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たんぽぽ舎です。【TMM:No1293】
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その278 ◆
4つの情報をお知らせします(12月22日)
編集部より:本日送信しました地震と原発事故情報その277の★1の記事中
被曝量の表記にミリをマイクロと表記する誤りがありました。編集部により表記
統一時に誤変換をしてしまいました。お詫びして再掲させていただきます。
★1.食品に含まれる放射性物質の新たな基準値について
国民の内部被曝を許容する政府の姿勢・基準は
今後改めさせねばならない
乳幼児食品は限りなくゼロに近い基準であるべきだ
★2.<テント日誌 12/21(水)>
テント前で反原発アピール 目白押しの年末への企画
―― 経産省前テントひろば 102日目 ――
★3.メルマガ読者から講演会のお知らせ
イ.さようなら原発 鎌田慧 江東講演会 1/30(東京・江東区)
ロ.『隠された内部被爆の危険』矢ケ崎克馬氏講演 2/12
(東京・四谷)
★4.新聞・雑誌から
イ.脱原発を国策にして原発からの計画的な脱却を
負の遺産である放射性廃棄物処理の問題に真面目に取り組むべき
チェルノブイリ被害視察の福島県調査団―清水修二団長に聞く
ロ.再稼働推進論に打撃 耐震指針見直しも
大量水漏れ裏付け 炉心溶融の引き金か―
「国会事故調 徹底調査を」
ハ.日本版ピュリツァー賞「原発崩壊」樋口さん受賞
★1.食品に含まれる放射性物質の新たな基準値について
国民の内部被曝を許容する政府の姿勢・基準は
今後改めさせねばならない
乳幼児食品は限りなくゼロに近い基準であるべきだ
安田 節子(食政策センター・ビジョン21)
厚生労働省は、一般食品は現在の暫定基準値の5分の1に当たる、1キログ
ラム当たり100ベクレル、乳児用の食品と牛乳は50ベクレルなどとする方
針を発表。厚労省によると、世界保健機関(WHO)の基準を踏まえ、年間被
曝許容上限1ミリシーベルトのうち0.1ミリシーベルトを「飲料水」に振り
分け、1キロ当たり10ベクレルと設定。その上で食品中の放射性セシウムに
よる年間被曝を残る0.9ミリシーベルト以内に抑えられるよう、平均食品摂
取量などを考慮し、「一般食品」はセシウムで100ベクレルとした。「乳児
用食品」と「牛乳」はセシウムで50ベクレルとした。
5分の1になったから、よかったと思う向きが多いかもしれない。しかし、
暫定基準を正式の基準に改め、今後長く運用される基準としてみると、国民の
内部被ばくを許容する政府の姿勢が見て取れるのだ。
ICRPの勧告をもとに、日本では、法律で定めた公衆の年間被曝限度は外
部被ばく、内部被ばく合わせて1ミリシーベルト(自然放射線被ばくと医療被
曝を除く)となっている。暫定基準値はこれを大幅に上げて設定された。内部
被曝だけで17ミリシーベルトを許容し、これを4つの核種グループに割り振
り、セシウムは5ミリシーベルトとした。5つの食品ジャンルに1ミリシーベ
ルトづつ割り当て導き出したのが500ベクレル/kgの基準だ。暫定基準は
通常の食品安全基準とは異なり、安全を担保するものではない。非常時のがま
ん値なのだ。今回それを5分の1の100ベクレルに引き下げるというが、依
然高すぎる。この規制値で出回る食品を国民が今後ずっと食べ続けるなら、内
部被ばくによって計り知れない数の健康被害を生み続けるだろう。放射線には
これ以下なら安全という閾値は存在しない。閾値の定められない汚染物は食品
に残留してはならないのが食品衛生法の原則だ。非常時の暫定から通常規制に
もどすのだから、国民の内部被ばくを防ぐ基準にならなければおかしい。飲料
水はWHO基準の10ベクレル採用というが、WHOは放射能関係の基準策定
においては、IAEAの了解を得なければならない協定が結ばれており、その
