OKという
基準を改め、年間1mSv以下を目指すと訂正しました。
しかし、現実に福島県内の学校は殆ど全てが年間1mSv以上の汚染状況であ
り、それどころか郡山市中心部では殆ど全てがチェルノブイリ避難基準で強制
的に避難させられる移住義務地域(年5mSv以上)に該当する極めて危険な
状態でした(汚染マップ参照 https://docs.google.com/viewer?url=http%3A%2F%2F1am.sakura.ne.jp%2FNuclear%2Fkou55-4Koriyamap-Airdose.pdf)。
これに対し、文科省と自治体は、福島県の父母たちが強く求めたにもかかわら
ず、子どもたちを安全な場所に移して教育を実施しようとしませんでした。そ
もそも政府は福島第一原発事故の加害者です。加害者という身でありながら、
いわれなき人災のために命と健康の危険にさらされている子どもたちをこのま
ま放置しておくことは、過去に例を見ない凶悪な人権侵害行為であるのみなら
ず、国際法上の犯罪である「人道に対する罪」に該当する重大犯罪です。
そこで、苦しみの中で救済を求めている市民の声に耳を傾けようとしない政府
と自治体の人権侵害行為をただすため、「人権の最後の砦」として政府等の病
理現象を正すことを本来の使命とする裁判所に救済を訴え出ました。それが2
011年6月24日、郡山市の小中学生14名が郡山市を相手に訴えた「子供
たちを安全な場所で教育せよ」を求める裁判(仮処分申立)です。
(2) 申立の意味とは
この疎開裁判が最終的に目指すのは、福島第一原発事故のために命と健康の危
険にさらされている全ての子どもたちが安全な場所で教育を受けられるように
することです。しかし、今の裁判制度ではそれを直ちに実現することは不可能
です。そこで、まず、郡山市の14名の小中学生がいわば先駆けとなって、救
済を求める裁判を起こしました。もしこの訴えが認められたら、次に、14名
の小中学生と同様の危険な環境に置かれている全ての子どもたちの救済を、
「子供たちを安全な場所で教育せよ」という裁判所の命令を踏まえて、市民に
よる対行政交渉を通じて実現するというプランでした。その意味で、この14
名は被ばくにより命と健康の危険にさらされている全ての子どもたちを事実上
代表して、訴訟に出たのです。
3.審理の経過
疎開裁判は過去に例を見ない裁判のため、形式的な理由で門前払いされるおそ
れがありましたが、裁判所は門前払いせず、子どもたちの被ばくの危険性とい
う裁判の主題の検討(実体審理)に入りました。
当初、2011年9月9日で審理を終え、結論を出す予定でしたが、当日、私
たちが提出した書面により審理は異例の延長となりました。8月末に文科省が
公表したセシウムの土壌汚染のデータにより、初めてチェルノブイリ事故との
具体的な対比が可能となったからです(セシウムの汚染度が郡山市と同程度の
ルギヌイ地区を取り上げ、チェルノブイリ事故以後、その地区で発生した異常
な健康障害が、郡山の子どもたちをこのままにしておくと、今後、同様の健康
障害が発生することが予測されると指摘した矢ヶ崎克馬琉球大学名誉教授の意
見書など)。
これに対し、郡山市は、チェルノブイリ事故との対比について「不知」と答え
るのみで、転校の自由があるのだから危険だと思う者は自主的に引っ越せばよ
い、安全な場で教育を受ける権利を侵害したのは東電であって自分たちではな
い、だから郡山市は子どもたちを安全な場所に避難させる義務を負わないと反
論しました。これは人権宣言の正反対とも言うべき人権侵害の宣言です。
これに対し、私たちは、その後もチェルノブイリ事故との対比に関する証拠を
精力的に提出し、万全を期しました。こうして、延長戦の審理は10月末に終了
しました。
4.12.16判決(決定)の結論と理由
仮処分申立は本来、緊急に救済を実現するためのものですが、今回、裁判所が
判断を下したのは審理終結から45日経過した、奇しくも、野田総理大臣が福島
第一原発事故の原子炉は「冷温停止状態」になったと宣言したのと同じ12月
16日でした。結果も同じく「避難停止状態」、子どもたちの申立を却下する
ものでした。
理由のエッセンスは、14名の申立は郡山市の全ての小中学生を有無を言わせ
ず一律に疎開を求めるというものであるから、その要件は厳格に解する必要が
あること、そのためには14名の子どもたちの生命身体に対する具体的に切迫し
た危険性があること、その危険性を判断する上で最大の論拠となるのは空間線
量の値が年間100mSv以上であること、ところが、14名の子どもたちが通
う学校の空間線量の値が年間100mSv以上であることの証明はない、とい
うものでした。
他方で、私たちが最も力を入れて主張・立証した「チェルノブイリ事故との対
比」に対して、裁判所は一切応答せず、これを黙殺しました。
また、申立却下の最大の根拠となったいわゆる100mSv問題(100mS
v未満の放射線量を受けた場合における晩発性障害の発生確率について実証的
な裏付けがないかどうかという問題)について、審理の中では一度も当事者か
らも裁判所からも取り上げられたことがなかったにもかかわらず、裁判所は判
決の中で、いきなり、なおかつ当事者が提出した証拠に基づかずに認定しまし
た。つまり、裁判所は、処分権主義、弁論主義、証拠裁判主義といった「人権
の最後の砦」を支える近代裁判の基本原則をことごとく踏みにじることで申立
却下という結論を導き出したのです(その詳細は、裁判所の判決(決定)に対
するコメント(1) コメント(2) コメント(3) )。
5.判決を是正し、今、命の危険にさらされているふくしまの子どもたちを救
うために必要な取組み
裁判所の判決(決定)は「人権の最後の砦」である司法の自殺であり、政府と
自治体の凶悪な人権侵害行為にお墨付きを与える重大犯罪です。そのため、ふ
くしまの子どもたちは今、命の危険という重大な危機にさらされています。こ
れを救うために、私たちは再び、人類普遍の価値を有する近代の人権宣言の原
点に帰って行動を起こすことにしました。その原点の1つがアメリカ独立革命
