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たんぽぽ舎です。【TMM:No2531】
2015年7月10日(金)地震と原発事故情報-1つの情報をお知らせします
転送歓迎
「民間(原子力)規制委・東京」(仮称)の準備が始まりました。
「川内原発の審査書を批判する」を2回に分けて掲載致します。
━━━━━━━
★1.九州電力川内原発の審査書を批判する (その1)
炉心損傷防止対策 批判 槌田 敦(物理学者)
━━━━━━━
※訂正1つあります。昨日発信の【TMM:No2530】の見出しの1つです。
本文は正しい日付です。
★3.メルマガ読者からイベント案内(問い合わせは主催者へお願いします)
◆「鹿砦社弾圧10周年復活の集い」へのお誘い(7月7日)
正:7月12日
誤:7月7日
━━━━━━━
┏┓
┗■1.九州電力川内原発の審査書を批判する (その1)
| 炉心損傷防止対策 批判
└──── 槌田 敦(物理学者) 2015年7月9日
九州電力は、2013年7月、川内原発1,2号機の設置許可変更を申請し、原子力規制委員会は、2014年7月、その審査書を発表した。
この審査書の内容は、1章 はじめに、2章 技術的能力、3章 対象施設、4章 重大事故防止である。(注1)
規制委によるこの審査書は、原子力学会関係者にだけに分かる独自の表現になっている。そのため、それ以外の一般科学者にはとても読めたものではない。それは読ませたくないという規制委の思惑があったからであろう。
まず、規制委田中委員長の出身母体である原子力学会は、福島原発事故の後、確率論的リスク評価(PRA)の採用を強く主張した。これにより、確率の小さいものは事故の対策から除外てきるとする。しかし、確率とは多数の事例があってはじめて有効となる。発生したことのない事象については確率の大きさを議論できないので、原子力学会のいう原子炉事故のPRA論はそもそも学問にもなっていない。
そのうえ、TMI(注2)や福島など実際の事故は、すべて設計ミスや人為ミスで発生した。設計ミスも人為ミスであるが、これらの人為ミスの分類とその発生確率の比較は不可能だから、原子力学会のPRA論的考察はそもそも無意味である。
しかし、この審査書は、この確率論的リスク評価(PRA)により、重大事故の対策として炉心損傷防止対策8項目(4-1.2.1)および格納容器損傷防止対策6項目(4-1.2.2)を論じているので、これら14項目の防止対策を紹介して、その内容を批判する。
炉心損傷防止対策(4-1.2.1) 批判
【1.(注3)二次冷却系の除熱失敗・フィードアンドブリード】
(審査書 p127~132)
炉心損傷の防止を論ずるのに、二次冷却系の欠陥から話が始まる。読者からすれば、最初から奇異の感を持たされることになるが、これにこだわっては先に進めない。おそらく二次系の事故が原因となって炉心損傷となる場合が多いのかも知れないと考え、読み進めていただきたい。
規制委は、「炉心損傷を防止するためには、早期に一次冷却系を強制的に減圧するとともに炉心注水を行い、炉心を冷却する必要がある」とし、「加圧器逃し弁の開操作による一次冷却系の減圧と高圧注入ポンプによる炉心注水を行う一次冷却系のフィードアンドブリードを実施する」とする。これでフィードアンドブリードということばが理解できる訳ではないから、これは定義ではない。定義をせずに使うことばは「隠語」であって、関係者にしか分からない。
英語で書けば "feed and breed" であろうが、「食わせて、セックスさせる」では、さらに何のことだか分からなくなる。"feed and bleed" 「食わせて、血を抜く」のかも知れない。まぎらわしい英語のカタカナ書きは迷惑である。この隠語「フィードアンドブリード」が、この審査書4-1.2.1.1(p128~132)のわずか5pに実に25回も書かれている。
隠語ではよそ者に理解できる訳がない。無駄な努力と思いながら、この5pにわたる記述を何度も読み返してみた。
そこで、執筆者の言いたいことにようやく気づいた。それは、原子力規制委の作成した資料「実用発電用原子炉に係わる新規制基準について(概要)」(2013年7月)のp16に「1.弁を解放(開放?)して減圧し、2.可搬式注水施設による炉心への注水」という指示とこれを説明する消防自動車のポンチ絵である。
この新規制基準による指示とポンチ絵は、原子力推進派であっても原子炉事故を知る者からみればあまりにも不適切な指示である。まず、逃し弁を開放すれば原子炉の水は蒸発して空焚きとなり、次に、高性能であっても消防車の能力では十分な水を炉心に注入できないことは、誰にでもすぐに分かることである。
しかしながら、規制委は、すでに発表してしまった新規制基準の指示とポンチ絵をまともに反省して修正などしない。日本の役所は、けっして過去の失敗を認めない。