ためWHOの基準は推進の立場にたっていると批判されている。飲料水はアメ
リカの0.111やドイツの0.5のように、コンマ以下でなければいけない
だろう。
ドイツ放射線防護協会は内部被ばくは年間0.3ミリシーベルト以下として
いる。そして、日本政府に対し、乳児、子ども、青少年に対しては4ベクレル
/kg以上のセシウム137を含む飲食物を与えないように、成人は8ベクレ
ル/kg以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことを推奨してい
る。
日本の高い数値設定には希釈率0.5を採用していることがある。汚染され
た食品だけを口にするわけではないとし、汚染されていない食品を食べること
で汚染が薄まる「希釈」を考慮しているのだ。この希釈政策を停止するよう、
ドイツ放射線防護協会は11月27日に緊急勧告を発している。放射線防護に
おいては、汚染されたものを汚染されていないものと混ぜて希釈し通用させる
ことを禁止する国際的合意がある。日本の瓦礫処理や食品基準はこれに接触す
ると指摘。
チェルノブイリ以降、わかってきたのは幼いものたちがこれまで考えられて
いた以上に感受性が高く低い線量で影響を受けていることだ。このことを考慮
して乳児用食品は大人の半分の50ベクレルにしたと厚労省は説明している
が、先の明治の粉ミルク「ステップ」で判明した30.8ベクレルくらいの汚
染があっても今後ずっと許容されることになる。ミルクは薄めて飲むからとい
うが、小さな体にそれだけを飲むのだし、体内被ばくは避けられない。乳児用
食品は限りなくゼロに近い基準であるべきだ。日本では汚染されていない原料
の入手は可能なのだから。
基準値が緩いと、汚染の低いものと混ぜることで基準を容易にクリアーでき
てしまう。厳しい基準ではそれが困難になる。なによりも放射性物質につい
て、希釈すれば安全という誤った認識は払拭されなければならない。そして内
部被ばくを容認するような基準は改めさせねばなりません。
★2.<テント日誌 12/21(水)>
テント前で反原発アピール 目白押しの年末への企画
―― 経産省前テントひろば 102日目 ――
12月21日(水) 空はどんよりした鉛色。午後になって晴れ間が見え始め、
だんだんに広がる。
ドイツの芸術家がテント訪問。31・11皆さんはどうしていたのですか、テ
ントはどういう風に出来たのですか当等熱心に取材。女性テントでも椎名さんに
熱心に取材があったとのこと。海外の方々に一層有名になるのかなー。 今度
12月27日(火)pm3時~5時に、テント談話室「放射能と月と再生語り合おう
再生可能文化 を!」を開催される川元祥一さん(作家、ルポライター)が、下
見を兼ねてテントに来訪。 夕方はテント前で、テントひろば主催の反原発アピ
ール。冷温停止宣伝怒りのアピール。被曝労働問題の院内集会報告、福島出身メ
ンバーは、その当事者として、母として、妻として、女としてのアピール。線量
の高い千葉メンバーからは、きちんと対応しない森田県政批判も。道行く人々に
ア ピール。テント前もすっかり冬景色になってしまった。経済産業省前もほと
んど枯れ葉は無く、冷たい風がアスファルトの上を舞う。午前3時の見回り。寒
い。経済産業省、文部科学省、外務省ビルにはまだ灯りがついた部屋が。テント
に戻り朝まで、語りこんだ。
( T・H )
年末までテントでの企画は目白押しである。 23日(金・祝)は、いわき市
からリゾート施設「ハワイアンズ」のフラガールの有志がやって来て、 古
代フラダンスを披露する。テントには過去に2度来ておられる。 (pm2時~)
24日(土)は、兵庫から平和のピアニスト池邊幸恵さんを迎えて、クリスマ
スコンサート。(pm3時~) 26日(月)は、群馬からギタリストの南條倖
司さんが、まあさんと一緒にやってきて、ギターと歌を 披露する。(pm