のヴァージニア憲法3条です。
「政府は人民、国家または社会の利益、保護および安全のために樹立される。
いかなる政府も、これらの目的に反するか、または不十分であると認められた
場合には、社会の多数の者は、その政府を改良し、変改し、または廃止する権
利を有する。この権利は、疑う余地のない、人に譲ることのできない、また棄
てることもできないものである。」
私たちは、今から「市民の、市民による、市民のための市民法廷」を開催し、
世界中の市民から構成される陪審員の手によって、上記の裁判所の判決が正し
いかどうか、過っているならばその正しい判断と理由は何かについて、人類普
遍の価値を有する人権宣言とそれを子どもに適用した「子どもの権利条約」に
基づいて裁くことにしました。それが「ふくしま集団疎開裁判」世界市民法廷
の開催です。
この世界市民法廷を通じて、今、命の危険にさらされているふくしまの子ども
たちを救うために、世界中の良識ある市民から支持される正しい裁きを下した
いと思います。
たんぽぽ舎です。【TMM:No1300】
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その285 ◆
4つの情報をお知らせします(1月4日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.国・事故調の中間報告と問題点
原発事故、人災で拡大=東電の事故後対応極めて不適切と指摘、
が、「地震での損傷を認めない」のはおかしく、恣意的な報告書
★2.東京新聞で3人の専門家が批判と注文(12月27日付け)
「報告書」を国民や世界の疑問に答えていない、
50点満点なら25点の文章だと、酷評
★3.福島原発事故=調査委「中間報告」の責任問題回避を許さない
地震による配管破断の事実を隠ぺいした「中間報告」
事故の要因を狭く切りちぢめた「中間報告」
「聞き取り重視」を言い訳にした「責任追及」の欠落
★4.テント日誌より
イ.<テント日誌 12/30(金)>
年末~年始のイベント始まる オールナイト映画鑑賞会
―― 経産省前テントひろば 111日目 ――
ロ.<テント日誌 12/31(土)>
テントひろばの盛り上がる熱気
様々な思いが交差する中、年は暮れていく
―― 経産省前テントひろば 112日目 ――
★1.国・事故調の中間報告と問題点
原発事故、人災で拡大=東電の事故後対応極めて不適切と指摘、
が、「地震での損傷を認めない」のはおかしく、恣意的な報告書
福島第1原発事故をめぐり、国の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太
郎東京大学名誉教授)は26日、多角的に事故原因を検証する中間報告を公表
した。非常用ディーゼル発電機のほか配電盤も地下に会ったため津波で水没
し、全交流電源喪失を招いたと指摘。吉田昌郎(まさお)所長(当時)ら東京
電力側が、原子炉に注水して冷やす非常用装置が稼働していると誤認して代り
の冷却手段の準備が、被害が拡大した可能性があると述べた。
※テレビ朝日系列で12月28日放映された「報道ステーション年末SP メ
ルトダウン5日間の真実」で、詳細な再現が試みられています。ネットで検索
すればご覧になることが出来ると思います。
★2.東京新聞で3人の専門家が批判と注文(12月27日付け)
「報告書」を国民や世界の疑問に答えていない、
50点満点なら25点の文章だと、酷評
公表された中間報告に専門家からは「踏み込みが足りない」「国の方針と擦
り合わせたのでは」との批判や最終報告に向けた注文が相次いだ。
「事故の教訓を共有しようという視点がなく事実を並べただけで分析が足り
ない。中間報告が50点満点なら25点」と話すのは谷口武俊東大大学院客員
教授(リスク管理)。
地震による影響の分析、水素爆発の原因、風評被害、自治体の動きへの踏み
込んだ言及がほとんどないことも挙げ「中間報告は事故調の問題意識を裏付け
る情報だけで作られたようだ。反対の証拠もそろえ、分析してこそ事故調査だ
ろう。国民や世界の疑問に答えていない」とばっさり。
民間の事故調査プロジェクトに加わる東京工業大学の飯尾俊二准教授(核融
合学)は「福島第1原発1~5号機の形式は欠陥が指摘されているが、こうし
たハードウエアの問題がほとんど論じられていない。同じ形式を他の原発でも
採用しているため、原発推進派の意向が反映されたのかもしれない」と指摘す
る。
報告書の信用性が十分に担保されていないとの意見も。松岡猛宇都宮大学客
員教授(安全工学)は「相手の説明をうのみにしていないか、第三者がチェッ
クできる仕組みが必要だ」と指摘。委員の論議まで非公開とした方針について
「調査に自身があるなら公開すべきだ」と断じた。
★3.福島原発事故=調査委「中間報告」の責任問題回避を許さない
地震による配管破断の事実を隠ぺいした「中間報告」
事故の要因を狭く切りちぢめた「中間報告」
「聞き取り重視」を言い訳にした「責任追及」の欠落
立川自衛隊監視テント村 岩下 雅裕
12月26日、政府の事故調査・検証委員会の「中間報告」が公表された。
関係者456人からの聞き取りを行ったとのことで、資料を含め700ページ
を越える膨大なレポートだ。だがそれは、以下の3点で根本的な欠陥を持つ。
(1) 事故原因を津波にしぼり、政府・東電の「想定外の事故」という言い分に
半ば妥協している
(2) 政府の対応の混乱など事故拡大要因も列挙はしているが、全体的に要因分
析が狭い
(3) 「聞き取り重視」という手法を隠れ蓑に、事故の責任問題に踏み込むこと
を回避している
実は私は、委員長が畑村洋太郎であることに関心をもち、「中間報告」の内
容にそれなりの期待を持っていた。なぜなら仕事の関係で彼の著書『失敗学の
すすめ』(注1)を読んだことがあり、参考になる点が多かったからだ。だが
今回の報告は、彼の著書の内容も裏切っていると言わざるをえない。
●地震による配管破断の事実を隠ぺいした「中間報告」
事故原因に関しては、東電は「中間報告」発表を前にして、事故の直接的原
