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たんぽぽ舎です。【TMM:No2561】
2015年8月11日(火)地震と原発事故情報-1つの情報をお知らせします
                           転送歓迎
━━━━━━━
┏┓
┗■1.再稼働は犯罪である。事故が起こればもちろんのこと、
 |  仮に事故が起きなかったとしても、準備も態勢も整わない再稼働は、
 |  それそのものが犯罪行為
 |  検察審査会による強制起訴と原発再稼働の関係とは
 |  川内原発をケースに考える
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

 7月31日に福島第一原発事故に関連した検察審査会による「起訴」議決は、東電の元取締役3名についてだから、具体的に再稼働を行おうとする原発とは直接関係なく、差し止める効力はないと国や他電力は考えているのかも知れない。
しかし世の中そんなに甘くはない。
 確かに法的に川内原発などの原発が再稼働することを直接止めるには、それぞれに対する差止訴訟が一番近道であることは間違いないが、この起訴議決は経営者のみならず再稼働を容認した、あらゆる関係者に対して影響があり、大きな歯止めになる。

1.業務上過失致死傷罪

  福島第一原発事故が現在も11万人を超える人々に避難を強いている現実など、大規模な被害を与え続けている点は大きい。業務上過失致死傷罪に認定された人数は限られるが、背景にある大勢の被災者の存在は大きかった。
 将来起きた場合の事故の影響範囲がどれくらいのものになるかにより結果は違ってくる可能性があるが、大気中への放射性物質拡散事故となれば、多くの人々が避難を強いられ、生産活動が出来ない地域が出現するだろう。一方、検審の議決には「人格権」という言葉そのものは出てこないが、双葉病院の入院患者や作業を行った自衛隊員等についての死亡ないし負傷の事実をもって業務上過失致死傷罪を認定している。川内原発など再稼働をした原発で発生する事故が、結果として死傷事故になれば当然、同様の認定がされる可能性が高くなる。
 今後起きる事故が、福島第一原発事故の規模に至らない場合でも、多数の住民避難を含む災害になれば、一定の前提条件の下に適用される可能性が生ずることになる。
 事前に繰り返し警告されてきたにもかかわらず、原発を再稼働して事故を引き起こし、大量の放射性物質を環境中に放出し、そのため多くの住民が被曝し、従業員を含め死傷者が出たら経営者だけではなく再稼働を容認した関係者にも、その職責に応じた責任が問われるであろう。
 具体的には規制委員を含む規制庁、経産省などの公務員、自治体の長や議員、そして事業者の意思決定責任者である。

2.予見可能性の適用・国の機関

  業務上過失致死傷罪が成立するには業務上の注意義務に違反した事実が認められなければならない。
 「本件地震、本件事故に関し、被疑者らには業務上の過失がある」とするためには、そのような地震、事故を予見できたと認定する必要がある。
 検察は「出来ない」と判断していたが、検察審査会は出来ると判断した。
 1997年の7省庁手引きから2002年の地震研究推進本部(推本)の長期評価まで、国の機関による津波評価があったにもかかわらず、実効性のある対策は取られなかった。それどころか長期評価の表現を巡り東電などが圧力を掛けていた。
 これに対して検審の議決は次のように述べている。「推本の長期評価は権威ある国の機関によって公表されたものであり、科学的根拠に基づくものであることは否定できない。」「大規模地震の発生について推本の長期評価は一定程度の可能性を示していることは極めて重く、決して無視することができないと考える。」
 東電自身が「予見」したと認定されるよりも遙か以前から、国の専門機関は太平洋沖の日本海溝沿いに巨大津波を生じさせる地震を想定した。議決では「これらに共通して言えるのは、原発事故が深刻な重大事故、過酷事故に発展する危険性があることに鑑み、その設計においては、当初の想定を大きく上回る災害が発生する可能性があることまで考えて、「万が一にも」、「まれではあるが」津波、災害が発生する場合までを考慮して、備えておかなければならないということである。」と指摘している。
 川内原発についても、火山学会などの専門機関や専門家は「火山ガイドラインは不十分」「噴火を未然に察知して使用済燃料を移送するのは困難」との見解を明らかにしてきている。これらは「万が一にも」あってはならない火山災害に伴う原発災害を防止することは困難と、火山の専門家や専門機関が指摘し、警告しているのだから、それを押して原発の再稼働を強行すれば、専門機関の警告を無視して引き起こされた原発災害だから、予見可能性が適用され、厳しい責任追及がなされることになる。