2時~) 27日(火)は 上でも触れた川元さんのテント談話室 第1回「半減
期に学ぶ」 (pm3時~) 28日(水)は 「女たちの御用納め行動」 福
島から大型バスをチャーターして駆けつけてくるとのこと。 12時東電前
に集まる → 経産省前テント という行動予定です。 その後もまだまだ続
きますが、とりあえず。
( Y・T )
★3.メルマガ読者から講演会のお知らせ
イ.さようなら原発 鎌田慧 江東講演会
「脱原発社会に向けて~福島原発事故が問いかけるもの」
1月30日(月)18時半開始 江東区総合区民センター・第5会議室(都営
新宿線「西大島」駅の上)参加費500円
主催:さようなら原発一千万人署名江東実行委員会
連絡先:03-3638-3366(江東ユニオン)
ロ.テーマ『隠された内部被爆の危険』
講師:矢ケ崎克馬氏(琉球大学名誉教授)
日時:2012年2月12日(日)14時半~17時
場所:四ツ谷ニコラバレ9階ホール
(四ツ谷駅 麹町口すぐ前)
申込:不要
資料代:500円
(ただし被災された方、避難しておられる方は無料)
"年間100ミリシーベルト以下の健康被害はわからない"と
信じている方、それは"わからない"のではなく"隠されてきた"のです。
意図的に隠されてきた内部被爆のメカニズムを知り、
子ども達とその未来を守るために力を合わせましょう。
主催:脱原発・自然エネルギーを考えるカトリック市民の会
共催:カトリック東京正義と平和委員会
連絡先:090-4396-7446 三上
l.ermitebethanie@ae.auone-net.jp
★4.新聞・雑誌から
イ.脱原発を国策にして原発からの計画的な脱却を
負の遺産である放射性廃棄物処理の問題に真面目に取り組むべき
チェルノブイリ被害視察の福島県調査団―清水修二団長に聞く
福島県のチェルノブイリ原発事故調査団が十一月、深刻な被害を受けたベラル
ーシ、ウクライナを視察した。現場には石棺で覆われた事故炉が残り、放射性物
質で汚染されたとされる地域にはなお、ベラルーシだけで約百十四万人が住み続
ける。福島第一原発事故で放射線による汚染との"共存"を強いられた福島県はチ
ェルノブイリから何を学ぶのか。調査団長の清水修二・福島大学副学長に聞いた。
「チェルノブイリ原発から約三十キロのベラルーシ東南部コマリン村では、学
校に放射性物質についての情報センターが設けられ、子どもたちが各家庭の食料
品を持ち寄っては測定器に入れ、放射線量を調査していた。測定器は円換算で一
台数十万円ほど。福島市長にさっそく、測定器を福島市内すべての学校に設置し
てはどうかと提案した。ベラルーシでは農地の除染は行っていない。一方で平均
十一ヘクタールごとの区画に分けて詳細な汚染地図を作り、汚染の状態と土壌の
性質を見た上で、作目を選びながら耕作を進めていった。ゼロか百かという考え
方ではなく、これは福島の農業復興にとって参考になる。(村域の一部が警戒区
域に指定されている)川内村の遠藤雄幸村長が"(毎時放射線量が)一マイクロ
シーベルトでも村に戻れますか"と質問したのに対し、ベラルーシの専門家は、
被ばくリスクのほとんどは内部被ばくによるもの、と説明していた。内部被ばく
の大半は食物経由で、空間線量による外部被ばくに比べ、コントロールしやすい。
学校など身近な場所で、自分で測って納得できる仕組みをつくることが重要だ。
(中略)福島第一原発事故で、一万人を超える子どもたちが福島県外に出て行っ
てしまい、事故前約二百二万人だった県の人口は百九十九万人を割ってしまった。
避難した人としない人などの人間関係の分断も起きている。"脱原発"を国策に位
置付けて原発からの計画的な脱却を図り、負の遺産である放射性廃棄物処理の問
題に真面目に取り組むべきだ」
(11.12.19. 東京新聞『こちら特報部』より抜粋)
ロ.再稼働推進論に打撃 耐震指針見直しも
大量水漏れ裏付け 炉心溶融の引き金か―「国会事故調 徹底調査を」