因は13メートルに及ぶ津波だったと発表していた。これに対し委員会の大勢
は地震説だったという(12/8、ルモンド紙)。吉岡斉委員は、「仮に津波
への防御があったとしても、何も問題が起こらなかったと証明する事実は何も
ない」と述べている。また田中三彦委員は、事故現場の技術者の水位と圧力に
関する生データをベースに、配管系の損傷と冷却水の喪失の可能性を主張して
いた(注2)。この「可能性」は、後に配管損傷レベルと冷却水喪失スピード
のシミュレーションで確かめられた。保安院も「配管の損傷の可能性」を認め
ていた。ところがこの地震説は、「中間報告」公表の1週間前に「踏み込んだ
判断を見送る」こととなり(12/19、中国新聞)、そして結局、なんらの
判断も「中間報告」には見当たらないことになったのである。
いま電力各社からストレステストの報告が上がっており、年明けにはIAE
Aが来日してストレステストの判断を「オーソライズ」する目論見が進んでい
る。また原発立地自治体の3月議会では、原発再稼働への判断が問われること
になろう。そのタイミングで地震説が消え去ったことは、まさに「政治的判
断」というしかない。「中間報告」では、スリーマイルやチェルノブイリの事
故後のことに触れている。安全委員会は92年、「過酷事故対策」の導入を決
めたが、発生の可能性は小さいと電力会社の自主対策に委ねた。地震などの
「外的事象」は対策手法が未確立と、対象にさえしなかったのである。「中間
報告」はそれを批判しつつ、再びこの轍を踏もうとしている。そして過酷事故
を津波被害にしぼり、さらに「非常用冷却だけは守れるようにするのが工学的
に適した設計」と問題を矮小化するのである。「中間報告」は、当事者の
「(設計基準を越える自然災害を)想定しはじめるときりがない」という証言
を採録しているが、それはエンジニアの「認識の甘さ」の問題ではない。その
背後には、政府の原発推進の戦略、資本の原発の経済性確保の意図がある。地
震説の放棄と矮小な工学論議は、「中間報告」の政治的・経済的そして技術的
な屈服を象徴していると言わざるをえない。
●事故の要因を狭く切りちぢめた「中間報告」
委員会は原子炉自体の技術者を含まなかったことから、当初「事故原因にテ
クニカルに踏み込めるのか」という危惧が表明されていた。畑村氏の仕事も、
技術そのものというよりは技術管理の分野に属する。それにもかかわらず私は
さきほど、畑村委員長にそれなりの期待感を持っていたと述べた。なぜなら彼
は、『失敗学のすすめ』のなかで「失敗原因の階層性」を力説し、下図(http://yo3only.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/12/28/failure.jpg)
のような概念を与えていたからである(P63)。それは事故の究明にあた
り、個々人に責任や組織運営上の問題に止まることなく、企業組織・政府・社
会システムにまで原因を深く掘る必要性を論じている。また「未知への遭遇」
(地震・津波などによる過酷事故)に際しては、すべてを止めて一から技術開
発をやり直すこと、またはすべてを放棄することを求めている。
このような概念は企業でいまかなり一般化されており、それにもとづき例え
ば技術開発の場面では通常、FTA (Failure Tree Analysis)という手法で
事故要因の洗い出しと真因の究明が行われる(注3)。その全項目に対し是正
措置が定められ、実行が確認されなければ対策は終了しない(注4)。ところ
が「中間報告」は、6つの層のうち「個々人に責任のある失敗」と「組織運営
不良」のレベルを論ずるだけで、「企業経営不良」以上の層にはほとんど手を
つけていない。そして地震については一方で「未知への遭遇」の層に棚上げし
つつ、すべてを止めて一からやり直す、すべてを放棄するという義務をネグレ
クトしているのである。
●「聞き取り重視」を言い訳にした「責任追及」の欠落
この中途半端さはどこから来るのだろうか? 畑村氏は「失敗の当事者から
話を聞きだし、その失敗を知識化するときのコツ」について、「一番大切なの
は、聞き手がいっさい批判をしないことです」と述べている(P134~13
5)。原因の究明に当たり、この聞き取りの「コツ」は必要かつ有効である。
だが是正措置の決定や実行(何故、誰が、何を、どこで、何時までに、いくら
かけて)に当たっては、責任の所在が明確になる必要がある。この「下向」と
「上向」のプロセスがなければ、実際に原発(とその事故)を無くすことがで
きない。しかし委員会は、個々に問題を指摘するだけで責任の所在を明確にす
ることがない。そしてこれは、事故の要因を狭く切り縮めることと関連してい
る。なぜなら失敗原因の上級階層において責任を追及することは、政治的・経
済的・社会的な、歴史的に形成・蓄積された「力」を追及することになるから
だ。また畑村氏の学問的な目的が「失敗を知識化する」ことであることにも関
連している。それはせいぜい、個人や組織が二度と失敗を繰り返さないために
参照するデータベースの構築にすぎず、そもそも責任概念や原発を無くす/無
くさないという判断からは遠くにあろうとしているのである。
畑村創造工学研究所は「失敗知識データベース」を公開している(注5)。
そのなかで「原子力」の分野では31事例があるが、その約3分の1にあたる
10件が様々な要因による配管の損傷と冷却材の漏えいだ(そこからの2次災
害の火災を加えると11件)。これだけの「知識化」が行われながら、「中間
報告」から地震説が消え、配管損傷による冷却水喪失の推定を無視したこと
は、畑村氏の破産を意味している。
*********************************
「中間報告」は、ストレステストや再稼働の動きに対する闘いと並行しなが
ら、徹底的に批判されていく必要があるだろう。私たちは、原発事故の原因と
運動の課題を広く見極め、あらゆる責任者を継続的に追及することで、すべて
の原発の停止と廃炉を目指していきたい。次の闘いのヤマは来年の3/11、
