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ニュークレール情報板
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たんぽぽ舎です。【TMM:No1776】
2013年3月16日(土)地震と原発事故情報-4つの情報をお知らせします
転送歓迎
━━━━━━━
★1.山本太郎さんが語る「脱原発と政治」
芸能界でスポンサーの圧力を受けながら、原発即時撤廃-衆院選に出るま
で
「反原発自治体議員・市民連盟」3月連続講座報告 (事務局・岡田)
★2.引き続き脱原発を「それとなく」進める米国
カルバートクリフス3号機の認可を拒否 山崎久隆(たんぽぽ舎)
★3.本の紹介 2点
◆『大飯原発再稼働と脱原発列島』 (中嶌哲演+土井淑平)
◆『今 原発を考える―フクシマからの発言』の紹介
★4.新聞・雑誌から
◆ 原因の突きとめ方が不十分だと対策もピント外れのものになってしまう
春 秋 (日本経済新聞 3月12日より)
━━━━━━━
┏┓
┗■1.山本太郎さんが語る「脱原発と政治」
| 芸能界でスポンサーの圧力を受けながら、原発即時撤廃-衆院選に出る
| まで
| 「反原発自治体議員・市民連盟」3月連続講座報告
└──── (文責:事務局・岡田)
○ 3月12日午後7時、スペースたんぽぽで「反原発自治体議員・市民連盟」3月
連続講座が開かれ,講師の山本太郎さんが登場しました。
山本さんとは,原発都民投票に「反対する」運動の関係で,意気投合した福士
さんの司会で,満席の会場は和気あいあいのムードの中,山本さんの話が始まり
ました。
最初に,選挙中から出来てしまった5円はげの話で,会場を和ませた後,昨年
の東日本大震災の後,原発事故が起きて,自分も何かしなければと思ったこと,
でも最初はデモに参加した際にも,マスコミに知られないように隠れていたこと,
しかし,マスコミの報道などが何か変で,「福島の子どもたちの20ミリシーベル
ト問題」が出てからは,山本さんの中で,何かが切れて,「マスコミに出たれ」
と思い,現在に至っていることなどを話されました。
○ 芸能界というところは,スポンサー様々で,台本にも「スポンサー様に不利
益な発言はしてはいけません」的なことが書かれており,子役でもみんな知って
いること,そんな中で,山本さんは,大スポンサーの東電を敵にしてしまったこ
とで,仕事も干され,マスコミにも叩かれ,あることないこと散々書かれたこと
などをユーモアたっぷりに話されました。
当初は,様々な政党の議員から声を掛けられたが,自分が選挙に出ることなど
考えてもいなくて,でも,1原発からの即時撤退2東日本からの広域避難3東日
本の汚染食品の流通禁止4広域処理の即時禁止などの4つの枠組みに理解を示す
議員を求めていたものの,解散後,議員らと連絡も取れない状況になり,それな
らば自分で出ようと,杉並選挙区から衆院選に出馬したことなどを熱く話されま
した。
自身の選挙結果には納得,希望が持てたものの,他の選挙区の結果を見た時に
「自民圧勝」に暗黒時代が到来したと悲観してしまったそうです。
最後に,今後の選挙については「絶賛検討中!」との事でしたが,今後の活動
として,小中高校生など,未来の日本を生きる若い人たちに,自分なりの発信方
法で,脱原発の話をしていきたいと熱く熱く話されました。
○ 山本さんのお話のあと,参加者とのフリートークでは,若い人たちへの発信
方法に有効な「ニコニコ動画」「ニコ生」などの紹介があったり,国立大学の学
生さんから,山本さんを大学に招いてお話を伺う企画をしているものの,学校側
からの圧力が掛かっていることなどの話がありました。これには,山本さんから
「シークレットゲストで行くから!」という頼もしい返事がありました。
2時間があっという間に過ぎてしまうほど,楽しく,そして力強い山本さんの
お話に,会場にいる参加者全員「次の選挙には是非とも山本さん出て!」という
心の叫びが聞こえたのは私だけではなかったと思います。
┏┓
┗■2.引き続き脱原発を「それとなく」進める米国
│ カルバートクリフス3号機の認可を拒否