3.事故を予見し対策する理由

  原発が過酷事故を起こせばどうなるかは、チェルノブイリ原発事故で世界中に示された。これほどの大災害を繰り返しても良いとして原発を推進する国も人もいない。自然災害によりチェルノブイリ原発事故を繰り返さないように、あらゆる対策は立てられるのである。およそ地上にあるありとあらゆる産業施設、設備の中で、最も高い強度で津波や地震などの自然災害に備えねばならないのが原子力(核)施設だということだ。
 川内原発においても、例えば火砕流に巻き込まれればおよそ格納容器を含めて放射能を封じ込めることは不可能となることは自明だ。福島第一原発の場合は使用済燃料は救えたが、今度は全部巻き込まれるだろう。そうなると2炉心分の燃料では済まない放射能が拡散される。そのような災害を防ぐためには予見し対策する義務がある。

4.予見可能性の適用・津波

  これまでにおよそ発生したことがない、未曾有の事故であるならば、原子力損害賠償法第三条ただし書きにある「異常な天災や地変」にあたり、免責であると主張できる可能性がある。しかし東電はそうしなかったし、国もそれが認められるとはいわなかった。理由は、認められる余地がないからだ。
 株主総会では法的知識の無い株主の一部からそういった主張がされるが、東電は「被災者救済を優先した」などと驚くべき説明を繰り返してきている。勝俣会長時代は「可能性はある」と言ったことさえある。しかし実際にはあり得ない。
 異常な天災や地変であるためには、歴史上計測されたことがない規模のものが、確率的に極めて小さい自然現象で発生する場合である。例えば隕石落下の直撃などと、過去の国会答弁で例示されたことはあった。
 今回の津波は、国の機関や地震学者が指摘した地点において、想定された規模で発生したものであり、過去の歴史に基づき、同程度の津波被害は原発の周辺区域である南相馬市でも確認されていた。日本の沿岸域では津波の被害が予見可能性どころか実際に経験されていたものである。仮に異常な天災地変であったとしても、それが予見されていたのならば、必要な対策を取るのが当然である。その対策には運転を止めることだけで無く、対処不能として原発を廃止することも含まれるのは当然のことである。

5.予見可能性の適用・噴火

  火山噴火は九州地方で有史以前に繰り返されたことは歴史的事実であり、いずれは再来するだろうと考えられている。九州全域をも越える噴火災害が起きたとしても、火山史から知ることが出来る規模を超えない限り「異常な天災地変」などとは言えない。
 近年でもピナツボ火山の噴火やセントヘレンズ火山の噴火は有史以後に起きた大噴火だ。大正噴火規模の桜島噴火でさえも「未曾有の」というには小さい。
 しかし原発にとっては、そのクラスの噴火でさえ影響を受ける。ましてや破局カルデラ噴火が姶良(あいら)カルデラで発生したら原発は崩壊するだろう。それでも「異常な天災地変」ではないのである。