原発事故勃発の1周年の日である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(注1)講談社刊。最初はハードカバーで出版されたが、05年に文庫版が出
た。引用は文庫版による
(注2)雑誌『科学』9月号、「福島第一原発1号機事故・東電シミュレーシ
ョン解析批判と、地震動による冷却材喪失事故の可能性の検討」。なお『科
学』9月号は品切れとなっている
(注3)関連して、http://yo3only.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-eeaf.html 参照
(注4)福島原発事故緊急会議では、いま反/脱原発運動の全課題を整理する
(マトリクス作成)を行っているが、その前提となるのはFTAである
(注5)http://www.sozogaku.com/fkd/index.html 参照
★4.テント日誌より
イ.<テント日誌 12/30(金)>
年末~年始のイベント始まる オールナイト映画鑑賞会
―― 経産省前テントひろば 111日目 ――
12月30日(金)快晴、風が強い
「東電、経産省の仕事納めはなりません」の福島の女性たちののべ100名
を超える抗議行動の翌日の早朝、女性テントは、ひとしきり、主の不在である
かのような「館」となっていた。強い風がテントのキャンバスをはためかせ、
記帳窓口を開けようという男テントをわずらわす。いらいらしているスタッフ
のところへ、女性がキャンバスをかき分け、お顔をのぞかせて、「これ皆さん
で、召しあがってください」とのこと。女性のテントの分はもうとってありま
すので、と白い発泡スチロールの箱には、一つ一つ透明なラップでくるんであ
るおにぎりの行列。触ると温かい。女性テントでどの程度とられたのか、分か
りませんが、こちらでも、30個ほどはあった。しょうゆ味に鮭肉がまぶされ
ている。
ある先輩がこうおっしゃっていた。「このテントでは、食べ物の心配はいら
ないよ。じっと待っていれば、誰かが差し入れてくれるから…」こういうこと
か! 暫くして、女性が「鍋はどこで洗いましょう?」。大なべ3つ、パック
3つほど、携えて、ふたりで公園に向かう。さすが、女性のお仕事は、丁寧か
つ速い。
夕刻、おとといさしいれてくれたたんぽぽ舎のSさんが鍋を回収しに来た。
「よごれていてもよかったんだけどね、ポトフの次は、イタリア風のミネスト
ローネ・スープにしてみようかな?」とにかく間に合ってよかった!火器使用
禁止のテントでは、差し入れだけが、本格的食事だ。
午後、私用で2時間ほど開けて、テントへ帰ると、随分のにぎわい。反原
発・年越しOccupy経産省前テント実行委員会主催の「こんなんじゃ、よい年迎
えらんない99%のための祭り~みんなでつくろう!年末年始大生放送!の舞
台づくりその他で、かいがいしい風情。
ギャラリーも徐々に増えて、一昨日のテント前の抗議集会の勢いが蘇りそう
だ。冷気もひとしおの4時過ぎ、新しいレイバーネットのネット生中継への出
演者が来始めたが、なぜか、寒風に唇ひきむすぶかとおもいきや、ファイトが
微笑を浮かべている。福島の人々への「救援」になんらかの助けになればとい
う祈りと含羞と連帯感のほほえみはよいものだ。キャスター役の女性二人はリ
ハーサルもふくめて6時間、寒風に耐え抜いて、唇も蒼ざめていたのはいたま
しいことではあった。
そのあと、オールナイトの映画鑑賞会が開かれ、女子テントは江戸時代の歌
舞伎場の様だった。ポルトガル、ブラジル、フィリッピン、オーストラリアな
どの男女青年たちから、マスコミでは無理なパーソナル・オーラル・コミュニ
ケーションによって、大切な情報をもらった。
オールナイト映画上映会は、俊英、早川由美子監督の自作「ブライアンと仲
間たち」から始まり、計5番組放映された。コマーシャリズムから自由な、新
しいリアリズム、ドキュメンタリー作品が相次ぎ、新しい年を迎える予習とし
ては、最高だった。早川監督の紹介してくれたブライアンさんは、今年6月亡
くなられたそうです。国会議事堂前で、反戦・平和を訴えるためテント暮らし
を続け、家族にも会いにゆかぬ闘争を敢行した。8年以上家にも帰らず、一日
も休まず、英米政府のテロ撲滅戦争に抗議してきた男とその仲間のドキュメン
タリー映画こそ、このテントで観たいものだった。監督は最後まで、映像放映
のお世話をしてくださった。テント座り込み111日めの告示は、この日、ポ
ルトガルのアーティストが描いてくださった。
(Q記)
ロ.<テント日誌 12/31(土)>
テントひろばの盛り上がる熱気
様々な思いが交差する中、年は暮れていく
―― 経産省前テントひろば 112日目 ――
12月31日(土)快晴、微風。
反原発・年越しOccupy@経産省テント実行委員会主催の「大生放送」のプロ
グラムに、大きく影響される。午前中も昨日の映画祭の影響で、早朝帰宅のか
たが去るまでは、熱気が消えない。いつもの座り込みのメンバーやスタッフが
そろう頃には、大みそかのイヴェントの準備がまた始まる。寒中の「野」ざら
しの中継の激務で、パートナーが倒れたとレイバーネットのMさんがブツブツ
交換の敷物を準備しながら、ブツブツ……。
カンパの年越しそばをかたじけなくいただいてる頃、経産省の警備員が、ビ
デオスタッフを連れて、だまったまま蒼ざめたような風情で会場を横断する。
『紅白歌合戦』は17時ころ開始。観戦しているところに、幹部のEさんが
帰ってきた。国際結婚したお孫さんと会うのを日本で果たすことができなかっ
た。イギリス人のおむこさんが、お孫さんの被ばくを警戒して、間の国で『正
月祝い』とお孫さんとの邂逅をされることになった。日本=被爆国がヴェトナ
ム、ヨルダンなどへ「最高級の原発技術」を輸出し、憲法9条のある国が、南
スーダンへ駐留軍を長期派遣する。事故報告もいい加減な政府関係者が、首相
に「収束宣言」をさせる…。こうした二重基準の中で、福島の住民は、こども
は信ずるものは、自己自身のほかにはなくなる危機に追い込まれる。医師や学
校の先生が、虚言を弄する時代!