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
この記事は【TMM:No1742】「1.米国でさらに原発1基の閉鎖が決まる。それ
となく「脱原発」に進む米国原発事情」の続きである。
いよいよ「経済性が理由」だけではないかもしれない「米国の脱原発」への道
だが、今度は新規建設がNRC米原子力規制委員会により許可されない事態が発
生した。
メリーランド州にあるカルバートクリフス原発(ユニスター・ニュークリア社)
で、3号機増設について建設許可を出さないことをNRCが決定したという。
しかも決定したのは「2013年3月11日」というから穏やかではない。翌
日付のAP通信は配信記事で「NRC upholds denial of 3rd Calvert Cliffs
reactor」と報じている。直訳すれば「米原子力規制委員会はカルバートクリフ
ス3号機の認可拒否を維持」である。
もともとカルバートクリフス3号機は2010年に一端建設が断念とされてい
る。問題は資金調達の困難さだった。既に米国では原発、それも新規建設される
原発に対して資金を提供しようとする会社は現れないようだ。
このユニスターニュークリア社は資本の75%がフランス政府(フランス国営
電力Edf)である。このままでは「米国にあるフランス政府支配の原子力発電所」
になってしまい、それは米国の国内法に触れる。そのため51%を米国資本に出
資してもらうことを前提としての認可手続きだった。しかしとうとうそのような
会社は現れなかったのである。
その他にもNRCが認可しなかった理由として考えられることは、カルバート
クリフス3号機が欧州型加圧水型軽水炉(EPR)であることだ。これもまたフ
ランスが開発をした原子炉だ。技術も、資本もフランスが占める原発は認可され
ることはなかったのである。
これが意味することは非常に大きい。また、認可拒否を決定したのが3月11
日であることも意味があるのだろう。世界中が日本の地震、津波災害に加え原発
震災二周年で、原発の安全性について関心が高まるタイミングで敢えて認可拒否
をNRCが決定しているのだから、その背後にメッセージがあると思うのが自然
だ。
米国は「原子力ルネッサンス」として今後10年で30基程度を新規建設する
つもりであったようだが、ここにきてとうとう一つも実現しないままに廃炉が続
く時代に突入した。原発の運転認可は通常40年、その後延長手続きが通れば最
大60年間運転が継続できるが、それに要する改修費用などが電力会社にとって
は重荷になっている。今後急速に原発基数は減少することになる。
米国では現在「シェールガス革命」と呼ばれる天然ガス採掘ラッシュが始まっ
ていて、さながら新たなゴールドラッシュの雰囲気が高まっている。これでは今
後も原発に投資しようという会社は現れそうもない。
福島原発震災二周年の日に新規原発の認可を拒否したNRCの姿が、そのよう
な米国の未来を象徴している。
┏┓
┗■3.本の紹介 2点
└────
◆ 原発を阻止してきたいくつも地の民衆の苦闘をえがいた本
『大飯原発再稼働と脱原発列島』の紹介 (中嶌哲演+土井淑平)
○小出裕章さん推薦文―歴史の多くは権力が書き残す。国家と巨大産業、マス
コミも一体となって進められてきた日本の原子力。60基近い原子力発電所が作ら
れ、2011年には福島原発事故も防げなかった。しかし、権力の巨大な力に立ち向
かい、傷だらけになりながらも原発を阻止して来た民衆の苦闘もある。忘れたく
ない歴史の貴重な記録書。
○序文:(前略)
若狭湾には敦賀、美浜、大飯、高浜の13基の原発、並びに、新型転換炉原型
炉の「ふげん」と高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」がある。この原発銀座の若狭
湾においても、小浜の市民たちが原発と使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致を拒
否し、大飯原発の建設や増設に反対してきたことは特筆すべきことである。
この小浜の闘いを先頭に、若狭湾を中心に北陸から山陰の日本海岸まで、つま
