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たんぽぽ舎です。【TMM:No1295】
                               転送歓迎
 
         ◆ 地震と原発事故情報 その280 ◆
          3つの情報をお知らせします(12月26日)
 
    12月25日、九州電力玄海4号機が定期検査で停止、
    日本の稼働している原発は6基、全原発停止へあと一歩
 
★1.学習会『ストレステスト評価による危険な再稼働への道
                  ―そもそも机上のシミュレーション』
   参加のお誘い
★2.原発再稼働などとんでもない
     「Ss」の1.1倍で壊れる原発
★3.<テント日誌 12/22(木)>
     経産省防災課による「査察」 コトもなく
       ―― 経産省前テントひろば 103日目 ――
 
 
 
★1.学習会『ストレステスト評価による危険な再稼働への道
                  ―そもそも机上のシミュレーション』
   参加のお誘い
 
 明日、12月26日(月)に「11.11-12.11再稼働反対!全国ア
クション」主催による学習会『ストレステスト評価による危険な再稼働への道
―そもそも机上のシミュレーション』とタイトルでの学習会を開催します。
 
 この間5回にわたって開催された「発電用原子炉施設の安全性に関する総合
評価に係る意見聴聞会」に実行委に仲間が数名参加し、「反対派」委員である
後藤委員、井野委員の発言に対してはエールを送り、保安院の傀儡と化した他
の委員に対しては不規則発言を繰り返し、その欺瞞性を暴く闘いを繰り返して
きました。
 
 そもそもこの聴聞会はストレステストの評価の透明性を「担保」する目的で
「広く」一般民間人にに対しても門戸が開かれているのだが、参加者の殆どは
電力会社、プラント会社等の原発村関係者ばかりのいわゆる「さくら」ばか
り。不規則発言をしようにもネクタイ族に挟まれて、中々そのチャンスが見い
だせない。しかし、何人かの仲間が確実に場外から「推進派委員」とりわけ
「議長役」を仰せつかった岡本委員に対して鋭い指摘の矢を浴びせていく。
 
 聴聞会後の短い時間に後藤・井野委員と話す時間を持てたが、ああした援護
射撃でも官僚だけが集まったシャンシャン会議では有効なそうだ。
 
 それにしてもこのストレステストの評価方法は酷い。保安院は管理側である
にもかかわらず完全に電力会社の下僕と化した代弁を繰り返し、実質提出され
たストレステストの評価を行うJNESも原発メーカーOBばかり。この体制
でまともな安全審査などできやしない。そもそもストレステストの範疇や、方
法論、評価基準でさえ曖昧なまま、ひたすら「ストレステストの報告は概ね妥
当」の着地点だけがハッキリしている。後藤・井野委員も当然このことに対し
て鋭い質問を発しているが、官僚特有ののらりくらいり戦術で正面切って回答
しようとしない。
 
 このままでは折角「公開性」と「透明性」を担保するという名目で開かれた
公聴会そのもので、彼ら保安院の出来レースを許しかねません。そのためにも
公聴会内部で奮闘する後藤・井野委員とどう連帯し、公聴会を「暴露の演壇」
と化すか、後藤・井野委員のお仲間である「プラント技術者の会」の井川さ
ん、小川さん両氏をお招きして、ストレステストの「技術的側面」よりもその
「実体構造」に焦点を当て、公聴会内外における運動の道を探るべく勉強会を
行いたいと思います。
 
 スペースたんぽぽの今年最後の学習会となりますが、皆さんのご参加をお待
ちしております。
 
日 時:12月26日(月)開場18:00 開演19:00
場 所:スペースたんぽぽ(たんぽぽ舎入居のビルの4階)
http://maps.google.com/maps?rlz=1I7GGLL_ja&oe=UTF-8&um=1&ie=UTF-8&q=%E3%81%9F%E3%82%93%E3%81%BD%E3%81%BD%E8%88%8E&fb=1&hq=%E3%81%9F%E3%82%93%E3%81%BD%E3%81%BD%E8%88%8E&cid=0,0,10132845393293958024&ei=8MDsTselBYzPmAWCo434CQ&sa=X&oi=local_result&ct=image&ved=0CAgQ_BI
資料代:500円
 