東京電力が声高に主張し続ける「津波原因説」に風穴があいた。経済産業省原
子力安全・保安院が、福島第一原発1号機の原子炉系配管に地震の揺れで亀裂が
入った可能性のあることを認めたのだ。地震で重要機器が損傷したとなれば、津
波対策だけでお茶を濁そうとする原発再稼働計画は破綻する。なぜ保安院は、今
になって全原発が長期間停止しかねないような見方を示したのか。
今月六日、東京・永田町の衆院第一議員会館。民主党の川内博史衆院議員は、
保安院の担当者と向き合っていた。いずれも元原発エンジニアで、福島第一原発
の設計にも携わったサイエンスライターからの田中三彦、沼津工業高等専門学校
特任教授の渡辺敦雄の両氏が同席していた。保安院から示されたのが「福島第一
原発1号機 非常用復水器(IC)作動時の原子炉挙動解析」。最後にこう結論
付けていた。「破損による漏洩等の可能性が議論されているため、漏洩を仮定し
た感覚解析を行った。漏洩を仮定した感度解析を行った。漏洩面積0・三平方セ
ンチ以下の場合は、原子炉圧力・原子炉水位のp解析結果と実機データとに有意
な差はない」難解な表現だが、要するに、地震によって原子炉系の配管に0・三
平方センチの亀裂が入った可能性があるということだ。0・三平方センチという
と、ごくわずかな印象を受けるが、「ヘアクラック(髪の毛のひび)」という言
葉もある原発の世界では非常に大きな穴だ。一時間当たり何トンもの水が噴き出
し、炉心溶融につながる冷却材喪失事故の引き金にもなる。
川内氏は「東電は事故原因を津波と決め付けてきたが、地震による重要機器の損
傷の可能性を否定できなくなった」と力を込める。
"物証"ない津波原因説
可能性ではあるが、津波原因説も一つの仮説にすぎない。"物証"がないからだ。
原子炉内は今後十年、あるいは二十年は人が立ち入ることはできない。仮にカメ
ラなどで確認できたとしても、断熱材などで覆われた配管の細部までは分からな
い。「だからこそ、あらゆる可能性を否定してはならない」(川内氏)(略)で
は、なぜ東電や保安院は「津波原因説」に固執するのか。地震の揺れは、1号機
では耐震設計の基準値内だった。この程度の揺れで配管が損傷したとなれば、
「ストレステスト(耐性評価)」はもちろん、現行の「耐震設計審査指針」の全
面見直しはすべての機器の取り換えが必要になるかもしれない。再稼働をもくろ
む保安院、責任回避に躍起の東電は、そう簡単には「地震原因説」に乗れない。
【デスクメモ】今回の件でよくわかったのは、東電が発表する"原子炉の状態"と
は、計算の結果にすぎず、入力条件を変えてしまえば、どんな結果でも導き出せ
るという事実だろう。つまり誰も真実をわかっていないのだ。政府は、これで冷
温停止状態を宣言するというのだからあきれる。暴走としかいいようがない。(.
『こちら特報部』東京新聞12.15.より抜粋)
ハ.日本版ピュリツァー賞「原発崩壊」樋口さん受賞
原発労働者を四十年近く撮り続けてきたフォトジャーナリスト 樋口健二さん
(七四)が、「平和・協同ジャーナリスト基金(PCJF)」の第十七回大賞を
受賞した。同賞は市民が選ぶ日本版ピュリツァー賞と言われ、反核・平和、協同
・連帯、人権擁護などに寄与したジャーナリストらに贈られる。樋口さんは一九
七四年から電力会社の下請けや孫請けなどとして働く被曝労働者をカメラで追い
続けてきた。七七年には報道カメラマンとして初めて定期検査中の原発内部に入
り、パイプや床などに付着した放射能を雑巾などで拭き取る労働者の生々しい姿
を撮影した。(略)樋口さんの地元、東京都国分寺市では「写真展を開催する市
民実行委員会」(委員長・汐見稔幸白梅学園大学学長)が結成され、来年三月二
十七日~四月一日に同市東元町二の「カフェスロー」で写真展が開かれる。(略)
樋口さんは「『原発崩壊』は、ぼろ雑巾のように捨てられた被曝労働者たちの鎮