その結果としての隠語、つまりこの「フィードアンドブリード」が原子力関係者の間で登場することになったと思える。それにしても、原子炉事故とは無関係な生物的用語では、事情の分からない者からすれば、ますます何のことだか分からなくなって、この川内原発の審査書を読むのを放棄してしまうことになる。これが、この項目を担当した規制委の執筆者の狙いだったのかもしれない。実は私も、この審査書を読むのを途中で放棄したひとりで、これではいけないと、1年遅れでやっとのこと、この川内原発審査書の内容が理解できないことに苦しみながら、読むことにしたという次第であった。
ところで、新規制基準の修正はすでになされたようだ。この審査書でも、「1.原子炉の減圧と2.高性能消防車による注水」は維持しているが、減圧とは開放ではなく、余熱除去系の有効圧力の範囲まで(p148)で、また消防車の注水先は炉心ではなく余熱除去系ポンプに変更している(p141)。その修正の「目くらまし」が隠語「フィードアンドブリード」だったということになる。
しかし、このフィードアンドブリード操作ではやはり炉心の空焚き・崩壊を防げない。
これはTMI事故で確かめることができる。TMI事故では、圧力逃し弁の開固着(開放)で始まった。158気圧で定常運転していた原子炉は、減圧により事故発生から6分で95気圧となって原子炉の水は沸騰を始め、18分で炉心の上部は露出することになった(中性子線モニタ増加)。
原子炉停止から1時間で、一次系の圧力は71気圧となり、沸騰・露出から空焚きへと進行した。1時間40分では、高圧注入系が起動して、冷却により減圧されたが、70気圧と変わらなかった。
2時間8分、逃し弁の元弁を手動で閉じて、原子炉の圧力は151気圧に戻したが、炉心の空焚き領域はさらに広がり、これが収束するまで5時間もかかった。
原子炉停止から7時間30分、加圧器逃し弁を開いて減圧し、余熱除去系(25気圧で使用可)を使おうとしたが、32気圧以下にはできなかった。8時間から13時間半まで、圧力は40~50気圧のままだったが、逃し弁の開閉により配管中の水素排出に成功して、原子炉停止16時間後には、一次冷却水ポンプが使用可能となり、TMI事故はひとまず収束したのである。
このTMIの経験を考慮すれば、川内原発は「フィードアンドブリード」操作により、確実に炉心は空焚きから崩壊へと進むことになる。すでに述べたが余熱除去系の有効圧力は20気圧程度だから、これによる冷却は空想である。
このように川内原発に対する規制委の審査はトンデモナイ審査であった。原子炉の設計変更という人身災害に関係する規制委の審査で、このようなデタラメがなされたことは許しがたい。
そのうえ、この【1.二次系・・・フィードアンドブリード】の4-1.2.1.1の記述は作業者の人数などの数字を除き、すべて高浜原発の申請書に対する審査書と同文であった。九電と関電が、5ページにわたってまったく同じ文章を、自主的に書ける訳がない。誰かが原案を書いたことになる。
この文章を書くことのできる者は、九電や関電の支配者である規制委の関係者であって、フィードアンドブリードの原文の5ページを作成して両電力に手渡し、両者は意味も分からずこれを写本して、それをあたかも自主的に作成したかのように装い、自己の設置許可申請書に書き写し、これを提出して規制委に審査合格を求めたのであろう。
これでは、規制委と九電、関電による茶番劇であって、原子力行政として許されることではない。したがって、九電と関電に対する両審査書は効力を有せず、これに基づく運転再開の許可は取り消されなければならない。
【2.全交流動力電源喪失、一次冷却水ポンプ水漏れ】
(審査書p132~140)
第2項は、隠語フィードアンドブリードから離れて、ようやく九電の設置変更許可申請書に対する規制委の審査書となる。
まず、取りあげた想定事故は、交流電源で動くすべてのポンプの停止である。これと共に、一次冷却水循環ポンプからの水漏れが発生する(RCPシールLOCA)。このRCPシールLOCAとは、一次冷却水ポンプの回転子を浮かせ、また水漏れを防ぐ装置が停電により機能を喪失し、シールの透き間から一次冷却水が格納容器に漏れることをいう。
その結果、一次冷却材温度は380度Cになるという。水の臨界温度は370度Cだから、この温度では水はすべて蒸気になっており、炉心燃料は空焚きである。しかし、規制委は「炉心損傷防止対策の評価項目を満足している」と断じている。
この水漏れの量は大きく、ポンプ3台で327立方m/hにもなる。代替交流電源を確保して炉心を冷却しても、その能力は 30立方m/h程度しかない。また、蓄圧タンク(容量30 立方m/h)を追加しても足りない。そこで、二次系の主蒸気逃し弁を開いて減圧・冷却し、これにより一次系の圧力を下げて、新規制基準のとおり移動用ポンプ車により海水を通水するとする。
これらの複雑な操作をする対策時間が検討されている。しかし、移動用ポンプ車の到達の遅れは考慮されていないし、海水を使った結果、炉心は塩で包まれ冷却が阻害されることについての検討もない。ずさんな審査である。
【3.原子炉補機冷却機能喪失と一次冷却水ポンプ水漏れ】(審査書 p140~142)