 
★2.原発再稼働などとんでもない
     「Ss」の1.1倍で壊れる原発
 
               山崎 久隆 たんぽぽ舎 劣化ウラン研究会
 
○耐震設計とは
 
 原発の耐震性能を決める手法をまず簡単に説明する。
 
 原発の耐震性を決めるための基礎になる「揺れの大きさ」を「基準地震動・
Ss」という。耐震設計審査指針が改定された2006年から適用されており、原
発の耐震性能を評価する基準の揺れの大きさを加速度で表現したものだ。それ
までの耐震設計審査指針では「設計用最強地震」に対してS1、それより大き
い「設計用限界地震」についてはS2という基準が使われていた。Ssの考え
方はS2に近いが同じでは無い。
 
 現在の一般建築物においても「レベル1(希に発生する地震動)」「レベル
2(極めて希に発生する地震動)」という基準を使っている。おおむねレベル
1は200ガルで、損傷を受けないこと。レベル2は400ガルで、倒壊しな
いことなどとなっている。以前は原発が一般建築物の「3倍程度強固に作って
いる」と宣伝していた根拠は、このレベル1の3倍程度でも破損せず、レベル
2の3倍程度でも倒壊しないという趣旨だったと考えても良いだろう。(3倍
というのは単純に600ガルと言うことではない)
 
 地震とは、地下数百キロからゼロキロの間にあるであろう震源断層が活動す
ることにより生ずる。揺れは地盤を通って原発の基礎に到達し、さらに原発内
部に侵入して構造物や機器類を揺らす。その際重要なのは、構造物が耐えられ
るかどうかだ。そのためには耐震力のある設計が必要だ。
 
 理学的にいえば、地震が起きることも、その大きさも、一定の確率の下でし
か評価できない。最大限、ある断層が「100%動く」とは言えても、いつ、
どれだけの大きさの地震として、と問われれば「わからない」としか言えな
い。そのため「30年以内に99%」などと表現している。
 
 しかし構造物を作るのに確率は役に立たない。揺れの大きさを特定しないと
設計が出来ない。そのため工学的に「割り切りが必要」と裁判所の法定で堂々
と言ったのが斑目春樹原子力安全委員会委員長だった。ただし、この発言には
重大な前提が欠けていた。それは「割り切りが必要な場所」などに、そもそも
立地してはならないことだ。「原子力施設の立地指針の判断目安」(64年原
子力委員会決定)に、はっきりそう書いてあるのだから反論の余地は無い。
 
 基本的考え方の冒頭に「大きな事故の誘因となるような事象が過去において
なかったことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこ
と。また、災害を拡大するような事象も少ないこと」とあるのだから。
 
 日本で最も巨大かつ頻繁な海溝型地震を起こすとされる場所に、原発を建て
ることを許可した理由を釈明すべき立場の安全委員長が、「割り切り」と言っ
たのは浜岡原発に対してだ。驚くべき開き直りと無責任さは、この国の原子力
行政のデタラメぶりを象徴するものだ。
 
○原発の地震動評価手法
 
 原発などの構造物は、一定の条件の下に定める工学的基盤、いわゆる「解放
基盤面」において、どれだけの揺れを想定するかにより耐震設計が決まってく
る。これは原発ごとに決められる。
 
 「解放基盤面」を決めるのは、地下の地盤の堅さであり、地震の横波と呼ば
れるS波(剪断波とも言う)が地中を伝わる速度が毎秒700メートル以上の
地盤を「解放基盤面」としている。この値は全国の原発で共通で、従って解放
基盤面が地下196メートル以上の場所にある福島第一や、地下8.6メート
ルのところにある女川原発などの違いが出る。一般的に地下浅いところにある
ということは固い地盤がすぐ下にあると言うことであり、100メートル以上
も離れている場合は軟弱な地盤であると言えるだろう。
 