受付に機動隊がひとり立ちふさがり、じっとこちらをねめつけている。ビ
ニール扉をめくると、黙ったまま、カンパをいれてくれる。おそらく、郵貯の
現金輸送車の警備スタッフだったのだ。角松はとびきり立派だ。この門松も、
若い御嬢さんのカンパだった。こうした支持の金東雲があるかぎり、この魔法
のテントは限りなく飛ぶ。
いよいよ、感動の歌合戦が終わってカウントダウンに入ったとき、不当雇
用・解雇抗議の座り込みを工場でしている韓国自動車工場とアクセス。新年は
韓国のソウルの労働者と連帯することに。F夫妻のまわりには、海外からのお
客様が二人をとりかこんでいる。
紅組最終は、椎名千栄子さんの「原爆許すまじ」、白組は、ジョニーさんの
傑作替え歌集。老若男女、ジョニーさんのギターひきがたりと国際的な映像交
換とともに、バークレーの大学占拠からNYのウォールストリートへと歌いつ
がれた、「乗合電車」を大合唱する。合衆国だけで、340ほどの0ccupyテン
トがあったそうだ。いまは、増えているか、減っているか?
午前1時から4時まで、第二テントの外は、打楽器の嵐、中では、関電前座
り込み、福島、寿、山谷、渋谷炊き出し隊とのUST上の情報交換(歌合戦の
おりおり)の後での、トーク・セッションとなった。東電前アクションから、
高橋幸子、テントから、椎名千恵子が出演。雨宮処凛、素人の乱の松本哉、青
年ユニオン委員長、反貧困グループ、TVディレクターなどが、新年のゆくえ
を語り合った。
2011年9月11日から建ち上がったこのテントは、世界情報の池への一
石となり、国内外に波紋を広げている。角松の寄進は、このテントの支持層の
多種多様さを物語ってあまりある。福島の避難地域それは、冥土イン・Japan
であり、原発の冥土の旅の一里塚となっていると信じたい。カウント・ダウン
のおり、社民党委員長の福島みずほさんが、SPなしで立ち現われ、マイクを
差し出されて、再稼働許すまじの演説をされた。民衆の海のほかに、信ずべき
ものは、今ないと実感して、新しい年を迎えた。
(Q記)
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その285 ◆
4つの情報をお知らせします(1月4日)
12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
★1.国・事故調の中間報告と問題点
原発事故、人災で拡大=東電の事故後対応極めて不適切と指摘、
が、「地震での損傷を認めない」のはおかしく、恣意的な報告書
★2.東京新聞で3人の専門家が批判と注文(12月27日付け)
「報告書」を国民や世界の疑問に答えていない、
50点満点なら25点の文章だと、酷評
★3.福島原発事故=調査委「中間報告」の責任問題回避を許さない
地震による配管破断の事実を隠ぺいした「中間報告」
事故の要因を狭く切りちぢめた「中間報告」
「聞き取り重視」を言い訳にした「責任追及」の欠落
★4.テント日誌より
イ.<テント日誌 12/30(金)>
年末~年始のイベント始まる オールナイト映画鑑賞会
―― 経産省前テントひろば 111日目 ――
ロ.<テント日誌 12/31(土)>
テントひろばの盛り上がる熱気
様々な思いが交差する中、年は暮れていく
―― 経産省前テントひろば 112日目 ――
★1.国・事故調の中間報告と問題点
原発事故、人災で拡大=東電の事故後対応極めて不適切と指摘、
が、「地震での損傷を認めない」のはおかしく、恣意的な報告書
福島第1原発事故をめぐり、国の事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太
郎東京大学名誉教授)は26日、多角的に事故原因を検証する中間報告を公表
した。非常用ディーゼル発電機のほか配電盤も地下に会ったため津波で水没
し、全交流電源喪失を招いたと指摘。吉田昌郎(まさお)所長(当時)ら東京
電力側が、原子炉に注水して冷やす非常用装置が稼働していると誤認して代り
の冷却手段の準備が、被害が拡大した可能性があると述べた。
※テレビ朝日系列で12月28日放映された「報道ステーション年末SP メ
ルトダウン5日間の真実」で、詳細な再現が試みられています。ネットで検索
すればご覧になることが出来ると思います。
★2.東京新聞で3人の専門家が批判と注文(12月27日付け)
「報告書」を国民や世界の疑問に答えていない、
50点満点なら25点の文章だと、酷評
公表された中間報告に専門家からは「踏み込みが足りない」「国の方針と擦
り合わせたのでは」との批判や最終報告に向けた注文が相次いだ。
「事故の教訓を共有しようという視点がなく事実を並べただけで分析が足り
ない。中間報告が50点満点なら25点」と話すのは谷口武俊東大大学院客員
教授(リスク管理)。
地震による影響の分析、水素爆発の原因、風評被害、自治体の動きへの踏み
込んだ言及がほとんどないことも挙げ「中間報告は事故調の問題意識を裏付け
る情報だけで作られたようだ。反対の証拠もそろえ、分析してこそ事故調査だ
ろう。国民や世界の疑問に答えていない」とばっさり。
民間の事故調査プロジェクトに加わる東京工業大学の飯尾俊二准教授(核融
合学)は「福島第1原発1~5号機の形式は欠陥が指摘されているが、こうし