魂の書です。原発をやめて、あるべき本当の日本をつくりたい」と挨拶した。
(11.12.15.東京新聞より抜粋)
転送歓迎
◆ 地震と原発事故情報 その278 ◆
4つの情報をお知らせします(12月22日)
編集部より:本日送信しました地震と原発事故情報その277の★1の記事中
被曝量の表記にミリをマイクロと表記する誤りがありました。編集部により表記
統一時に誤変換をしてしまいました。お詫びして再掲させていただきます。
★1.食品に含まれる放射性物質の新たな基準値について
国民の内部被曝を許容する政府の姿勢・基準は
今後改めさせねばならない
乳幼児食品は限りなくゼロに近い基準であるべきだ
★2.<テント日誌 12/21(水)>
テント前で反原発アピール 目白押しの年末への企画
―― 経産省前テントひろば 102日目 ――
★3.メルマガ読者から講演会のお知らせ
イ.さようなら原発 鎌田慧 江東講演会 1/30(東京・江東区)
ロ.『隠された内部被爆の危険』矢ケ崎克馬氏講演 2/12
(東京・四谷)
★4.新聞・雑誌から
イ.脱原発を国策にして原発からの計画的な脱却を
負の遺産である放射性廃棄物処理の問題に真面目に取り組むべき
チェルノブイリ被害視察の福島県調査団―清水修二団長に聞く
ロ.再稼働推進論に打撃 耐震指針見直しも
大量水漏れ裏付け 炉心溶融の引き金か―
「国会事故調 徹底調査を」
ハ.日本版ピュリツァー賞「原発崩壊」樋口さん受賞
★1.食品に含まれる放射性物質の新たな基準値について
国民の内部被曝を許容する政府の姿勢・基準は
今後改めさせねばならない
乳幼児食品は限りなくゼロに近い基準であるべきだ
安田 節子(食政策センター・ビジョン21)
厚生労働省は、一般食品は現在の暫定基準値の5分の1に当たる、1キログ
ラム当たり100ベクレル、乳児用の食品と牛乳は50ベクレルなどとする方
針を発表。厚労省によると、世界保健機関(WHO)の基準を踏まえ、年間被
曝許容上限1ミリシーベルトのうち0.1ミリシーベルトを「飲料水」に振り
分け、1キロ当たり10ベクレルと設定。その上で食品中の放射性セシウムに
よる年間被曝を残る0.9ミリシーベルト以内に抑えられるよう、平均食品摂
取量などを考慮し、「一般食品」はセシウムで100ベクレルとした。「乳児
用食品」と「牛乳」はセシウムで50ベクレルとした。
5分の1になったから、よかったと思う向きが多いかもしれない。しかし、
暫定基準を正式の基準に改め、今後長く運用される基準としてみると、国民の
内部被ばくを許容する政府の姿勢が見て取れるのだ。
ICRPの勧告をもとに、日本では、法律で定めた公衆の年間被曝限度は外
部被ばく、内部被ばく合わせて1ミリシーベルト(自然放射線被ばくと医療被
曝を除く)となっている。暫定基準値はこれを大幅に上げて設定された。内部
被曝だけで17ミリシーベルトを許容し、これを4つの核種グループに割り振
り、セシウムは5ミリシーベルトとした。5つの食品ジャンルに1ミリシーベ
ルトづつ割り当て導き出したのが500ベクレル/kgの基準だ。暫定基準は
通常の食品安全基準とは異なり、安全を担保するものではない。非常時のがま
ん値なのだ。今回それを5分の1の100ベクレルに引き下げるというが、依
然高すぎる。この規制値で出回る食品を国民が今後ずっと食べ続けるなら、内
部被ばくによって計り知れない数の健康被害を生み続けるだろう。放射線には
これ以下なら安全という閾値は存在しない。閾値の定められない汚染物は食品
に残留してはならないのが食品衛生法の原則だ。非常時の暫定から通常規制に
もどすのだから、国民の内部被ばくを防ぐ基準にならなければおかしい。飲料
水はWHO基準の10ベクレル採用というが、WHOは放射能関係の基準策定
においては、IAEAの了解を得なければならない協定が結ばれており、その
ためWHOの基準は推進の立場にたっていると批判されている。飲料水はアメ