対策は、前項と同一である。同じことをなぜ繰り返し書くのか。その後、移動式ポンプ車を使って充てん/高圧ポンプまたは余熱除去系に海水を送り、再循環条件に到達できれば高圧再循環に移るとする。道路事情により消防車が到着できるかどうかという綱渡りを無視し、規制委は「申請者が計画している炉心損傷防止対策は有効」とした。
【4.ECCSの水源である格納容器サンプ(sump)水の沸騰】
(審査書 p142~147)
加圧水型原発では、高圧注入系も余熱除去系もその水源は格納容器サンプの水である。
ところが、原子炉の熱は格納容器に溜まる。放置すればサンプ水は沸点まで温度が上がり、ポンプで吸引できなくなるので格納容器の除熱が必要となるが、その方法はない。
しかも、申請者の解析では、原子炉の温度は340度C、圧力は162気圧であって、これではとても余熱除去系ポンプを使用できない。格納容器の温度は134度C、その圧力は3.5気圧だからサンプ水は沸騰に近くポンプで汲み上げることもできない。しかし、規制委は、申請者の回答は妥当とした。
【5.原子炉停止機能喪失】 (審査書 p148~154)
運転中原子炉の停止に失敗した場合、蒸気発生器の二次側水位の低下を自動察知し、これによりタービンを止める。一次側の温度が上がるので、原子炉反応度は低下し、出力は抑制される。次いでほう酸注入で原子炉を止める。逃し弁の開操作により一次冷却水の温度と圧力が下がれば、余熱除去系で冷却するとした。この操作で、一次系圧力は190気圧になるが、最高使用圧力206気圧を超えることはないとした。
しかし、原子炉の圧力が160気圧になれば、安全弁が開いて一次冷却水が失われることになるが、何の記述もない。しかもこの圧力は余熱除去系の使える圧力(20気圧)をはるかに超えている。
【6.中破断による冷却水喪失で、ECCS高圧注水機能の喪失】
(審査書 p154~158)
申請者の対策は、蒸気発生器二次側へ注水し、主蒸気逃し弁を開いて、二次側を減圧することで冷却し、炉心に注水するとし、この対策で、炉心は 380~731度Cになると計算して、評価目標1200度C以下であると安心している。
しかし、この温度は水の臨界温度(340度C)を超えているから、炉心は完全に空焚きになっているのに、検討さえしていない。。
ところで、この6の課題そのものに矛盾がある。そもそもECCS高圧注入系は、中小破断により冷却水が失われることに対するポンプである。それが小破断で機能しなくなるのでは、このECCSの設計そのものが問われることになる。
設計が正しいとするならば、ECCSを無効にする別の条件が存在することになる。事故対策には、この別の条件をまず排除しなければならない。しかし、規制委はこれを排除せず、「ECCS注水機能喪失に対して、申請者の計画は有効であると判断した」とある。
そのうえ、蒸気発生器の二次側を冷却したところで、蒸気発生器の逆U字細管に水素が溜まる。一次冷却水ポンプは水素を含む水では振動することになり、使用できない。しかし、TMI事故ではBW社の直管型蒸気発生器なので、十分とは言えないながらも自然循環により炉心は冷却できたが、日本の原発ではWH社の蒸気発生器で逆U字管なので、ここに水素が溜まって水の自然循環が期待できず、原子炉の冷却は不能となる。
【7.ECCS再循環機能喪失】(審査書 p158~163)
ECCS高圧注入系と余熱除去系の水源は、格納容器サンプであるが、沸騰状態の水はポンプで汲み上げることはできない。この問題はすでに4.および6.で議論済みで、ECCSの再循環は不能である。格納容器スプレーで冷却水を追加するというが、九電も規制委もしっかりした考えがないことを示している。
ここで、注意することは、以上2.~7.の6項目には、「フィードアンドブリード」による対策は書かれていないことである。では、どういう時にこのフィードアンドブリードを使うのか。それが次の項目8である。
【8.蒸気発生器破損】(審査書 p163~170)
この蒸気発生器破損は、1991年2月、関西電力美浜原発2号機で発生した。当然、この事故を参照して事故対応が論じられると思ったが、美浜事故を参考にするどころか、美浜事故を一切無視している。この審査書では、世界で初めて蒸気発生器破断事故が発生したとして、その対策を考えるといった記述になっている。
審査書によれば、「炉心損傷を防止するためには、炉心注水を継続するとともに、一次冷却系の冷却をおこなうことで原子炉格納容器内外への漏洩を抑制する必要がある」と。具体的には、「蒸気発生器二次側への注水と主蒸気逃し弁の開操作による二次系強制冷却および加圧器逃し弁の開操作を実施する」とする。
実際の美浜事故では、蒸気発生器細管破断で放射能を含む一次冷却水が格納容器を擦り抜けて二次系のタービン・復水器に流れこんだ。これを防止するため、ECCS高圧注入系を切ろうとした。しかし、その手続きが定検ミスで進めることができず、3回にわたって主蒸気逃し弁が開いて放射能を含む蒸気が環境に放出された。ここで、ECCSを切ることになれば炉心は冷却できず、第二のTMI事故になっていたであろう。この重要な考察が審査書ではなされていない。審査書はさらに続けて「充てん/高圧注入ポンプによる炉心注水を行う一次冷却系の