たハードウエアの問題がほとんど論じられていない。同じ形式を他の原発でも
採用しているため、原発推進派の意向が反映されたのかもしれない」と指摘す
る。
報告書の信用性が十分に担保されていないとの意見も。松岡猛宇都宮大学客
員教授(安全工学)は「相手の説明をうのみにしていないか、第三者がチェッ
クできる仕組みが必要だ」と指摘。委員の論議まで非公開とした方針について
「調査に自身があるなら公開すべきだ」と断じた。
★3.福島原発事故=調査委「中間報告」の責任問題回避を許さない
地震による配管破断の事実を隠ぺいした「中間報告」
事故の要因を狭く切りちぢめた「中間報告」
「聞き取り重視」を言い訳にした「責任追及」の欠落
立川自衛隊監視テント村 岩下 雅裕
12月26日、政府の事故調査・検証委員会の「中間報告」が公表された。
関係者456人からの聞き取りを行ったとのことで、資料を含め700ページ
を越える膨大なレポートだ。だがそれは、以下の3点で根本的な欠陥を持つ。
(1) 事故原因を津波にしぼり、政府・東電の「想定外の事故」という言い分に
半ば妥協している
(2) 政府の対応の混乱など事故拡大要因も列挙はしているが、全体的に要因分
析が狭い
(3) 「聞き取り重視」という手法を隠れ蓑に、事故の責任問題に踏み込むこと
を回避している
実は私は、委員長が畑村洋太郎であることに関心をもち、「中間報告」の内
容にそれなりの期待を持っていた。なぜなら仕事の関係で彼の著書『失敗学の
すすめ』(注1)を読んだことがあり、参考になる点が多かったからだ。だが
今回の報告は、彼の著書の内容も裏切っていると言わざるをえない。
●地震による配管破断の事実を隠ぺいした「中間報告」
事故原因に関しては、東電は「中間報告」発表を前にして、事故の直接的原
因は13メートルに及ぶ津波だったと発表していた。これに対し委員会の大勢
は地震説だったという(12/8、ルモンド紙)。吉岡斉委員は、「仮に津波
への防御があったとしても、何も問題が起こらなかったと証明する事実は何も
ない」と述べている。また田中三彦委員は、事故現場の技術者の水位と圧力に
関する生データをベースに、配管系の損傷と冷却水の喪失の可能性を主張して
いた(注2)。この「可能性」は、後に配管損傷レベルと冷却水喪失スピード
のシミュレーションで確かめられた。保安院も「配管の損傷の可能性」を認め
ていた。ところがこの地震説は、「中間報告」公表の1週間前に「踏み込んだ
判断を見送る」こととなり(12/19、中国新聞)、そして結局、なんらの
判断も「中間報告」には見当たらないことになったのである。
いま電力各社からストレステストの報告が上がっており、年明けにはIAE
Aが来日してストレステストの判断を「オーソライズ」する目論見が進んでい
る。また原発立地自治体の3月議会では、原発再稼働への判断が問われること
になろう。そのタイミングで地震説が消え去ったことは、まさに「政治的判
断」というしかない。「中間報告」では、スリーマイルやチェルノブイリの事
故後のことに触れている。安全委員会は92年、「過酷事故対策」の導入を決
めたが、発生の可能性は小さいと電力会社の自主対策に委ねた。地震などの
「外的事象」は対策手法が未確立と、対象にさえしなかったのである。「中間
報告」はそれを批判しつつ、再びこの轍を踏もうとしている。そして過酷事故
を津波被害にしぼり、さらに「非常用冷却だけは守れるようにするのが工学的
に適した設計」と問題を矮小化するのである。「中間報告」は、当事者の
「(設計基準を越える自然災害を)想定しはじめるときりがない」という証言
を採録しているが、それはエンジニアの「認識の甘さ」の問題ではない。その
背後には、政府の原発推進の戦略、資本の原発の経済性確保の意図がある。地
震説の放棄と矮小な工学論議は、「中間報告」の政治的・経済的そして技術的
な屈服を象徴していると言わざるをえない。
●事故の要因を狭く切りちぢめた「中間報告」
委員会は原子炉自体の技術者を含まなかったことから、当初「事故原因にテ
クニカルに踏み込めるのか」という危惧が表明されていた。畑村氏の仕事も、
技術そのものというよりは技術管理の分野に属する。それにもかかわらず私は
さきほど、畑村委員長にそれなりの期待感を持っていたと述べた。なぜなら彼
は、『失敗学のすすめ』のなかで「失敗原因の階層性」を力説し、下図(http://yo3only.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/12/28/failure.jpg)
のような概念を与えていたからである(P63)。それは事故の究明にあた
り、個々人に責任や組織運営上の問題に止まることなく、企業組織・政府・社
会システムにまで原因を深く掘る必要性を論じている。また「未知への遭遇」
(地震・津波などによる過酷事故)に際しては、すべてを止めて一から技術開
発をやり直すこと、またはすべてを放棄することを求めている。
このような概念は企業でいまかなり一般化されており、それにもとづき例え
ば技術開発の場面では通常、FTA (Failure Tree Analysis)という手法で
事故要因の洗い出しと真因の究明が行われる(注3)。その全項目に対し是正
措置が定められ、実行が確認されなければ対策は終了しない(注4)。ところ