リカの0.111やドイツの0.5のように、コンマ以下でなければいけない
だろう。
ドイツ放射線防護協会は内部被ばくは年間0.3ミリシーベルト以下として
いる。そして、日本政府に対し、乳児、子ども、青少年に対しては4ベクレル
/kg以上のセシウム137を含む飲食物を与えないように、成人は8ベクレ
ル/kg以上のセシウム137を含む飲食物を摂取しないことを推奨してい
る。
日本の高い数値設定には希釈率0.5を採用していることがある。汚染され
た食品だけを口にするわけではないとし、汚染されていない食品を食べること
で汚染が薄まる「希釈」を考慮しているのだ。この希釈政策を停止するよう、
ドイツ放射線防護協会は11月27日に緊急勧告を発している。放射線防護に
おいては、汚染されたものを汚染されていないものと混ぜて希釈し通用させる
ことを禁止する国際的合意がある。日本の瓦礫処理や食品基準はこれに接触す
ると指摘。
チェルノブイリ以降、わかってきたのは幼いものたちがこれまで考えられて
いた以上に感受性が高く低い線量で影響を受けていることだ。このことを考慮
して乳児用食品は大人の半分の50ベクレルにしたと厚労省は説明している
が、先の明治の粉ミルク「ステップ」で判明した30.8ベクレルくらいの汚
染があっても今後ずっと許容されることになる。ミルクは薄めて飲むからとい
うが、小さな体にそれだけを飲むのだし、体内被ばくは避けられない。乳児用
食品は限りなくゼロに近い基準であるべきだ。日本では汚染されていない原料
の入手は可能なのだから。
基準値が緩いと、汚染の低いものと混ぜることで基準を容易にクリアーでき
てしまう。厳しい基準ではそれが困難になる。なによりも放射性物質につい
て、希釈すれば安全という誤った認識は払拭されなければならない。そして内
部被ばくを容認するような基準は改めさせねばなりません。
★2.<テント日誌 12/21(水)>
テント前で反原発アピール 目白押しの年末への企画
―― 経産省前テントひろば 102日目 ――
12月21日(水) 空はどんよりした鉛色。午後になって晴れ間が見え始め、
だんだんに広がる。
ドイツの芸術家がテント訪問。31・11皆さんはどうしていたのですか、テ
ントはどういう風に出来たのですか当等熱心に取材。女性テントでも椎名さんに
熱心に取材があったとのこと。海外の方々に一層有名になるのかなー。 今度
12月27日(火)pm3時~5時に、テント談話室「放射能と月と再生語り合おう
再生可能文化 を!」を開催される川元祥一さん(作家、ルポライター)が、下
見を兼ねてテントに来訪。 夕方はテント前で、テントひろば主催の反原発アピ
ール。冷温停止宣伝怒りのアピール。被曝労働問題の院内集会報告、福島出身メ
ンバーは、その当事者として、母として、妻として、女としてのアピール。線量
の高い千葉メンバーからは、きちんと対応しない森田県政批判も。道行く人々に
ア ピール。テント前もすっかり冬景色になってしまった。経済産業省前もほと
んど枯れ葉は無く、冷たい風がアスファルトの上を舞う。午前3時の見回り。寒
い。経済産業省、文部科学省、外務省ビルにはまだ灯りがついた部屋が。テント
に戻り朝まで、語りこんだ。
( T・H )
年末までテントでの企画は目白押しである。 23日(金・祝)は、いわき市
からリゾート施設「ハワイアンズ」のフラガールの有志がやって来て、 古
代フラダンスを披露する。テントには過去に2度来ておられる。 (pm2時~)
24日(土)は、兵庫から平和のピアニスト池邊幸恵さんを迎えて、クリスマ
スコンサート。(pm3時~) 26日(月)は、群馬からギタリストの南條倖
司さんが、まあさんと一緒にやってきて、ギターと歌を 披露する。(pm
2時~) 27日(火)は 上でも触れた川元さんのテント談話室 第1回「半減
期に学ぶ」 (pm3時~) 28日(水)は 「女たちの御用納め行動」 福
島から大型バスをチャーターして駆けつけてくるとのこと。 12時東電前