り能登半島の珠洲、丹後半島の久美浜、山陰海岸の香住、浜坂、青谷でも、住民
たちが40年前あるいは30年前から、それぞれ長い血の滲む闘いで原発立地を水際
ではね返してきたのである。
本書は、若狭湾を中心にした小浜、珠洲、久美浜、香住、浜坂、青谷の原発立
地阻止運動を、それぞれの運動の中心にいた人物によって復元し記録したもので
ある。これらの原発立地阻止運動は先行する地域の活動家を招いて、その経験を
お互いに学びつつ地域の特性に応じて独自の運動を組み立てていった。(中略)
本書で記録にとどめた若狭湾とその周辺の住民の原発立地阻止運動だけでも、
言葉では語り尽くせない多くの人びとの血と汗の結晶の産物である。加えて、全
国の80カ所で原発・再処理工場・放射性廃棄物処分場を拒否するため、民衆が心
血と労力を注いできた膨大なエネルギーを考えると、それは文字通り筆舌に尽く
し難いものであろう。
いまや、わたしたちはフクシマの衝撃を受けて、脱原発へと向かう決定的な
ターニング・ポイントに立っている。原発は日本の電力やエネルギーのためにあ
るのではない。それは原発を国策とする政府・官庁と電力会社・原子力産業の必
要と利益のためにある。昨夏の日本の電力需給のデータは、かりに大飯原発3・
4号機の再稼働がなくても、つまり原発ゼロでも日本の電力は十分まかなえたこ
とを示している。この事実こそ、フクシマの衝撃と合わせて、すべての出発点で
なければならない。(後略)
○ 目次
第1章:若狭湾への集中立地と大飯原発の再稼働―小浜原発誘致阻止運動と若
狭湾原発反対運動
第2章:能登の土地・海を守り選挙を闘いぬくー珠洲原発阻止から志賀原発廃
炉の闘いへ
第3章:丹後に原発はいらない! ―久美浜原発阻止運動の記録
第4章:ふるさとと子供たちの未来のためにー香住原発阻止運動の記録
第5章:生存をおびやかす原子力発電所―浜坂原発阻止運動の記録
第6章;原発を水際で止めた先手必勝の闘いー青谷原発阻止運動の記録
定価:(本体1800円)+税 発行所:批評社
◆『今 原発を考える―フクシマからの発言』の紹介
本書は、携帯本【CPCリブレ】シリーズ・エコーする〈知〉として刊行。その
記念第1号。
約40年前に3.11直後の福島原発の事故を警告していた「福島第2原子力発電所
原子炉設置許可処分取消請求事件」の福島原発訴訟弁護団長を務めた安田純治弁
護士と、近現代文学者澤正宏福島大学名誉教授との対談集。裁判に関する貴重な
証言が満載。今後の原発事故を考える最適な入門書。両氏が編集に携わった『福
島原発設置反対運動裁判資料』の概要
(附英文)他、参考資料付。A5判・並製80頁1,200円
発行:クロスカルチャー出版 お問い合わせは 電話03-5577-6707 Fax03-
5577-6708
e-mail:crocul99@sound.ocn.ne.jp
┏┓
┗■4.新聞・雑誌から
└────
◆ 原因の突きとめ方が不十分だと対策もピント外れのものになってしまう
問題が生じた時、5回の「なぜ」をぶつけてみたことはあるか。そう著書の中
で書いているのは、在庫を持たない「カンバン方式」の生みの親でトヨタ自動車
の副社長を務めた大野耐一氏だ。機会が動かなくなった場合に、どのように対応
すればいいか紹介している。
○なぜ機械は止まったか。ヒューズが飛んだためならそれはなぜか。機会が滑ら
かに動かなったからなら、なぜそうなったか。潤滑油のポンプの摩耗のせいなら
その理由はー。ポンプに切り粉が入ったことを突き止めれば、ろ過器の設置とい
う手がすぐ打てるというわけだ。
○福島第1原子力発電所の事故から2年がたった。メルトダウン(炉心溶融)に
至ったのは炉を冷却する重要機器が動かなったためだ。ところが原因が完全には
わかっていない。津波による損傷以外に、大地震の揺れはどう影響したのか。別
の要因はなかったのか。「なぜ機械は止まったか」に十分な答えが出ていない。
○全国の安全対策を徹底するために、そして原発再稼働への道筋をつけるために
も、事故の原因を進めることが大事だ。「原因の突き止め方が不十分であると、
対策もピント外れにものになってしまう」と大野氏は戒めている。真因が見えて
くるまで、何十回でも、何百回でも、「なぜ」を繰り返さなくてはなるまい。
