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たんぽぽ舎です。【TMM:No2449】
2015年4月2日(木)地震と原発事故情報-1つの情報をお知らせします
転送歓迎
━━━━━━━
┏┓
┗■1.「耐震偽装」再び 原発の耐震偽装は、なぜ問われないのか
| 鹿児島県川内原発の「耐震偽装」
| その他の原発の「耐震偽装」
| 原発建設の「手口」の1つ・「断層隠し」
| 耐震偽装を追求しよう
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
◯ 免震装置に使うゴム板を制作している東洋ゴムは、自社が制作した「免震機構」に使用されるゴム板の弾性値や強度などの基本データを長年にわたり「偽造」していたことを明らかにした。
日本各地で建設中又は建設が終わっていた建物の、少なくても55棟で、必要な性能を持たない免震機構が設置されている疑いが持ち上がり、大変な騒ぎになっている。
55棟のなかには市役所や消防署など防災基幹施設も多くある。いずれも耐震性能を評価し直して、装置の交換などの対策を取るとしているが、重大な不正が長年続いていたことに、不信と非難の声が高まっている。
2014年2月には、すでに性能評価基準に適合していないとの「疑い」が社内で認識されていたのにメーカー側が自ら「疑い」の可能性が極めて高くなったと国交省に「報告」したのが今年の3月12日で、この段階で既に1年以上経過していた。国交省および東洋ゴム工業の公式発表は翌13日だった。
今後、2005年に発覚した一級建築士による「耐震強度構造計算書偽装事件」のような事件に発展する可能性もある。
さて、もちろん免震装置の偽装は重大問題であるが、川内原発の再稼働をめぐる耐震設計に関する「違法性の高い審査」も、これに勝るとも劣らぬ重大問題なのだが、一部の報道を除いて取り上げられることはない。
この国の「バランスの悪さ」は、背後の力関係が常に影響を与えている。
◯鹿児島県川内原発の「耐震偽装」
国会事故調査委員会の委員だった石橋克彦神戸大学名誉教授は、川内原発の耐震評価において「内陸直下地震」「プレート境界地震」「海洋プレート内地震」の3つを評価対象として「基準地震」を策定すべきところ、「内陸直下地震」で全てが包絡するとして、他の2つを評価から除いてしまった九州電力の「申請書」を、ろくに審議もしないで鵜呑みにしてしまった規制委員会の審査結果を強く批判している。
プレート境界地震の影響については、川内原発の場合は南海トラフ、琉球海溝付近の地震を指すことになる。
南海トラフの地震は、マグニチュード8クラスが過去に繰り返し発生している。
最近で大きなものは1707年の宝永地震で、マグニチュード8.6以上と推定されるが、この地震よりも2000年ほど前に、これを遙かに上回る地震が起きていた可能性が指摘されている。
高知大学の岡村真教授は、海岸に近い池の中の堆積物調査の結果、1707年の津波を遙かに上回る巨大な津波が2000年ほど前に起こった痕跡を発見した。
耐震設計では、原発の耐震安全性を13~14万年の期間で最大の影響を与えた地震を考える。この基準に照らせば、貞観地震以来1100年ぶりの大きな地震であった東北地方太平洋沖地震のマグニチュード9は、日本のプレート間地震では標準的な水準だ。むしろ、それを超える可能性を何処まで見るのかが問題となるはずが、1707年の比較的小さい宝永地震規模を考えていたのでは、過小評価としか言いようがない。
言い換えるならば、本来必要な性能を「甘い想定」で考えることで、構造強度が低くても合格するように「偽装」したことになるわけだ。
実際、川内原発の基準地震動Ssは、620ガルでしかない。マグニチュード6.8の内陸直下地震だった中越沖地震では、柏崎刈羽原発の解放基盤表面の地震動記録は1699ガルに達した。そのため基準地震動はその後、2300ガルにまで引き上げられた。もともと450ガルしかなかった原発で、である。
◯その他の原発の「耐震偽装」