に集まる → 経産省前テント という行動予定です。 その後もまだまだ続
きますが、とりあえず。
( Y・T )
★3.メルマガ読者から講演会のお知らせ
イ.さようなら原発 鎌田慧 江東講演会
「脱原発社会に向けて~福島原発事故が問いかけるもの」
1月30日(月)18時半開始 江東区総合区民センター・第5会議室(都営
新宿線「西大島」駅の上)参加費500円
主催:さようなら原発一千万人署名江東実行委員会
連絡先:03-3638-3366(江東ユニオン)
ロ.テーマ『隠された内部被爆の危険』
講師:矢ケ崎克馬氏(琉球大学名誉教授)
日時:2012年2月12日(日)14時半~17時
場所:四ツ谷ニコラバレ9階ホール
(四ツ谷駅 麹町口すぐ前)
申込:不要
資料代:500円
(ただし被災された方、避難しておられる方は無料)
"年間100ミリシーベルト以下の健康被害はわからない"と
信じている方、それは"わからない"のではなく"隠されてきた"のです。
意図的に隠されてきた内部被爆のメカニズムを知り、
子ども達とその未来を守るために力を合わせましょう。
主催:脱原発・自然エネルギーを考えるカトリック市民の会
共催:カトリック東京正義と平和委員会
連絡先:090-4396-7446 三上
l.ermitebethanie@ae.auone-net.jp
★4.新聞・雑誌から
イ.脱原発を国策にして原発からの計画的な脱却を
負の遺産である放射性廃棄物処理の問題に真面目に取り組むべき
チェルノブイリ被害視察の福島県調査団―清水修二団長に聞く
福島県のチェルノブイリ原発事故調査団が十一月、深刻な被害を受けたベラル
ーシ、ウクライナを視察した。現場には石棺で覆われた事故炉が残り、放射性物
質で汚染されたとされる地域にはなお、ベラルーシだけで約百十四万人が住み続
ける。福島第一原発事故で放射線による汚染との"共存"を強いられた福島県はチ
ェルノブイリから何を学ぶのか。調査団長の清水修二・福島大学副学長に聞いた。
「チェルノブイリ原発から約三十キロのベラルーシ東南部コマリン村では、学
校に放射性物質についての情報センターが設けられ、子どもたちが各家庭の食料
品を持ち寄っては測定器に入れ、放射線量を調査していた。測定器は円換算で一
台数十万円ほど。福島市長にさっそく、測定器を福島市内すべての学校に設置し
てはどうかと提案した。ベラルーシでは農地の除染は行っていない。一方で平均
十一ヘクタールごとの区画に分けて詳細な汚染地図を作り、汚染の状態と土壌の
性質を見た上で、作目を選びながら耕作を進めていった。ゼロか百かという考え
方ではなく、これは福島の農業復興にとって参考になる。(村域の一部が警戒区
域に指定されている)川内村の遠藤雄幸村長が"(毎時放射線量が)一マイクロ
シーベルトでも村に戻れますか"と質問したのに対し、ベラルーシの専門家は、
被ばくリスクのほとんどは内部被ばくによるもの、と説明していた。内部被ばく
の大半は食物経由で、空間線量による外部被ばくに比べ、コントロールしやすい。
学校など身近な場所で、自分で測って納得できる仕組みをつくることが重要だ。
(中略)福島第一原発事故で、一万人を超える子どもたちが福島県外に出て行っ
てしまい、事故前約二百二万人だった県の人口は百九十九万人を割ってしまった。
避難した人としない人などの人間関係の分断も起きている。"脱原発"を国策に位
置付けて原発からの計画的な脱却を図り、負の遺産である放射性廃棄物処理の問
題に真面目に取り組むべきだ」
(11.12.19. 東京新聞『こちら特報部』より抜粋)
ロ.再稼働推進論に打撃 耐震指針見直しも
大量水漏れ裏付け 炉心溶融の引き金か―「国会事故調 徹底調査を」
東京電力が声高に主張し続ける「津波原因説」に風穴があいた。経済産業省原
子力安全・保安院が、福島第一原発1号機の原子炉系配管に地震の揺れで亀裂が