6.予見可能性の適用・溢水勉強会

  日本では臨界事故(志賀原発及びJCOで)が起きていた時に、フランスでは世界初の海水浸水事故による原子炉緊急事態が起きていた。
 以下、規制庁の資料から、何が起きていたかを詳述する。
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  ルブレイエ原子力発電所は、ボルドーの北、ジロンド河口に位置している、4基の95.1万kw加圧水型軽水炉がある。1、2、4号機が運転中、3号機が定期検査中という状況で、1999年12月27日から28日夜にかけて記録的な嵐に見舞われた。日本と同様に海岸線に立地している原発なので高潮の被害を受けることになった。
 海水や河川水の浸水被害を想定した防護対策が不十分であったことで、発電所のボーラーシステムおよび安全関連系統の多くの区画が浸水した。
 強力な低気圧により海面が上昇すると共に、最大風速56mに達する強風により吹き寄せられた海水がジロンド河口に押し寄せた。これが堤防内に氾濫し、ルブレイエ原子力発電所の敷地の一部が浸水した。
 1号機と2号機が洪水の影響を最も受け、3号機と4号機は室内に僅かの水が浸水した。送電網にも支障が生じた。
 全号機の225kV補助電源設備が24時間機能喪失し、2号機と4号機の400kV送電網が数時間喪失した。400kV送電網が復旧するまで、非常用ディーゼル発電機による電力は正常に供給された。
 原子力発電所の北側に位置するダクトの覆い板に水が浸水し、管理建屋と共通補助建屋の地下階層に浸水した。1号機と2号機の区画では、扉や開口部を通じて海水が広がり、電気室の地下階部分、海水ポンプ室の接続トレンチ、周辺建屋と燃料建屋の地下階に達した。この浸水により次の系統が電源喪失した。
 1号機のエッセンシャル・サービス水系(ESW)のA系列、1、2号機それぞれの低圧注入系と格納容器スプレイ系の両系列。
 この浸水の結果、1、2号機は、一次系の冷却に蒸気発生器を使用し、余熱除去系(RHR)で停止状態にもっていった。一方、4号機は高温停止状態から再起動した。
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  これに対するJNESの記述は「日本の源発は津波対策を取っているから安全性が損なわれることはない」といった信じがたいものだった。しかしこうは言いながらも「インド洋沖津波の経験情報を用い、検討を実施することは有意義である」として、2004年に発生したスマトラ島沖地震に伴う津波災害に関して気になる様子を見せている。さらに「外部事象(津波)による溢水及び内部溢水の両方に対する施設側の溢水対策(水密構造等)の実態を整理しておく必要がある。」として、原子力事業者の内部でも注意喚起が測られていることが推測される。
 これを受けるようにして、2006年1月には保安院・JNES・電事連等による「内部溢水、外部溢水勉強会」が開かれている。
 更に東電でも2006年から社内で溢水勉強会が何度も開催されていることが分かっている。その第3回目で敷地を超える津波について議論されており、全電源喪失も想定されていた。東電は、次の章に述べる浸水被害の恐ろしさを認識していないと言うことはあり得ない。むしろ全電力でも最も強く感じていたはずである。だからこそ、10m盤から4m盤にかけて地下トレンチを敷設して海水管の損傷に備える防護対策を取ったのである。海水管からの漏えいよりも、もっと厳しくなる外部溢水について対策をしなかったのは、防潮堤を含む費用が1000億円規模になることが分かったからであり、長期に運転を止めている柏崎刈羽原発の再稼働準備に巨額の費用を投じている時に、さらに巨額の費用負担が出来ないと考えて先送りをしたのだ。地震と津波対策については、川内原発にも同様の問題が発生している。
 地震の規模を想定する際に、これまでよりも原発に近い位置にある断層について、国の地震調査研究推進本部(推本)がより大きな地震になり得る断層を公表している。さらに津波についても「想定の倍半分の誤差」という観点から見れば小さすぎる。これらを勘案すれば東電と同様に免震棟の建設以前に再起動しようとする九州電力の「先送り」方針で大惨事になる危険性がある。

7.予見可能性の適用・水没していた非常用ディーゼル

  溢水勉強会は、単なる事例研究会などではなかった。具体的に浸水事故を起こしていた東電にとっては、海水侵入の危険性は十分すぎるほど理解できていたはずだからだ。東電では海水浸水被害は、それなりに「深刻」に捉えられていた事件が起きていたのである。
 1991年10月31日、1号機格納容器冷却系統に送られている海水配管が、地下で漏水を起こした。たまたま近くにタービン建屋があったため、漏えいした海水はタービン建屋に浸水、設置されていた非常用ディーゼル発電機の下部を水没させる事故になった。
 このため、発電機1台が長期間にわたって使用不能となる。非常用ディーゼル発電機は2台あるが、2台とも緊急時に起動できなければならない。点検中に短時間解列することは認められるものの修理のため長時間解体することは認めていないため、その間は運転できない。
 この事件の後に海水管はトレンチに収納され、点検管理と修理が出来るようになった。それまで埋めっぱなしというのも驚くべき事だが、それが点検可能になるのが運転から20年もたった後のことだというのも驚きである。
 このような事故を起こしたので、発電機水没のリスクを思い知ったはずだ。吉田所長も「原発にとって最大の事故」とまで言っている。しかしこの時は外部電源が健全であり、過酷事故と結びつけられることはなかった。
 米原子力規制委員会NRCの分析でも、炉心溶融に至る事故は、電源喪失が最も大きい原因としている。地震が起きれば外部電源は期待できないことは東電も当然のこととしていた。従って地震時に頼れる電源は非常用ディーゼル発電機だけなのは共通理解だった。その発電機が水没すれば一巻の終わりであることを認識しつつ水没させた東電の行為は、過酷事故を予見しながら6号機の1台を除いて溢水に強い作りにしなかったこと、さらに6号機の一台を溢水に強い空冷設備として設置したのに、1~4号機に連絡線を敷設しなかったため電力を送れず、生き残ったディーゼル発電機は5、6号機の冷却にしか使えなかったことを含めて、予見しながら対策しなかった東電の責任である。
 川内原発の場合も似たことが起きている。外部電源を強化し、非常用ディーゼル発電機が使えない場合でも外部電源で供給できるほどの対策をしているかと言えば、そんなことはしない。非常用ディーゼル発電機が使えない場合に備えているのは、もっと信頼性が低い電源車であり、外部接続線である。
 耐震Sクラスで設備されている安全保護系回路が破壊されるような事態で、耐震クラスさえない外部の電源車や接続設備が耐えられると考えているのならば、あまりに楽観的である。実際の地震にさえ遭遇したことのない設備を、緊急時に当てにせよとする発想自体が、安全設備に対する理解の欠如を物語っている。これでは事故を準備しているに等しい。