その他の原発についても、耐震設計自体に明確な偽装が見つかったわけではないが、実態を見れば到底、安全などと言えない現実がある。
原発の耐震設計は一般の建築物と異なり、具体的な建設地点での地震災害を想定することから始まる。つまり耐震計算の基礎となる「想定地震」(基準地震)が間違っていれば、その後の計算に重大な影響を与える。
「想定が間違っていた」を「想定を過小に取る」と言い換えると、そこには明らかに意図がある。つまり原発での耐震計算の偽装の原点があるとしたら、この「想定地震」の過小評価から始まると言い換えることができる。
これまでに、具体的な過小評価の疑惑は数々指摘されてきた。例えば柏崎刈羽原発、もんじゅ、福島第一・第二原発、伊方、川内、六ヶ所再処理工場そして浜岡。およそ原子力施設と名が付けば何らかの疑惑があるといっても過言ではない有様だった。先に述べたように、柏崎刈羽原発は、450ガルが2300ガルになっている。浜岡も600ガルが1000ガル以上になっている。
原発震災で破壊された福島第一原発は、設置段階で370ガル(当時の安全余裕検討用地震)、3.11直前の耐震バックチェックでは水平600ガル、今は900ガルとされている。
全ての原子力施設で、基準地震動は大幅に引き上げられてきた。いわば全て「偽装」されていたに等しい。
その手口について具体例を挙げれば、「もんじゅ」は周辺の甲楽城(かぶらき)断層を耐震設計上もっとも大きな影響を与えるものとして計算しているが、柳ヶ瀬断層帯に属する複数の断層が同時に動くようなケースは想定していない。
その結果、柳ヶ瀬断層帯を含むいくつかの断層が同時に動くような地震が発生すれば「もんじゅ」は想定地震を超える揺れに襲われる。ところが3.11後の規制委員会による審査に際して、関西電力は同じ若狭湾にある大飯原発などで断層の連動を考慮せざるを得なくなった。断層ごとに連動するかしないかが、全く恣意的になってしまい、これで全体の耐震設計の考え方は、ますます整合性がなくなっている。
◯原発建設の「手口」の1つ・「断層隠し」
「断層隠し」と呼ばれる「手法」もある。
顕著に表れたのが六ヶ所再処理工場で、建屋の真下にある断層を「消して」しまった。一見すれば顕著にずれ動いたように見える「リニアメント」を、これは活断層ではないというのである。もし活断層であれば、建屋そのものの立っている岩盤が破壊されることを想定せざるを得ないためだ。そのような場所にはいかなる構造物も「健全に」建ち続けることは不可能である。そのために活断層を無くしたというわけだが、実際に地震に遭遇すれば、活断層であろうと無かろうとそのような「リニアメント」のある岩盤が強固なはずはなく、ここで地盤崩壊を起こす危険性は非常に大きいと考えるのが筋というものである。
六カ所再処理工場の地盤延長上に建っているに等しい、東北電力東通原発でも「断層隠し」は起きていた。この敷地には複数の断層が走っている。これらの断層が「活断層かどうか」が現在、問題になっている。新規制基準では、断層上に重要構造物が「在ってはならない」。
規制委員会の専門家会合では「将来動く可能性がないとはいえない」などと曖昧な評価書を出したが、言い換えるならば可能性は否定できないことになる。
安全側に立つことが絶対に求められる原発の場合、この評価書では原発の建設は出来ないはずだ。
では、これまで東通原発の立地点については、どういう評価がされてきたのか。
言うまでもなく断層が「今」見つかったわけではない。建設前から存在した断層について、活断層ではないことにして地図上から「消し去った」からこそ、原発の立地が可能だった。
◯耐震偽装を追求しよう
17箇所の原発立地点では、大なり小なり同じことが横行してきた。その1つ、敦賀原発の下にあった断層は、活断層とされたことで、敦賀原発は廃炉が確定的になった。「耐震偽装」は構造的に組織的に、原発立地点で繰り返されてきた。
それに対する警告は、まだ十分高まっているとは言えない。川内原発、高浜原発、大飯原発での耐震評価の見直しを求める声を、もっと高めていかなければならない。