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃フィードアンドブリードにより一次冷却系の冷却減圧を実施する┃(p164)。
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
とある。ここで亡霊となった筈の原子力関係者の中だけで通用する隠語がふたたび姿を表した。この意味不明の隠語は説明に困った時に使う取って置きの道具であって、審査結果は、「二次系強制冷却、一次系冷却の
┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃フィードアンドブリード等、事象進展の特徴を捉らえた対策┃(p168)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
であると判断した」とある。
炉心損傷防止対策(4-1.2.1)を訳の分からないこの隠語で締めくくるあたり、規制委にとって、炉心損傷防止が不可能であると認めたことに外ならない。
原子炉安全委員会は、原子炉規制委員会に名称を変えたが、それと同時に、「安全」はどこかに吹き飛んでしまった。田中委員長は、「審査で安全が確保されたとは言わないが、安全でないとも言わない」と戯れ言を言っている。規制委は原子炉の安全のための役所ではないことを公言したものということになる。
【(規制すべき最重要事項) これまでの炉心損傷の原因はすべて人為ミスだった】
●印は事故の決定的原因
TMI事故
1.電流が流れていたので、弁は閉まっていると表示されていた(設計ミス)
2.●加圧器水位高により、ECCSを2機ともに手動停止した(人為ミス)
東電福島第一原発1号機事故
1.第二原発との電力融通など電源確保努力していなかった (本社の怠慢)
2.非常用復水器の配管に水素が溜まる欠陥を承知していたが申告せず、
また水素逃し弁を付けるなどの改修もせず、放置していた(本社の怠慢)
3.非常用復水器が自動起動したが、マニアル(原子炉急冷禁止)に従い、
●非常用復水器を手動停止した。以後自動起動と手動停止をくりかえす。
非常用復水器を停止しなければ事故はなかった (人為ミス)
4.非常用復水器配管に水素が溜まり、非常用復水器は機能しなくなった時、
電源不要の高圧注水系を運転しなかった(またはできないようになっていた)
(人為ミス)
5.風向き考えずベントして、発電所北側の人々を被曝させた (人為ミス)
東電福島第一原発2号機事故
1.浜岡原発の蒸気凝縮系(非常用復水器と同じ)で水素爆発があり、2号機では
これを改修せず撤去した。●蒸気凝縮系があれば事故はなかった
(本社の怠慢)
2.隔離時冷却系は自動停止した (設計ミス)
しかし、手動起動を繰り返して3日間も原子炉を維持した。
だが、水源確保の努力せず、炉心への注水に失敗した (人為ミス)
3.消防車による注水をするため、●逃し弁を開放して原子炉は空焚きにした
(人為ミス)
4.格納容器上部の配管内で水素爆発した。放出された大量の放射能が県民を
襲った
配管内に水素と空気が溜まることを調査していなかった (本社の怠慢)
東電福島第一原発3号機事故
1.浜岡原発の蒸気凝縮系(非常用復水器と同じ)での水素爆発について、
3号機でも改修せず撤去。
●蒸気凝縮系があれば事故はなかった (本社の怠慢)
2.隔離時冷却系の自動停止に対し、●再手動起動をしなかった (人為ミス)
3.3号機は、非常用電源が津浪後も生きていたのに活用しなかった
(人為ミス)
4.消防車により海水注入、塩が炉心の冷却を妨害して崩壊燃料は高温になった。
これが原因で、1週間も後になって、大量の放射能放出となった (人為ミス)
結論 これらの人為ミスに対し、それを是正する機能はまったく用意されて
いない。よって、九電の設置許可変更の申請は許可してはならない。
(その2・「格納容器破損の防止対策(4-1.2.2) 批判」へ続く)
(注1):(事故情報編集部注:各章の数字は、元原稿ではローマ数字でした。
文字化けするので変更しました)
(注2):(事故情報編集部注:TMI-スリーマイル島原発。
スリーマイル島原発事故は、1979年3月28日、アメリカ合衆国東北部ペンシルベニア州のスリーマイル島原発で発生した重大な原子力事故。スリーマイル島 (Three Mile Island) の頭文字をとってTMI事故とも略称される。原子炉冷却材喪失事故 (Loss Of Coolant Accident, LOCA) に分類され、想定された事故の規模を上回る過酷事故 (Severe Accident) である。国際原子力事象評価尺度 (INES) においてレベル5の事例である。)
(注3):(事故情報編集部注:この数字も、元原稿では「丸数字」でした。