が「中間報告」は、6つの層のうち「個々人に責任のある失敗」と「組織運営
不良」のレベルを論ずるだけで、「企業経営不良」以上の層にはほとんど手を
つけていない。そして地震については一方で「未知への遭遇」の層に棚上げし
つつ、すべてを止めて一からやり直す、すべてを放棄するという義務をネグレ
クトしているのである。
●「聞き取り重視」を言い訳にした「責任追及」の欠落
この中途半端さはどこから来るのだろうか? 畑村氏は「失敗の当事者から
話を聞きだし、その失敗を知識化するときのコツ」について、「一番大切なの
は、聞き手がいっさい批判をしないことです」と述べている(P134~13
5)。原因の究明に当たり、この聞き取りの「コツ」は必要かつ有効である。
だが是正措置の決定や実行(何故、誰が、何を、どこで、何時までに、いくら
かけて)に当たっては、責任の所在が明確になる必要がある。この「下向」と
「上向」のプロセスがなければ、実際に原発(とその事故)を無くすことがで
きない。しかし委員会は、個々に問題を指摘するだけで責任の所在を明確にす
ることがない。そしてこれは、事故の要因を狭く切り縮めることと関連してい
る。なぜなら失敗原因の上級階層において責任を追及することは、政治的・経
済的・社会的な、歴史的に形成・蓄積された「力」を追及することになるから
だ。また畑村氏の学問的な目的が「失敗を知識化する」ことであることにも関
連している。それはせいぜい、個人や組織が二度と失敗を繰り返さないために
参照するデータベースの構築にすぎず、そもそも責任概念や原発を無くす/無
くさないという判断からは遠くにあろうとしているのである。
畑村創造工学研究所は「失敗知識データベース」を公開している(注5)。
そのなかで「原子力」の分野では31事例があるが、その約3分の1にあたる
10件が様々な要因による配管の損傷と冷却材の漏えいだ(そこからの2次災
害の火災を加えると11件)。これだけの「知識化」が行われながら、「中間
報告」から地震説が消え、配管損傷による冷却水喪失の推定を無視したこと
は、畑村氏の破産を意味している。
*********************************
「中間報告」は、ストレステストや再稼働の動きに対する闘いと並行しなが
ら、徹底的に批判されていく必要があるだろう。私たちは、原発事故の原因と
運動の課題を広く見極め、あらゆる責任者を継続的に追及することで、すべて
の原発の停止と廃炉を目指していきたい。次の闘いのヤマは来年の3/11、
原発事故勃発の1周年の日である。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(注1)講談社刊。最初はハードカバーで出版されたが、05年に文庫版が出
た。引用は文庫版による
(注2)雑誌『科学』9月号、「福島第一原発1号機事故・東電シミュレーシ
ョン解析批判と、地震動による冷却材喪失事故の可能性の検討」。なお『科
学』9月号は品切れとなっている
(注3)関連して、http://yo3only.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-eeaf.html 参照
(注4)福島原発事故緊急会議では、いま反/脱原発運動の全課題を整理する
(マトリクス作成)を行っているが、その前提となるのはFTAである
(注5)http://www.sozogaku.com/fkd/index.html 参照
★4.テント日誌より
イ.<テント日誌 12/30(金)>
年末~年始のイベント始まる オールナイト映画鑑賞会
―― 経産省前テントひろば 111日目 ――
12月30日(金)快晴、風が強い
「東電、経産省の仕事納めはなりません」の福島の女性たちののべ100名
を超える抗議行動の翌日の早朝、女性テントは、ひとしきり、主の不在である
かのような「館」となっていた。強い風がテントのキャンバスをはためかせ、
記帳窓口を開けようという男テントをわずらわす。いらいらしているスタッフ
のところへ、女性がキャンバスをかき分け、お顔をのぞかせて、「これ皆さん
で、召しあがってください」とのこと。女性のテントの分はもうとってありま
すので、と白い発泡スチロールの箱には、一つ一つ透明なラップでくるんであ
るおにぎりの行列。触ると温かい。女性テントでどの程度とられたのか、分か
りませんが、こちらでも、30個ほどはあった。しょうゆ味に鮭肉がまぶされ
ている。
ある先輩がこうおっしゃっていた。「このテントでは、食べ物の心配はいら
ないよ。じっと待っていれば、誰かが差し入れてくれるから…」こういうこと
か! 暫くして、女性が「鍋はどこで洗いましょう?」。大なべ3つ、パック
3つほど、携えて、ふたりで公園に向かう。さすが、女性のお仕事は、丁寧か
つ速い。
夕刻、おとといさしいれてくれたたんぽぽ舎のSさんが鍋を回収しに来た。
「よごれていてもよかったんだけどね、ポトフの次は、イタリア風のミネスト
ローネ・スープにしてみようかな?」とにかく間に合ってよかった!火器使用
禁止のテントでは、差し入れだけが、本格的食事だ。
午後、私用で2時間ほど開けて、テントへ帰ると、随分のにぎわい。反原
発・年越しOccupy経産省前テント実行委員会主催の「こんなんじゃ、よい年迎
えらんない99%のための祭り~みんなでつくろう!年末年始大生放送!の舞