春 秋 (日本経済新聞 3月12日より)
2013年3月16日(土)地震と原発事故情報-4つの情報をお知らせします
転送歓迎
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★1.山本太郎さんが語る「脱原発と政治」
芸能界でスポンサーの圧力を受けながら、原発即時撤廃-衆院選に出るま
で
「反原発自治体議員・市民連盟」3月連続講座報告 (事務局・岡田)
★2.引き続き脱原発を「それとなく」進める米国
カルバートクリフス3号機の認可を拒否 山崎久隆(たんぽぽ舎)
★3.本の紹介 2点
◆『大飯原発再稼働と脱原発列島』 (中嶌哲演+土井淑平)
◆『今 原発を考える―フクシマからの発言』の紹介
★4.新聞・雑誌から
◆ 原因の突きとめ方が不十分だと対策もピント外れのものになってしまう
春 秋 (日本経済新聞 3月12日より)
━━━━━━━
┏┓
┗■1.山本太郎さんが語る「脱原発と政治」
| 芸能界でスポンサーの圧力を受けながら、原発即時撤廃-衆院選に出る
| まで
| 「反原発自治体議員・市民連盟」3月連続講座報告
└──── (文責:事務局・岡田)
○ 3月12日午後7時、スペースたんぽぽで「反原発自治体議員・市民連盟」3月
連続講座が開かれ,講師の山本太郎さんが登場しました。
山本さんとは,原発都民投票に「反対する」運動の関係で,意気投合した福士
さんの司会で,満席の会場は和気あいあいのムードの中,山本さんの話が始まり
ました。
最初に,選挙中から出来てしまった5円はげの話で,会場を和ませた後,昨年
の東日本大震災の後,原発事故が起きて,自分も何かしなければと思ったこと,
でも最初はデモに参加した際にも,マスコミに知られないように隠れていたこと,
しかし,マスコミの報道などが何か変で,「福島の子どもたちの20ミリシーベル
ト問題」が出てからは,山本さんの中で,何かが切れて,「マスコミに出たれ」
と思い,現在に至っていることなどを話されました。
○ 芸能界というところは,スポンサー様々で,台本にも「スポンサー様に不利
益な発言はしてはいけません」的なことが書かれており,子役でもみんな知って
いること,そんな中で,山本さんは,大スポンサーの東電を敵にしてしまったこ
とで,仕事も干され,マスコミにも叩かれ,あることないこと散々書かれたこと
などをユーモアたっぷりに話されました。
当初は,様々な政党の議員から声を掛けられたが,自分が選挙に出ることなど
考えてもいなくて,でも,1原発からの即時撤退2東日本からの広域避難3東日
本の汚染食品の流通禁止4広域処理の即時禁止などの4つの枠組みに理解を示す
議員を求めていたものの,解散後,議員らと連絡も取れない状況になり,それな
らば自分で出ようと,杉並選挙区から衆院選に出馬したことなどを熱く話されま
した。
自身の選挙結果には納得,希望が持てたものの,他の選挙区の結果を見た時に
「自民圧勝」に暗黒時代が到来したと悲観してしまったそうです。
最後に,今後の選挙については「絶賛検討中!」との事でしたが,今後の活動
として,小中高校生など,未来の日本を生きる若い人たちに,自分なりの発信方
法で,脱原発の話をしていきたいと熱く熱く話されました。
○ 山本さんのお話のあと,参加者とのフリートークでは,若い人たちへの発信
方法に有効な「ニコニコ動画」「ニコ生」などの紹介があったり,国立大学の学
生さんから,山本さんを大学に招いてお話を伺う企画をしているものの,学校側
からの圧力が掛かっていることなどの話がありました。これには,山本さんから
「シークレットゲストで行くから!」という頼もしい返事がありました。
2時間があっという間に過ぎてしまうほど,楽しく,そして力強い山本さんの
お話に,会場にいる参加者全員「次の選挙には是非とも山本さん出て!」という
心の叫びが聞こえたのは私だけではなかったと思います。
┏┓
┗■2.引き続き脱原発を「それとなく」進める米国
│ カルバートクリフス3号機の認可を拒否
└──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)