文字化けするので変更しました)
2015年7月10日(金)地震と原発事故情報-1つの情報をお知らせします
転送歓迎
「民間(原子力)規制委・東京」(仮称)の準備が始まりました。
「川内原発の審査書を批判する」を2回に分けて掲載致します。
━━━━━━━
★1.九州電力川内原発の審査書を批判する (その1)
炉心損傷防止対策 批判 槌田 敦(物理学者)
━━━━━━━
※訂正1つあります。昨日発信の【TMM:No2530】の見出しの1つです。
本文は正しい日付です。
★3.メルマガ読者からイベント案内(問い合わせは主催者へお願いします)
◆「鹿砦社弾圧10周年復活の集い」へのお誘い(7月7日)
正:7月12日
誤:7月7日
━━━━━━━
┏┓
┗■1.九州電力川内原発の審査書を批判する (その1)
| 炉心損傷防止対策 批判
└──── 槌田 敦(物理学者) 2015年7月9日
九州電力は、2013年7月、川内原発1,2号機の設置許可変更を申請し、原子力規制委員会は、2014年7月、その審査書を発表した。
この審査書の内容は、1章 はじめに、2章 技術的能力、3章 対象施設、4章 重大事故防止である。(注1)
規制委によるこの審査書は、原子力学会関係者にだけに分かる独自の表現になっている。そのため、それ以外の一般科学者にはとても読めたものではない。それは読ませたくないという規制委の思惑があったからであろう。
まず、規制委田中委員長の出身母体である原子力学会は、福島原発事故の後、確率論的リスク評価(PRA)の採用を強く主張した。これにより、確率の小さいものは事故の対策から除外てきるとする。しかし、確率とは多数の事例があってはじめて有効となる。発生したことのない事象については確率の大きさを議論できないので、原子力学会のいう原子炉事故のPRA論はそもそも学問にもなっていない。
そのうえ、TMI(注2)や福島など実際の事故は、すべて設計ミスや人為ミスで発生した。設計ミスも人為ミスであるが、これらの人為ミスの分類とその発生確率の比較は不可能だから、原子力学会のPRA論的考察はそもそも無意味である。
しかし、この審査書は、この確率論的リスク評価(PRA)により、重大事故の対策として炉心損傷防止対策8項目(4-1.2.1)および格納容器損傷防止対策6項目(4-1.2.2)を論じているので、これら14項目の防止対策を紹介して、その内容を批判する。
炉心損傷防止対策(4-1.2.1) 批判
【1.(注3)二次冷却系の除熱失敗・フィードアンドブリード】
(審査書 p127~132)
炉心損傷の防止を論ずるのに、二次冷却系の欠陥から話が始まる。読者からすれば、最初から奇異の感を持たされることになるが、これにこだわっては先に進めない。おそらく二次系の事故が原因となって炉心損傷となる場合が多いのかも知れないと考え、読み進めていただきたい。
規制委は、「炉心損傷を防止するためには、早期に一次冷却系を強制的に減圧するとともに炉心注水を行い、炉心を冷却する必要がある」とし、「加圧器逃し弁の開操作による一次冷却系の減圧と高圧注入ポンプによる炉心注水を行う一次冷却系のフィードアンドブリードを実施する」とする。これでフィードアンドブリードということばが理解できる訳ではないから、これは定義ではない。定義をせずに使うことばは「隠語」であって、関係者にしか分からない。
英語で書けば "feed and breed" であろうが、「食わせて、セックスさせる」では、さらに何のことだか分からなくなる。"feed and bleed" 「食わせて、血を抜く」のかも知れない。まぎらわしい英語のカタカナ書きは迷惑である。この隠語「フィードアンドブリード」が、この審査書4-1.2.1.1(p128~132)のわずか5pに実に25回も書かれている。
隠語ではよそ者に理解できる訳がない。無駄な努力と思いながら、この5pにわたる記述を何度も読み返してみた。
そこで、執筆者の言いたいことにようやく気づいた。それは、原子力規制委の作成した資料「実用発電用原子炉に係わる新規制基準について(概要)」(2013年7月)のp16に「1.弁を解放(開放?)して減圧し、2.可搬式注水施設による炉心への注水」という指示とこれを説明する消防自動車のポンチ絵である。
この新規制基準による指示とポンチ絵は、原子力推進派であっても原子炉事故を知る者からみればあまりにも不適切な指示である。まず、逃し弁を開放すれば原子炉の水は蒸発して空焚きとなり、次に、高性能であっても消防車の能力では十分な水を炉心に注入できないことは、誰にでもすぐに分かることである。
しかしながら、規制委は、すでに発表してしまった新規制基準の指示とポンチ絵をまともに反省して修正などしない。日本の役所は、けっして過去の失敗を認めない。