2015年4月2日(木)地震と原発事故情報-1つの情報をお知らせします
転送歓迎
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┗■1.「耐震偽装」再び 原発の耐震偽装は、なぜ問われないのか
| 鹿児島県川内原発の「耐震偽装」
| その他の原発の「耐震偽装」
| 原発建設の「手口」の1つ・「断層隠し」
| 耐震偽装を追求しよう
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
◯ 免震装置に使うゴム板を制作している東洋ゴムは、自社が制作した「免震機構」に使用されるゴム板の弾性値や強度などの基本データを長年にわたり「偽造」していたことを明らかにした。
日本各地で建設中又は建設が終わっていた建物の、少なくても55棟で、必要な性能を持たない免震機構が設置されている疑いが持ち上がり、大変な騒ぎになっている。
55棟のなかには市役所や消防署など防災基幹施設も多くある。いずれも耐震性能を評価し直して、装置の交換などの対策を取るとしているが、重大な不正が長年続いていたことに、不信と非難の声が高まっている。
2014年2月には、すでに性能評価基準に適合していないとの「疑い」が社内で認識されていたのにメーカー側が自ら「疑い」の可能性が極めて高くなったと国交省に「報告」したのが今年の3月12日で、この段階で既に1年以上経過していた。国交省および東洋ゴム工業の公式発表は翌13日だった。
今後、2005年に発覚した一級建築士による「耐震強度構造計算書偽装事件」のような事件に発展する可能性もある。
さて、もちろん免震装置の偽装は重大問題であるが、川内原発の再稼働をめぐる耐震設計に関する「違法性の高い審査」も、これに勝るとも劣らぬ重大問題なのだが、一部の報道を除いて取り上げられることはない。
この国の「バランスの悪さ」は、背後の力関係が常に影響を与えている。
◯鹿児島県川内原発の「耐震偽装」
国会事故調査委員会の委員だった石橋克彦神戸大学名誉教授は、川内原発の耐震評価において「内陸直下地震」「プレート境界地震」「海洋プレート内地震」の3つを評価対象として「基準地震」を策定すべきところ、「内陸直下地震」で全てが包絡するとして、他の2つを評価から除いてしまった九州電力の「申請書」を、ろくに審議もしないで鵜呑みにしてしまった規制委員会の審査結果を強く批判している。
プレート境界地震の影響については、川内原発の場合は南海トラフ、琉球海溝付近の地震を指すことになる。
南海トラフの地震は、マグニチュード8クラスが過去に繰り返し発生している。
最近で大きなものは1707年の宝永地震で、マグニチュード8.6以上と推定されるが、この地震よりも2000年ほど前に、これを遙かに上回る地震が起きていた可能性が指摘されている。
高知大学の岡村真教授は、海岸に近い池の中の堆積物調査の結果、1707年の津波を遙かに上回る巨大な津波が2000年ほど前に起こった痕跡を発見した。
耐震設計では、原発の耐震安全性を13~14万年の期間で最大の影響を与えた地震を考える。この基準に照らせば、貞観地震以来1100年ぶりの大きな地震であった東北地方太平洋沖地震のマグニチュード9は、日本のプレート間地震では標準的な水準だ。むしろ、それを超える可能性を何処まで見るのかが問題となるはずが、1707年の比較的小さい宝永地震規模を考えていたのでは、過小評価としか言いようがない。
言い換えるならば、本来必要な性能を「甘い想定」で考えることで、構造強度が低くても合格するように「偽装」したことになるわけだ。
実際、川内原発の基準地震動Ssは、620ガルでしかない。マグニチュード6.8の内陸直下地震だった中越沖地震では、柏崎刈羽原発の解放基盤表面の地震動記録は1699ガルに達した。そのため基準地震動はその後、2300ガルにまで引き上げられた。もともと450ガルしかなかった原発で、である。
◯その他の原発の「耐震偽装」
その他の原発についても、耐震設計自体に明確な偽装が見つかったわけではないが、実態を見れば到底、安全などと言えない現実がある。