この記事は【TMM:No1742】「1.米国でさらに原発1基の閉鎖が決まる。それ
となく「脱原発」に進む米国原発事情」の続きである。
いよいよ「経済性が理由」だけではないかもしれない「米国の脱原発」への道
だが、今度は新規建設がNRC米原子力規制委員会により許可されない事態が発
生した。
メリーランド州にあるカルバートクリフス原発(ユニスター・ニュークリア社)
で、3号機増設について建設許可を出さないことをNRCが決定したという。
しかも決定したのは「2013年3月11日」というから穏やかではない。翌
日付のAP通信は配信記事で「NRC upholds denial of 3rd Calvert Cliffs
reactor」と報じている。直訳すれば「米原子力規制委員会はカルバートクリフ
ス3号機の認可拒否を維持」である。
もともとカルバートクリフス3号機は2010年に一端建設が断念とされてい
る。問題は資金調達の困難さだった。既に米国では原発、それも新規建設される
原発に対して資金を提供しようとする会社は現れないようだ。
このユニスターニュークリア社は資本の75%がフランス政府(フランス国営
電力Edf)である。このままでは「米国にあるフランス政府支配の原子力発電所」
になってしまい、それは米国の国内法に触れる。そのため51%を米国資本に出
資してもらうことを前提としての認可手続きだった。しかしとうとうそのような
会社は現れなかったのである。
その他にもNRCが認可しなかった理由として考えられることは、カルバート
クリフス3号機が欧州型加圧水型軽水炉(EPR)であることだ。これもまたフ
ランスが開発をした原子炉だ。技術も、資本もフランスが占める原発は認可され
ることはなかったのである。
これが意味することは非常に大きい。また、認可拒否を決定したのが3月11
日であることも意味があるのだろう。世界中が日本の地震、津波災害に加え原発
震災二周年で、原発の安全性について関心が高まるタイミングで敢えて認可拒否
をNRCが決定しているのだから、その背後にメッセージがあると思うのが自然
だ。
米国は「原子力ルネッサンス」として今後10年で30基程度を新規建設する
つもりであったようだが、ここにきてとうとう一つも実現しないままに廃炉が続
く時代に突入した。原発の運転認可は通常40年、その後延長手続きが通れば最
大60年間運転が継続できるが、それに要する改修費用などが電力会社にとって
は重荷になっている。今後急速に原発基数は減少することになる。
米国では現在「シェールガス革命」と呼ばれる天然ガス採掘ラッシュが始まっ
ていて、さながら新たなゴールドラッシュの雰囲気が高まっている。これでは今
後も原発に投資しようという会社は現れそうもない。
福島原発震災二周年の日に新規原発の認可を拒否したNRCの姿が、そのよう
な米国の未来を象徴している。
┏┓
┗■3.本の紹介 2点
└────
◆ 原発を阻止してきたいくつも地の民衆の苦闘をえがいた本
『大飯原発再稼働と脱原発列島』の紹介 (中嶌哲演+土井淑平)
○小出裕章さん推薦文―歴史の多くは権力が書き残す。国家と巨大産業、マス
コミも一体となって進められてきた日本の原子力。60基近い原子力発電所が作ら
れ、2011年には福島原発事故も防げなかった。しかし、権力の巨大な力に立ち向
かい、傷だらけになりながらも原発を阻止して来た民衆の苦闘もある。忘れたく
ない歴史の貴重な記録書。
○序文:(前略)
若狭湾には敦賀、美浜、大飯、高浜の13基の原発、並びに、新型転換炉原型
炉の「ふげん」と高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」がある。この原発銀座の若狭
湾においても、小浜の市民たちが原発と使用済み核燃料中間貯蔵施設の誘致を拒
否し、大飯原発の建設や増設に反対してきたことは特筆すべきことである。
この小浜の闘いを先頭に、若狭湾を中心に北陸から山陰の日本海岸まで、つま
り能登半島の珠洲、丹後半島の久美浜、山陰海岸の香住、浜坂、青谷でも、住民
たちが40年前あるいは30年前から、それぞれ長い血の滲む闘いで原発立地を水際
ではね返してきたのである。