その結果としての隠語、つまりこの「フィードアンドブリード」が原子力関係者の間で登場することになったと思える。それにしても、原子炉事故とは無関係な生物的用語では、事情の分からない者からすれば、ますます何のことだか分からなくなって、この川内原発の審査書を読むのを放棄してしまうことになる。これが、この項目を担当した規制委の執筆者の狙いだったのかもしれない。実は私も、この審査書を読むのを途中で放棄したひとりで、これではいけないと、1年遅れでやっとのこと、この川内原発審査書の内容が理解できないことに苦しみながら、読むことにしたという次第であった。
ところで、新規制基準の修正はすでになされたようだ。この審査書でも、「1.原子炉の減圧と2.高性能消防車による注水」は維持しているが、減圧とは開放ではなく、余熱除去系の有効圧力の範囲まで(p148)で、また消防車の注水先は炉心ではなく余熱除去系ポンプに変更している(p141)。その修正の「目くらまし」が隠語「フィードアンドブリード」だったということになる。
しかし、このフィードアンドブリード操作ではやはり炉心の空焚き・崩壊を防げない。
これはTMI事故で確かめることができる。TMI事故では、圧力逃し弁の開固着(開放)で始まった。158気圧で定常運転していた原子炉は、減圧により事故発生から6分で95気圧となって原子炉の水は沸騰を始め、18分で炉心の上部は露出することになった(中性子線モニタ増加)。
原子炉停止から1時間で、一次系の圧力は71気圧となり、沸騰・露出から空焚きへと進行した。1時間40分では、高圧注入系が起動して、冷却により減圧されたが、70気圧と変わらなかった。
2時間8分、逃し弁の元弁を手動で閉じて、原子炉の圧力は151気圧に戻したが、炉心の空焚き領域はさらに広がり、これが収束するまで5時間もかかった。
原子炉停止から7時間30分、加圧器逃し弁を開いて減圧し、余熱除去系(25気圧で使用可)を使おうとしたが、32気圧以下にはできなかった。8時間から13時間半まで、圧力は40~50気圧のままだったが、逃し弁の開閉により配管中の水素排出に成功して、原子炉停止16時間後には、一次冷却水ポンプが使用可能となり、TMI事故はひとまず収束したのである。
このTMIの経験を考慮すれば、川内原発は「フィードアンドブリード」操作により、確実に炉心は空焚きから崩壊へと進むことになる。すでに述べたが余熱除去系の有効圧力は20気圧程度だから、これによる冷却は空想である。
このように川内原発に対する規制委の審査はトンデモナイ審査であった。原子炉の設計変更という人身災害に関係する規制委の審査で、このようなデタラメがなされたことは許しがたい。
そのうえ、この【1.二次系・・・フィードアンドブリード】の4-1.2.1.1の記述は作業者の人数などの数字を除き、すべて高浜原発の申請書に対する審査書と同文であった。九電と関電が、5ページにわたってまったく同じ文章を、自主的に書ける訳がない。誰かが原案を書いたことになる。
この文章を書くことのできる者は、九電や関電の支配者である規制委の関係者であって、フィードアンドブリードの原文の5ページを作成して両電力に手渡し、両者は意味も分からずこれを写本して、それをあたかも自主的に作成したかのように装い、自己の設置許可申請書に書き写し、これを提出して規制委に審査合格を求めたのであろう。
これでは、規制委と九電、関電による茶番劇であって、原子力行政として許されることではない。したがって、九電と関電に対する両審査書は効力を有せず、これに基づく運転再開の許可は取り消されなければならない。
【2.全交流動力電源喪失、一次冷却水ポンプ水漏れ】
(審査書p132~140)
第2項は、隠語フィードアンドブリードから離れて、ようやく九電の設置変更許可申請書に対する規制委の審査書となる。
まず、取りあげた想定事故は、交流電源で動くすべてのポンプの停止である。これと共に、一次冷却水循環ポンプからの水漏れが発生する(RCPシールLOCA)。このRCPシールLOCAとは、一次冷却水ポンプの回転子を浮かせ、また水漏れを防ぐ装置が停電により機能を喪失し、シールの透き間から一次冷却水が格納容器に漏れることをいう。
その結果、一次冷却材温度は380度Cになるという。水の臨界温度は370度Cだから、この温度では水はすべて蒸気になっており、炉心燃料は空焚きである。しかし、規制委は「炉心損傷防止対策の評価項目を満足している」と断じている。
この水漏れの量は大きく、ポンプ3台で327立方m/hにもなる。代替交流電源を確保して炉心を冷却しても、その能力は 30立方m/h程度しかない。また、蓄圧タンク(容量30 立方m/h)を追加しても足りない。そこで、二次系の主蒸気逃し弁を開いて減圧・冷却し、これにより一次系の圧力を下げて、新規制基準のとおり移動用ポンプ車により海水を通水するとする。
これらの複雑な操作をする対策時間が検討されている。しかし、移動用ポンプ車の到達の遅れは考慮されていないし、海水を使った結果、炉心は塩で包まれ冷却が阻害されることについての検討もない。ずさんな審査である。
【3.原子炉補機冷却機能喪失と一次冷却水ポンプ水漏れ】(審査書 p140~142)
