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┗■3.「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその38

 │ 「思い込み」の前兆現象予測

 │ 地震がなければ忘れてしまう。事件があったから、「そういえば」

 │ ということになる 地震の前兆だったかどうかを科学的に立証

 │ するためには、厳密な検証が必要

 └────(島村英紀 地震学者)

 

 心理学者が地震予知に取り組んだことがある。信州大学の菊池聡先生だ。

地震予知で「宏観(こうかん)異常現象」というものがある。動物の異常な行

動とか、空が光る現象とか、地震雲とか、地下水や地下ガスの異常など、観測

機械を使わなくてもわかる前兆現象のことだ。

 

 阪神淡路大震災(1995)後にも、この現象についてメディアで大きく紹介さ

れた。前兆を1500例も集めたという本も出版された。東日本大震災(2011年)

のときにもいくつも報告された。

 

○ところで、この種の前兆は「地震後」に報告されたものばかりだった。じつ

は報告が事後だったか事前だったかには本質的な違いがある。たんに地震に間

に合わなかっただけではないのだ。ふだん何気なく見ていることは、地震がな

ければ忘れてしまう。事件があったから、「そういえば」ということになる。

心に深く残った事件のあとで、「そういえば」と思いつく報告が多い。報告が

心理的な偏向を受けてしまって、日常的にいつでも起きている出来事でも意味

のある現象を見出してしまうのだ。これを心理学では「錯誤相関(さくごそう

かん)」という。地震には限らない。

 ほんとうに地震の前兆だったかどうかを科学的に立証するためには、厳密な

検証が必要である。

 「前兆があって地震が起きた」ということを立証するためには、「その前兆

がなかったのに地震が起きた」例や「その前兆と同じ現象が起きたのに地震が

なかった」例や、「その前兆と同じ現象は起きなかったし地震もなかった」例

を全部数えて比べなければならない。このような厳密な比較をしなければ「地

震」と「何かの前兆」という2つの現象が関係しているかどうかを科学的には

立証できないのだ。

 

○ところが、この2番目から4番目までは人々の記憶には残っていない。ふだ

ん何気なく見ていることは、地震のような大事件がなければ忘れてしまう。

いままでに成功したといわれている宏観現象の地震予知は、どれもこういった

科学的な検証をされたことがないものばかりなのである。

 それゆえ、事例全体の数からいえばごく少ない1番目、つまり「なにかの前

兆があって地震が起きた」ことだけが強調されることになってしまう。科学的

な検証がなければ、この「前兆」と地震とは、たまたま近接して起きた関係の

ない現象かもしれないのである。

 錯誤相関は、「地震が大きいほど」「地震に近いほど」、心理的に大きい影

響を与えて、前兆が多かったような印象になる。じつにもっともらしい結果に

なってしまうのだ。

 もともと菊池先生は、これらの宏観現象が地震予知に役立つのではないかと

思って研究をはじめた。しかし気鋭の心理学者をがっかりさせているのが現状

なのである。(2月7日『夕刊フジ』より)

 

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┗■4.新聞より

 └────

 

◆最終処分場 フィンランドも難航 放射性廃棄物当局が注文

(2月6日 毎日新聞より)

 小泉純一郎元首相の脱原発発言で注目された放射性廃棄物対策の先進地、

フィンランド・オンカロ最終処分場の関係者が来日し6日、日本記者クラブで

会見した。廃棄物を地層深く埋めた場合の長期的安全性で、規制当局がさらな

る実証を要求していることや今後新設される原発では処分先が未定なことを報

告。「トイレなきマンション」からの脱出は、先進地も難しいという一幕を見

せた。

 同国は原発4基が電力の3割を賄い、今後3基増設で6割に高める。使用済

み核燃料は再処理せず地下に直接処分する計画で、2004年に着工し、22

年ごろ稼働予定という。

 運営会社担当者は、小泉元首相が処分場視察後に脱原発を決意したことにつ

いて、「人の感性はいろいろ。発言の自由はあるが処分場を作る必要は変わら

ない」と話した。

 一方、規制当局職員は「安全性の実証を求めており、その分審査が遅れてい

る」と説明。原発推進官庁の職員は新設炉から出る放射性廃棄物の処分先につ

いて「建設中の処分場の稼働状況を見つつ今後検討する。欧州の経済事情は厳

しく、過疎地にとって数十年の雇用先確保になる」と実情を述べた。

 

 

◆浜岡原発4号機 安全審査 14日にも申請

(2月6日 毎日新聞より)

 中部電力は、運転停止中の浜岡原発(静岡県御前崎市)4号機の再稼働に向

け、来週中にも原子力規制委員会に安全審査を申請する方針を固めた。14日

に申請する方向で最終調整している。中部電は従来、今年3月までのできるだ

け早い時期に申請すると説明してきた。地元の理解を得たうえで、安全対策工

事が終了する2015年9月以降、各種手続きを進めて早期の再稼働を目指す。

 中部電は、13年7月に施行された原発の新規制基準に適合させるため、安

全対策の前提となる地震の揺れや津波の高さの想定を見直し、工事の詳細計画

を固めた。旧基準の下で07年に設定された「基準地震動」は最大800ガル

(ガルは加速度の単位)だったが、南海トラフ巨大地震の最新の研究成果など

を踏まえて、4号機周辺で最大1200ガル程度をベースに見直した。

 

 

◆日弁連 会長声明 東電に紛争解決センター和解案順守要求

(1月25日 毎日新聞より)

 福島第1原発事故を巡り、東京電力が社員に支払い済みの賠償金の返還を求

めたり、国の「原子力損害賠償紛争解決センター」(原発ADR)による和解

案を拒否したりしている問題で、日本弁護士連合会(山岸憲司会長)は原発A

DRの和解案を尊重・順守するよう求める会長声明を出した。

 声明は24日付で「毎日新聞の報道によって、社員やその家族に(国の指針

通りの)賠償さえ行っていないうえに、既に支払った賠償金の返還要求をして

いる実態が判明した」と指摘。原発ADRが社員らへの支払いを求める和解案

を示しても従わない点について「被害者の心情を踏みにじり、いたずらに救済

を遅らせるもので到底看過できない」と批判した。さらに政府に対しても、東

電の姿勢を改めさせるよう強く指導するよう求めている。

 東電は国に提出した「特別事業計画」の中で「和解案の尊重」を掲げている。

にもかかわらず実際には和解案を拒否しており、声明は「東電が一定期間内に

裁判を起こさない限り、和解案通りの和解が成立したとみなす」立法措置も要

求した。

 

※日弁連会長声明(124日発表)全文

『東京電力株式会社による原子力損害賠償紛争解決センターの和解案拒否に

 抗議し、新・総合特別事業計画の遵守を求める会長声明』

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2014/140124.html
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