 解放基盤面では、地震の際には上に地盤が乗ったまま揺れることになるの
で、地震の波が地表面に反射して跳ね返り、基盤面の揺れが干渉により変化す
る。上部地盤の影響を受けてしまうと揺れの大きさや周期などを元に建屋内部
の影響を計算し評価することが困難なため、上部地盤を取り除いた「仮想的な
地盤」をコンピュータ上で作る。地盤を「はぎ取って」地震波形を作ることに
なるので、それを「はぎ取り波」という。
 
 この波は単純に「地震加速度600ガル」などという数値ではない。これで
は設計は出来ない。ここで言う600ガルというのは、周期0.1秒における
地震加速度でしかない。実際に設計する際には、基準地震動の波形を作らなけ
ればならない。特に0.3秒や1秒付近の周期でどれだけの大きさの速度、加
速度になるかは重要だ。この周期は配管などの構造物や建屋の固有周期が多く
存在しているので、共振により損傷することも考慮しなければならない。それ
ら「卓越周期」「周期ごとの加速度、速度」「変位量」などが分からなければ
設計は出来ない。これらを代表して「周期0.1秒の加速度」をSsの数値と
して発表しているに過ぎない。
 
 なお、中越沖地震を踏まえて現在の柏崎刈羽原発のSsはぎ取り波は実に
2280ガルにもなっている。これらを踏まえて以下をお読みください。
 
○福島第一のSsと実測値
 
 福島第一はSs600ガルに対して実測値は675ガル、さらに震源域に近
かった女川ではSs580に対して636ガル、いずれも実測値がSsを上回
った。しかし柏崎刈羽原発が2007年に中越沖地震で記録した1699ガル
(Ssは以前は600ガル)という大きな差は無かった。
 
 そういう意味では、地震動の大きさは基準地震動を超えたが、そのために機
器類が破壊されることは本来は無いはずだった。東電も中間報告で「地震の大
きさはほぼ想定通り」と書いたくらいだ。
 
 実際、柏崎刈羽では、2700カ所以上の機器類の破損があった。津波は無
かったが地震動だけでも原子炉を破壊する危険性はあった。3号機の起動変圧
器は炎上し、外部電源も失われた。非常用ディーゼル発電機も起動したものが
多かったが、全体的に電力不足に陥り、タービン駆動給水ポンプを動かすため
に補助ボイラーが起動したが、1から5号機と6,7号機でそれぞれ一台しか
使用できなかった。そのため運転していた3、4号機で一台を取り合う結果と
なり、起動変圧器が炎上していた3号機を優先したため4号機の冷温停止には
丸2日掛かっている。これなど、後一歩深刻な事態に陥っていたら、メルトダ
ウンにはならなかったとしても燃料が露出し損傷する事態に至っていたかもし
れない。
 
 しかしこれが教訓にはならなかった。見過ごされた問題は、地震だけで十分
深刻な事態になっていたことだ。
 
 いまストレステストが各地の原発で行われているが、そのうち一次テストの
結果が公表された大飯原発3、4号機と伊方原発3号機では、最も厳しい配管
類についてもSsによる揺れに対して約1.8倍程度の「余裕」があることに
なっている。
 
 福島第一原発でも現在の大飯原発などで実施されているテストで使われてい
る計算手法を使えば。同程度の「余裕」があるという結果になると思われる。
従って1.8倍程度の「余裕」は、もはや余裕ではないと考えるべきなのでは
ないだろうか。だからこそ福島第一のストレステストこそ一番に行うべきだっ
たのだ。
 
 福島第一原発で観測した揺れはSsの1.1倍ほどだった。それが多くの機
器類を破損させ、おそらく冷却系配管の一部を破壊した。それが正確に評価で
きるテストでなければ意味は無い。
 