本書は、若狭湾を中心にした小浜、珠洲、久美浜、香住、浜坂、青谷の原発立
地阻止運動を、それぞれの運動の中心にいた人物によって復元し記録したもので
ある。これらの原発立地阻止運動は先行する地域の活動家を招いて、その経験を
お互いに学びつつ地域の特性に応じて独自の運動を組み立てていった。(中略)
本書で記録にとどめた若狭湾とその周辺の住民の原発立地阻止運動だけでも、
言葉では語り尽くせない多くの人びとの血と汗の結晶の産物である。加えて、全
国の80カ所で原発・再処理工場・放射性廃棄物処分場を拒否するため、民衆が心
血と労力を注いできた膨大なエネルギーを考えると、それは文字通り筆舌に尽く
し難いものであろう。
いまや、わたしたちはフクシマの衝撃を受けて、脱原発へと向かう決定的な
ターニング・ポイントに立っている。原発は日本の電力やエネルギーのためにあ
るのではない。それは原発を国策とする政府・官庁と電力会社・原子力産業の必
要と利益のためにある。昨夏の日本の電力需給のデータは、かりに大飯原発3・
4号機の再稼働がなくても、つまり原発ゼロでも日本の電力は十分まかなえたこ
とを示している。この事実こそ、フクシマの衝撃と合わせて、すべての出発点で
なければならない。(後略)
○ 目次
第1章:若狭湾への集中立地と大飯原発の再稼働―小浜原発誘致阻止運動と若
狭湾原発反対運動
第2章:能登の土地・海を守り選挙を闘いぬくー珠洲原発阻止から志賀原発廃
炉の闘いへ
第3章:丹後に原発はいらない! ―久美浜原発阻止運動の記録
第4章:ふるさとと子供たちの未来のためにー香住原発阻止運動の記録
第5章:生存をおびやかす原子力発電所―浜坂原発阻止運動の記録
第6章;原発を水際で止めた先手必勝の闘いー青谷原発阻止運動の記録
定価:(本体1800円)+税 発行所:批評社
◆『今 原発を考える―フクシマからの発言』の紹介
本書は、携帯本【CPCリブレ】シリーズ・エコーする〈知〉として刊行。その
記念第1号。
約40年前に3.11直後の福島原発の事故を警告していた「福島第2原子力発電所
原子炉設置許可処分取消請求事件」の福島原発訴訟弁護団長を務めた安田純治弁
護士と、近現代文学者澤正宏福島大学名誉教授との対談集。裁判に関する貴重な
証言が満載。今後の原発事故を考える最適な入門書。両氏が編集に携わった『福
島原発設置反対運動裁判資料』の概要
(附英文)他、参考資料付。A5判・並製80頁1,200円
発行:クロスカルチャー出版 お問い合わせは 電話03-5577-6707 Fax03-
5577-6708
e-mail:crocul99@sound.ocn.ne.jp
┏┓
┗■4.新聞・雑誌から
└────
◆ 原因の突きとめ方が不十分だと対策もピント外れのものになってしまう
問題が生じた時、5回の「なぜ」をぶつけてみたことはあるか。そう著書の中
で書いているのは、在庫を持たない「カンバン方式」の生みの親でトヨタ自動車
の副社長を務めた大野耐一氏だ。機会が動かなくなった場合に、どのように対応
すればいいか紹介している。
○なぜ機械は止まったか。ヒューズが飛んだためならそれはなぜか。機会が滑ら
かに動かなったからなら、なぜそうなったか。潤滑油のポンプの摩耗のせいなら
その理由はー。ポンプに切り粉が入ったことを突き止めれば、ろ過器の設置とい
う手がすぐ打てるというわけだ。
○福島第1原子力発電所の事故から2年がたった。メルトダウン(炉心溶融)に
至ったのは炉を冷却する重要機器が動かなったためだ。ところが原因が完全には
わかっていない。津波による損傷以外に、大地震の揺れはどう影響したのか。別
の要因はなかったのか。「なぜ機械は止まったか」に十分な答えが出ていない。
○全国の安全対策を徹底するために、そして原発再稼働への道筋をつけるために
も、事故の原因を進めることが大事だ。「原因の突き止め方が不十分であると、
対策もピント外れにものになってしまう」と大野氏は戒めている。真因が見えて
くるまで、何十回でも、何百回でも、「なぜ」を繰り返さなくてはなるまい。
春 秋 (日本経済新聞 3月12日より)
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