入った可能性のあることを認めたのだ。地震で重要機器が損傷したとなれば、津
波対策だけでお茶を濁そうとする原発再稼働計画は破綻する。なぜ保安院は、今
になって全原発が長期間停止しかねないような見方を示したのか。
今月六日、東京・永田町の衆院第一議員会館。民主党の川内博史衆院議員は、
保安院の担当者と向き合っていた。いずれも元原発エンジニアで、福島第一原発
の設計にも携わったサイエンスライターからの田中三彦、沼津工業高等専門学校
特任教授の渡辺敦雄の両氏が同席していた。保安院から示されたのが「福島第一
原発1号機 非常用復水器(IC)作動時の原子炉挙動解析」。最後にこう結論
付けていた。「破損による漏洩等の可能性が議論されているため、漏洩を仮定し
た感覚解析を行った。漏洩を仮定した感度解析を行った。漏洩面積0・三平方セ
ンチ以下の場合は、原子炉圧力・原子炉水位のp解析結果と実機データとに有意
な差はない」難解な表現だが、要するに、地震によって原子炉系の配管に0・三
平方センチの亀裂が入った可能性があるということだ。0・三平方センチという
と、ごくわずかな印象を受けるが、「ヘアクラック(髪の毛のひび)」という言
葉もある原発の世界では非常に大きな穴だ。一時間当たり何トンもの水が噴き出
し、炉心溶融につながる冷却材喪失事故の引き金にもなる。
川内氏は「東電は事故原因を津波と決め付けてきたが、地震による重要機器の損
傷の可能性を否定できなくなった」と力を込める。
"物証"ない津波原因説
可能性ではあるが、津波原因説も一つの仮説にすぎない。"物証"がないからだ。
原子炉内は今後十年、あるいは二十年は人が立ち入ることはできない。仮にカメ
ラなどで確認できたとしても、断熱材などで覆われた配管の細部までは分からな
い。「だからこそ、あらゆる可能性を否定してはならない」(川内氏)(略)で
は、なぜ東電や保安院は「津波原因説」に固執するのか。地震の揺れは、1号機
では耐震設計の基準値内だった。この程度の揺れで配管が損傷したとなれば、
「ストレステスト(耐性評価)」はもちろん、現行の「耐震設計審査指針」の全
面見直しはすべての機器の取り換えが必要になるかもしれない。再稼働をもくろ
む保安院、責任回避に躍起の東電は、そう簡単には「地震原因説」に乗れない。
【デスクメモ】今回の件でよくわかったのは、東電が発表する"原子炉の状態"と
は、計算の結果にすぎず、入力条件を変えてしまえば、どんな結果でも導き出せ
るという事実だろう。つまり誰も真実をわかっていないのだ。政府は、これで冷
温停止状態を宣言するというのだからあきれる。暴走としかいいようがない。(.
『こちら特報部』東京新聞12.15.より抜粋)
ハ.日本版ピュリツァー賞「原発崩壊」樋口さん受賞
原発労働者を四十年近く撮り続けてきたフォトジャーナリスト 樋口健二さん
(七四)が、「平和・協同ジャーナリスト基金(PCJF)」の第十七回大賞を
受賞した。同賞は市民が選ぶ日本版ピュリツァー賞と言われ、反核・平和、協同
・連帯、人権擁護などに寄与したジャーナリストらに贈られる。樋口さんは一九
七四年から電力会社の下請けや孫請けなどとして働く被曝労働者をカメラで追い
続けてきた。七七年には報道カメラマンとして初めて定期検査中の原発内部に入
り、パイプや床などに付着した放射能を雑巾などで拭き取る労働者の生々しい姿
を撮影した。(略)樋口さんの地元、東京都国分寺市では「写真展を開催する市
民実行委員会」(委員長・汐見稔幸白梅学園大学学長)が結成され、来年三月二
十七日~四月一日に同市東元町二の「カフェスロー」で写真展が開かれる。(略)
樋口さんは「『原発崩壊』は、ぼろ雑巾のように捨てられた被曝労働者たちの鎮
魂の書です。原発をやめて、あるべき本当の日本をつくりたい」と挨拶した。
(11.12.15.東京新聞より抜粋)
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