8.予見可能性・蒸気発生器

  川内原発は加圧水型軽水炉であり、福島と異なる大型設備「蒸気発生器」を持っている。この装置は巨大なので地震の影響を大きく受ける。それだけではない。
 蒸気発生器内部の細管は、直径21ミリ、厚さ1.3ミリのインコネル(ニッケル・クロム・鉄の合金)製の管であるが1台の蒸気発生器に約3400本もある。
 川内は3ループ式なので3台ある。合計11000本を超える。1本でも破断すれば炉心から冷却材が失われる事故になる。1992年に発生した美浜原発2号機の細管破断事故では原子炉頂部に空げきが生じたが、運転中には誰もそれを認識していなかった。原子炉への注水は高圧注入系で行われていたが、これを止めてしまってメルトダウンを引き起こしたのが1979年のスリーマイル島原発事故である。
 1号機は既に新しい蒸気発生器への交換が終わっている。ところが2号機は新品の蒸気発生器を倉庫にしまったまま、30年ものの老朽化したものをそのまま使う予定になっている。交換用のものがあるにもかかわらず交換工事をしないで運転するとは、より安全性を高める努力放棄して再稼働ありきの事業者の姿勢を表している。安全よりも経済優先、命より金という態度がここでも露骨に表れている。交換したからといって劇的に安全性が向上するわけではない。蒸気発生器が新しくなるだけで、原発の事故確率を大幅に下げる効果は無い。しかし美浜原発2号機のような蒸気発生器の細管損傷は地震の際に最も懸念されることでもあり、さらに2号機の蒸気発生器の細管は厳しい状態にあることが予見される。
 その対策をしないで蒸気発生器の細管破損をきっかけとした重大事故が起きれば直ちに、その責任を問われることになるのである。

9.事故時に避難も出来ない
 
  原発の再稼働を「認可」するのは誰なのか。原子炉等規制法では、認可手続きは経産大臣の所管事項であるが、事故後の手続きは極めて曖昧になっている。
 実際には、再稼働というのは川内原発1号機にとっては「第21回定期点検の終了」に過ぎない。定期点検の最後には、総合負荷試験があり、その合格証をもって営業運転入りが可能と言うだけである。
 ただし、今回は原子炉等規制法に基づく原子炉設置変更許可申請が加わっているので、許可の手続きと、その工事を行うための工事計画認可申請手続きがあった。さらに保安規定の変更申請もあるので、その審査結果も出された。また、30年を超える原発に義務づけられている「高経年化技術評価等に係る原子炉施設保安規定変更認可申請」(いわゆる老朽源発の技術評価)が、むりやり8月5日に認可された。
 行政手続き上は、これらが進めば再稼働できると考えているのかも知れないが、重大事故が起きた時に必要な災害対策、住民避難などはほとんどまともに策定されていないし、誰が再稼働を承認したのかもはっきりしない。すくなくても30km圏内の住民、自治体の了解があったわけではない。
 防災計画も作れないまま、既成事実として原発の運転が強行されるのであれば、3.11とは一体何だったのか、深刻な問題と言わなければならない。
  以上、あらゆる観点から、再稼働は犯罪である。事故が起こればもちろんのこと、仮に事故が起きなかったとしても、準備も態勢も整わない再稼働は、それそのものが犯罪行為である。
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