対策は、前項と同一である。同じことをなぜ繰り返し書くのか。その後、移動式ポンプ車を使って充てん/高圧ポンプまたは余熱除去系に海水を送り、再循環条件に到達できれば高圧再循環に移るとする。道路事情により消防車が到着できるかどうかという綱渡りを無視し、規制委は「申請者が計画している炉心損傷防止対策は有効」とした。
【4.ECCSの水源である格納容器サンプ(sump)水の沸騰】
(審査書 p142~147)
加圧水型原発では、高圧注入系も余熱除去系もその水源は格納容器サンプの水である。
ところが、原子炉の熱は格納容器に溜まる。放置すればサンプ水は沸点まで温度が上がり、ポンプで吸引できなくなるので格納容器の除熱が必要となるが、その方法はない。
しかも、申請者の解析では、原子炉の温度は340度C、圧力は162気圧であって、これではとても余熱除去系ポンプを使用できない。格納容器の温度は134度C、その圧力は3.5気圧だからサンプ水は沸騰に近くポンプで汲み上げることもできない。しかし、規制委は、申請者の回答は妥当とした。
【5.原子炉停止機能喪失】 (審査書 p148~154)
運転中原子炉の停止に失敗した場合、蒸気発生器の二次側水位の低下を自動察知し、これによりタービンを止める。一次側の温度が上がるので、原子炉反応度は低下し、出力は抑制される。次いでほう酸注入で原子炉を止める。逃し弁の開操作により一次冷却水の温度と圧力が下がれば、余熱除去系で冷却するとした。この操作で、一次系圧力は190気圧になるが、最高使用圧力206気圧を超えることはないとした。
しかし、原子炉の圧力が160気圧になれば、安全弁が開いて一次冷却水が失われることになるが、何の記述もない。しかもこの圧力は余熱除去系の使える圧力(20気圧)をはるかに超えている。
【6.中破断による冷却水喪失で、ECCS高圧注水機能の喪失】
(審査書 p154~158)
申請者の対策は、蒸気発生器二次側へ注水し、主蒸気逃し弁を開いて、二次側を減圧することで冷却し、炉心に注水するとし、この対策で、炉心は 380~731度Cになると計算して、評価目標1200度C以下であると安心している。
しかし、この温度は水の臨界温度(340度C)を超えているから、炉心は完全に空焚きになっているのに、検討さえしていない。。
ところで、この6の課題そのものに矛盾がある。そもそもECCS高圧注入系は、中小破断により冷却水が失われることに対するポンプである。それが小破断で機能しなくなるのでは、このECCSの設計そのものが問われることになる。
設計が正しいとするならば、ECCSを無効にする別の条件が存在することになる。事故対策には、この別の条件をまず排除しなければならない。しかし、規制委はこれを排除せず、「ECCS注水機能喪失に対して、申請者の計画は有効であると判断した」とある。
そのうえ、蒸気発生器の二次側を冷却したところで、蒸気発生器の逆U字細管に水素が溜まる。一次冷却水ポンプは水素を含む水では振動することになり、使用できない。しかし、TMI事故ではBW社の直管型蒸気発生器なので、十分とは言えないながらも自然循環により炉心は冷却できたが、日本の原発ではWH社の蒸気発生器で逆U字管なので、ここに水素が溜まって水の自然循環が期待できず、原子炉の冷却は不能となる。
【7.ECCS再循環機能喪失】(審査書 p158~163)
ECCS高圧注入系と余熱除去系の水源は、格納容器サンプであるが、沸騰状態の水はポンプで汲み上げることはできない。この問題はすでに4.および6.で議論済みで、ECCSの再循環は不能である。格納容器スプレーで冷却水を追加するというが、九電も規制委もしっかりした考えがないことを示している。
ここで、注意することは、以上2.~7.の6項目には、「フィードアンドブリード」による対策は書かれていないことである。では、どういう時にこのフィードアンドブリードを使うのか。それが次の項目8である。
【8.蒸気発生器破損】(審査書 p163~170)
この蒸気発生器破損は、1991年2月、関西電力美浜原発2号機で発生した。当然、この事故を参照して事故対応が論じられると思ったが、美浜事故を参考にするどころか、美浜事故を一切無視している。この審査書では、世界で初めて蒸気発生器破断事故が発生したとして、その対策を考えるといった記述になっている。
審査書によれば、「炉心損傷を防止するためには、炉心注水を継続するとともに、一次冷却系の冷却をおこなうことで原子炉格納容器内外への漏洩を抑制する必要がある」と。具体的には、「蒸気発生器二次側への注水と主蒸気逃し弁の開操作による二次系強制冷却および加圧器逃し弁の開操作を実施する」とする。
実際の美浜事故では、蒸気発生器細管破断で放射能を含む一次冷却水が格納容器を擦り抜けて二次系のタービン・復水器に流れこんだ。これを防止するため、ECCS高圧注入系を切ろうとした。しかし、その手続きが定検ミスで進めることができず、3回にわたって主蒸気逃し弁が開いて放射能を含む蒸気が環境に放出された。ここで、ECCSを切ることになれば炉心は冷却できず、第二のTMI事故になっていたであろう。この重要な考察が審査書ではなされていない。審査書はさらに続けて「充てん/高圧注入ポンプによる炉心注水を行う一次冷却系の