台づくりその他で、かいがいしい風情。
ギャラリーも徐々に増えて、一昨日のテント前の抗議集会の勢いが蘇りそう
だ。冷気もひとしおの4時過ぎ、新しいレイバーネットのネット生中継への出
演者が来始めたが、なぜか、寒風に唇ひきむすぶかとおもいきや、ファイトが
微笑を浮かべている。福島の人々への「救援」になんらかの助けになればとい
う祈りと含羞と連帯感のほほえみはよいものだ。キャスター役の女性二人はリ
ハーサルもふくめて6時間、寒風に耐え抜いて、唇も蒼ざめていたのはいたま
しいことではあった。
そのあと、オールナイトの映画鑑賞会が開かれ、女子テントは江戸時代の歌
舞伎場の様だった。ポルトガル、ブラジル、フィリッピン、オーストラリアな
どの男女青年たちから、マスコミでは無理なパーソナル・オーラル・コミュニ
ケーションによって、大切な情報をもらった。
オールナイト映画上映会は、俊英、早川由美子監督の自作「ブライアンと仲
間たち」から始まり、計5番組放映された。コマーシャリズムから自由な、新
しいリアリズム、ドキュメンタリー作品が相次ぎ、新しい年を迎える予習とし
ては、最高だった。早川監督の紹介してくれたブライアンさんは、今年6月亡
くなられたそうです。国会議事堂前で、反戦・平和を訴えるためテント暮らし
を続け、家族にも会いにゆかぬ闘争を敢行した。8年以上家にも帰らず、一日
も休まず、英米政府のテロ撲滅戦争に抗議してきた男とその仲間のドキュメン
タリー映画こそ、このテントで観たいものだった。監督は最後まで、映像放映
のお世話をしてくださった。テント座り込み111日めの告示は、この日、ポ
ルトガルのアーティストが描いてくださった。
(Q記)
ロ.<テント日誌 12/31(土)>
テントひろばの盛り上がる熱気
様々な思いが交差する中、年は暮れていく
―― 経産省前テントひろば 112日目 ――
12月31日(土)快晴、微風。
反原発・年越しOccupy@経産省テント実行委員会主催の「大生放送」のプロ
グラムに、大きく影響される。午前中も昨日の映画祭の影響で、早朝帰宅のか
たが去るまでは、熱気が消えない。いつもの座り込みのメンバーやスタッフが
そろう頃には、大みそかのイヴェントの準備がまた始まる。寒中の「野」ざら
しの中継の激務で、パートナーが倒れたとレイバーネットのMさんがブツブツ
交換の敷物を準備しながら、ブツブツ……。
カンパの年越しそばをかたじけなくいただいてる頃、経産省の警備員が、ビ
デオスタッフを連れて、だまったまま蒼ざめたような風情で会場を横断する。
『紅白歌合戦』は17時ころ開始。観戦しているところに、幹部のEさんが
帰ってきた。国際結婚したお孫さんと会うのを日本で果たすことができなかっ
た。イギリス人のおむこさんが、お孫さんの被ばくを警戒して、間の国で『正
月祝い』とお孫さんとの邂逅をされることになった。日本=被爆国がヴェトナ
ム、ヨルダンなどへ「最高級の原発技術」を輸出し、憲法9条のある国が、南
スーダンへ駐留軍を長期派遣する。事故報告もいい加減な政府関係者が、首相
に「収束宣言」をさせる…。こうした二重基準の中で、福島の住民は、こども
は信ずるものは、自己自身のほかにはなくなる危機に追い込まれる。医師や学
校の先生が、虚言を弄する時代!
受付に機動隊がひとり立ちふさがり、じっとこちらをねめつけている。ビ
ニール扉をめくると、黙ったまま、カンパをいれてくれる。おそらく、郵貯の
現金輸送車の警備スタッフだったのだ。角松はとびきり立派だ。この門松も、
若い御嬢さんのカンパだった。こうした支持の金東雲があるかぎり、この魔法
のテントは限りなく飛ぶ。
いよいよ、感動の歌合戦が終わってカウントダウンに入ったとき、不当雇
用・解雇抗議の座り込みを工場でしている韓国自動車工場とアクセス。新年は
韓国のソウルの労働者と連帯することに。F夫妻のまわりには、海外からのお
客様が二人をとりかこんでいる。
紅組最終は、椎名千栄子さんの「原爆許すまじ」、白組は、ジョニーさんの
傑作替え歌集。老若男女、ジョニーさんのギターひきがたりと国際的な映像交
換とともに、バークレーの大学占拠からNYのウォールストリートへと歌いつ
がれた、「乗合電車」を大合唱する。合衆国だけで、340ほどの0ccupyテン
トがあったそうだ。いまは、増えているか、減っているか?
午前1時から4時まで、第二テントの外は、打楽器の嵐、中では、関電前座
り込み、福島、寿、山谷、渋谷炊き出し隊とのUST上の情報交換(歌合戦の
おりおり)の後での、トーク・セッションとなった。東電前アクションから、
高橋幸子、テントから、椎名千恵子が出演。雨宮処凛、素人の乱の松本哉、青
年ユニオン委員長、反貧困グループ、TVディレクターなどが、新年のゆくえ
を語り合った。
2011年9月11日から建ち上がったこのテントは、世界情報の池への一
石となり、国内外に波紋を広げている。角松の寄進は、このテントの支持層の
多種多様さを物語ってあまりある。福島の避難地域それは、冥土イン・Japan
であり、原発の冥土の旅の一里塚となっていると信じたい。カウント・ダウン
のおり、社民党委員長の福島みずほさんが、SPなしで立ち現われ、マイクを
差し出されて、再稼働許すまじの演説をされた。民衆の海のほかに、信ずべき
ものは、今ないと実感して、新しい年を迎えた。
(Q記)