 具体的にどこがどのように破壊されたかは依然として不明だが、1号機では
隔離時復水器(IC・非常用復水器と誤って表記されることが多い)につなが
る配管、あるいはICそのもの、2、3号機はおそらくECCS系の配管や再
循環系配管、これまでのバックチェックでも一番弱いとみられている原子炉隔
離時冷却系配管が損傷しているかもしれない。
 
 この原子炉隔離時冷却系・RCICというのは、電源喪失を起こした際に最
後まで冷却水を炉内に送るためのタービン駆動ポンプがつながっている系統
で、本来ならば電源喪失後も最後まで破壊されないように、最も強固に作るべ
きものだと思うのだが、実際には安全保護系の中では最も脆弱である。つまり
Ssに匹敵する地震に襲われると最初に破壊されるのが最後まで駆動を期待さ
れているポンプだという、実に信じられないほど強度不足の装置なのだ。
 
 こんな指摘をすれば、以前の東電は「そのような事態になればECCSが働
く」「必要なポンプ駆動用電力は非常用ディーゼル発電機で供給する」と答え
ていた。
 
 今回の事故の謎(たくさんあるがそのうちのひとつ)は、RCICがどうし
て止まったか(または止めたか)が分からないことだ。地震による損傷が原因
の一つである可能性は高いと思われる。
 
 
★3.<テント日誌 12/22(木)>
     経産省防災課による「査察」 コトもなく
       ―― 経産省前テントひろば 103日目 ――
 
 12月22日(木)曇り。日射しがないと寒い。
 午後、経産省防災課が「査察」として、テントにやってくる。10日程前で
あったか、経産省防災課が警告書なるものを持ってきた。要するに火気厳禁と
いうことで、電気であれ、ガスであれ、暖房器具やコンロの使用は一切ダメ、
照明もダメというものであった。凍死者が出ようが、そんなことはお構いな
し、というような警告書であった。
 
 もとより、防火については、右翼による放火等に対する備えということもあ
り、早くから万全の注意と体制を取っている。今日やってきたのは、その警告
書に基づく「査察」ということであった。テントの中は綺麗に整理され、彼ら
はなんら問題となるものを見つけることはできなかった。そして「何か見つけ
た時はビデオを撮るから」と捨てゼリフを残して引き上げていった。
 
 女性テントは、椎名さんが戻ってきてからは相変わらず賑わっている。訪問
者が絶えないようだ。昨日もお知らせした、28日の【女たちの御用納め行
動!!】の案内です。
 
 わたしたちの人生を、生活を、環境を、めちゃくちゃに破壊した福島原発事
故から9カ月が過ぎ、2011年も終わろうとしています。しかしこの間、避
難も、防御も、除染も、補償も、東電および政府への責任追及も十分には行わ
れず、その上、原発の再稼働や輸出といった信じ難い暴挙が行われようとして
います。
 
「こんな気持ちじゃ、とても年を越せない!」
「東電にも、仕事納めなんかさせないわ!」
という声が、「福島の女たち」の中からわき上がってきました。そこで師走の
慌ただしい時期ではありますが、「女たちの御用納め」を企画しました。
 
 東電に今年最後のご挨拶に参りましょう!
 
■日 程 12月28日(水)、昼12時に東京電力本社
              (東京都千代田区内幸町1丁目1ー3)前
に集合し、霞ヶ関経産省前でもアクションを行う予定です。あなたも、あふれ
る思いの丈を叫びに行きませんか。
■往復無料バスツアー(福島→郡山→須賀川→西郷バスストップを経由して東
電へ)も企画しました。(対象者は福島)
 
 呼応して、できるだけ多くの方が東電本社前に集まって、今年1年の怒りの
声を東電に!年末年始、テントでは多くの企画が検討されています。反原発紅
白歌合戦、ゆく年くる年リレートーク、元旦霞ヶ関マラソン等々です。1月4
日は新年餅つき大会が予定されています。
(am10時~準備 pm3時~餅つき)
 
                            ( Y・T )
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