原発の耐震設計は一般の建築物と異なり、具体的な建設地点での地震災害を想定することから始まる。つまり耐震計算の基礎となる「想定地震」(基準地震)が間違っていれば、その後の計算に重大な影響を与える。
「想定が間違っていた」を「想定を過小に取る」と言い換えると、そこには明らかに意図がある。つまり原発での耐震計算の偽装の原点があるとしたら、この「想定地震」の過小評価から始まると言い換えることができる。
これまでに、具体的な過小評価の疑惑は数々指摘されてきた。例えば柏崎刈羽原発、もんじゅ、福島第一・第二原発、伊方、川内、六ヶ所再処理工場そして浜岡。およそ原子力施設と名が付けば何らかの疑惑があるといっても過言ではない有様だった。先に述べたように、柏崎刈羽原発は、450ガルが2300ガルになっている。浜岡も600ガルが1000ガル以上になっている。
原発震災で破壊された福島第一原発は、設置段階で370ガル(当時の安全余裕検討用地震)、3.11直前の耐震バックチェックでは水平600ガル、今は900ガルとされている。
全ての原子力施設で、基準地震動は大幅に引き上げられてきた。いわば全て「偽装」されていたに等しい。
その手口について具体例を挙げれば、「もんじゅ」は周辺の甲楽城(かぶらき)断層を耐震設計上もっとも大きな影響を与えるものとして計算しているが、柳ヶ瀬断層帯に属する複数の断層が同時に動くようなケースは想定していない。
その結果、柳ヶ瀬断層帯を含むいくつかの断層が同時に動くような地震が発生すれば「もんじゅ」は想定地震を超える揺れに襲われる。ところが3.11後の規制委員会による審査に際して、関西電力は同じ若狭湾にある大飯原発などで断層の連動を考慮せざるを得なくなった。断層ごとに連動するかしないかが、全く恣意的になってしまい、これで全体の耐震設計の考え方は、ますます整合性がなくなっている。
◯原発建設の「手口」の1つ・「断層隠し」
「断層隠し」と呼ばれる「手法」もある。
顕著に表れたのが六ヶ所再処理工場で、建屋の真下にある断層を「消して」しまった。一見すれば顕著にずれ動いたように見える「リニアメント」を、これは活断層ではないというのである。もし活断層であれば、建屋そのものの立っている岩盤が破壊されることを想定せざるを得ないためだ。そのような場所にはいかなる構造物も「健全に」建ち続けることは不可能である。そのために活断層を無くしたというわけだが、実際に地震に遭遇すれば、活断層であろうと無かろうとそのような「リニアメント」のある岩盤が強固なはずはなく、ここで地盤崩壊を起こす危険性は非常に大きいと考えるのが筋というものである。
六カ所再処理工場の地盤延長上に建っているに等しい、東北電力東通原発でも「断層隠し」は起きていた。この敷地には複数の断層が走っている。これらの断層が「活断層かどうか」が現在、問題になっている。新規制基準では、断層上に重要構造物が「在ってはならない」。
規制委員会の専門家会合では「将来動く可能性がないとはいえない」などと曖昧な評価書を出したが、言い換えるならば可能性は否定できないことになる。
安全側に立つことが絶対に求められる原発の場合、この評価書では原発の建設は出来ないはずだ。
では、これまで東通原発の立地点については、どういう評価がされてきたのか。
言うまでもなく断層が「今」見つかったわけではない。建設前から存在した断層について、活断層ではないことにして地図上から「消し去った」からこそ、原発の立地が可能だった。
◯耐震偽装を追求しよう
17箇所の原発立地点では、大なり小なり同じことが横行してきた。その1つ、敦賀原発の下にあった断層は、活断層とされたことで、敦賀原発は廃炉が確定的になった。「耐震偽装」は構造的に組織的に、原発立地点で繰り返されてきた。
それに対する警告は、まだ十分高まっているとは言えない。川内原発、高浜原発、大飯原発での耐震評価の見直しを求める声を、もっと高めていかなければならない。
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