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┃フィードアンドブリードにより一次冷却系の冷却減圧を実施する┃(p164)。
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とある。ここで亡霊となった筈の原子力関係者の中だけで通用する隠語がふたたび姿を表した。この意味不明の隠語は説明に困った時に使う取って置きの道具であって、審査結果は、「二次系強制冷却、一次系冷却の
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┃フィードアンドブリード等、事象進展の特徴を捉らえた対策┃(p168)
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であると判断した」とある。
炉心損傷防止対策(4-1.2.1)を訳の分からないこの隠語で締めくくるあたり、規制委にとって、炉心損傷防止が不可能であると認めたことに外ならない。
原子炉安全委員会は、原子炉規制委員会に名称を変えたが、それと同時に、「安全」はどこかに吹き飛んでしまった。田中委員長は、「審査で安全が確保されたとは言わないが、安全でないとも言わない」と戯れ言を言っている。規制委は原子炉の安全のための役所ではないことを公言したものということになる。
【(規制すべき最重要事項) これまでの炉心損傷の原因はすべて人為ミスだった】
●印は事故の決定的原因
TMI事故
1.電流が流れていたので、弁は閉まっていると表示されていた(設計ミス)
2.●加圧器水位高により、ECCSを2機ともに手動停止した(人為ミス)
東電福島第一原発1号機事故
1.第二原発との電力融通など電源確保努力していなかった (本社の怠慢)
2.非常用復水器の配管に水素が溜まる欠陥を承知していたが申告せず、
また水素逃し弁を付けるなどの改修もせず、放置していた(本社の怠慢)
3.非常用復水器が自動起動したが、マニアル(原子炉急冷禁止)に従い、
●非常用復水器を手動停止した。以後自動起動と手動停止をくりかえす。
非常用復水器を停止しなければ事故はなかった (人為ミス)
4.非常用復水器配管に水素が溜まり、非常用復水器は機能しなくなった時、
電源不要の高圧注水系を運転しなかった(またはできないようになっていた)
(人為ミス)
5.風向き考えずベントして、発電所北側の人々を被曝させた (人為ミス)
東電福島第一原発2号機事故
1.浜岡原発の蒸気凝縮系(非常用復水器と同じ)で水素爆発があり、2号機では
これを改修せず撤去した。●蒸気凝縮系があれば事故はなかった
(本社の怠慢)
2.隔離時冷却系は自動停止した (設計ミス)
しかし、手動起動を繰り返して3日間も原子炉を維持した。
だが、水源確保の努力せず、炉心への注水に失敗した (人為ミス)
3.消防車による注水をするため、●逃し弁を開放して原子炉は空焚きにした
(人為ミス)
4.格納容器上部の配管内で水素爆発した。放出された大量の放射能が県民を
襲った
配管内に水素と空気が溜まることを調査していなかった (本社の怠慢)
東電福島第一原発3号機事故
1.浜岡原発の蒸気凝縮系(非常用復水器と同じ)での水素爆発について、
3号機でも改修せず撤去。
●蒸気凝縮系があれば事故はなかった (本社の怠慢)
2.隔離時冷却系の自動停止に対し、●再手動起動をしなかった (人為ミス)
3.3号機は、非常用電源が津浪後も生きていたのに活用しなかった
(人為ミス)
4.消防車により海水注入、塩が炉心の冷却を妨害して崩壊燃料は高温になった。
これが原因で、1週間も後になって、大量の放射能放出となった (人為ミス)
結論 これらの人為ミスに対し、それを是正する機能はまったく用意されて
いない。よって、九電の設置許可変更の申請は許可してはならない。
(その2・「格納容器破損の防止対策(4-1.2.2) 批判」へ続く)
(注1):(事故情報編集部注:各章の数字は、元原稿ではローマ数字でした。
文字化けするので変更しました)
(注2):(事故情報編集部注:TMI-スリーマイル島原発。
スリーマイル島原発事故は、1979年3月28日、アメリカ合衆国東北部ペンシルベニア州のスリーマイル島原発で発生した重大な原子力事故。スリーマイル島 (Three Mile Island) の頭文字をとってTMI事故とも略称される。原子炉冷却材喪失事故 (Loss Of Coolant Accident, LOCA) に分類され、想定された事故の規模を上回る過酷事故 (Severe Accident) である。国際原子力事象評価尺度 (INES) においてレベル5の事例である。)
(注3):(事故情報編集部注:この数字も、元原稿では「丸数字」でした。
文字化けするので変更しました)
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