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ニュークレール情報板
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たんぽぽ舎です。【TMM:No1413】
2012年4月6日(金) 地震と原発事故情報
                               転送歓迎
━━━━━━━
★1.放射性セシウムの食品新基準は
    内部被爆犠牲者を出すことを容認するもの
    ─(安田節子 食政策センター・ビジョン21)
★2.<テント日誌 4/3(火)―経産省前テントひろば206日目―>
━━━━━━━
 
 
┏┓
┗■1.放射性セシウムの食品新基準は
 │   内部被爆犠牲者を出すことを容認するもの
 └────(安田節子 食政策センター・ビジョン21)
 
 4月1日より食品中の放射性物質の新基準がこれまでの暫定基準に代わり
 施行された。
 
 ○放射性セシウムの新基準値
   食品群    基準値 (単位:ベクレル/kg)
  ------------------------------------------
   一般食品   100
   乳児用食品   50
   牛乳      50
   飲料水     10
  ------------------------------------------
 
 1.原発事故後のもっとも重大な被ばく源は食品からの体内取り込みだ。放
  射線防護の観点から、いかに国民の内部被ばくを防ぐかという思想に立っ
  て基準策定されるべきところ、新基準は内部被ばくの犠牲者を出すことを
  認めるものとなった。
 
  放射線の影響には閾値がないのだから、限りなくゼロを目指して国民の内
  部被ばくを防ぐ基準を定めるべきだ。その数値にもとづき市場流通前にふ
  るいわけ(スクリーニング)の全ロット測定が実施され、超えたものは東
  電賠償対象とし、基準以下のものだけ市場に流通する体制を構築するのが
  政府の責務ではないか。
 
  日本の公衆の被ばく限度は年間1ミリシーベルト以下という法律の定めが
  ある。しかし、1年間運用された暫定基準は、食べる食品の半分が基準ぎ
  りぎりだとして年間17ミリシーベルトの被爆を認めるものだった。これ
  は非常事態の介入値で、安全濃度を示すものではないと政府がいうように、
  途方もない緩い値であった。新基準は、セシウムについて5分の1に引き
  下げたというが、暫定基準が途方もない数値であるから、引き下げたと
  いってもなお高過ぎる。
 
  また主食の米について、一般食品と別に厳しい数値が設定されるべきだっ
  た。100ベクレルぎりぎりの米を誰が食べたいと思うだろうか。ウクラ
  イナ、ベラルーシでは主食のパンには一般食品より低い基準を定めている。
  流通する米は一桁レベルの規制値にしない限り、生産者も米流通業者も消
  費者の懸念のはざまで対応に苦慮するだけだ。
 
 2.セシウムの基準値のみで、ストロンチウムなど他の核種の基準値が定め
  られていない。政府はセシウム値に他の核種を比率に応じて考慮している
  と言い訳をしている。同じ理屈で暫定基準のときもストロンチウムの基準
  は示されなかった。基準値がなければ考慮されず、検査体制の構築や実質
  的規制はなされない。わけてもストロンチウムの基準は不可欠だ。なぜな
  らストロンチウムは作物のみならず、魚介類にも取り込まれやすい。事故
  後1年から2年に魚の汚染のピークが来ると言われている。計測器配備や
  検査体制に費用と労を惜しむようでは、本気で被爆防護を考えているとは
  思えない。ストロンチウムはベータ線核種であるため体内への摂取後に毒
  性を示す。化学的性質がカルシウムに似ているため、骨に蓄積される。そ
  のため生物的半減期が長く、セシウムと異なり次第に蓄積されていく。食
  品にわずかしか含まれていないとしても危険性が高くなるのだ。
 
 3.乳児食品と牛乳に50ベクレルはとうてい許容できない。ゼロであるべ
  きだ。細胞分裂が活発で成人の何倍も影響を受ける乳児や子どもたちを内
  部被ばくから守るためにはゼロ基準でなければならない。しかもゼロ基準
  の達成は不可能ではない。乳業メーカーは輸出向け粉ミルクは汚染ゼロを
  保障して輸出しているのだ。現在、乳業メーカーは多くの酪農家から集め
  た原乳をクーラーステーションでミックスした後、計測している。高い汚
  染の原乳があっても薄まり規制値をクリアーすればよしとしている。酪農
  家の牛を個別に検査し、汚染牛を特定するというきめ細かい作業を続けれ
  ば、汚染のある原乳の混入はなくなる。牛乳だけでなく米も茶も同様で、
  きめ細かな測定による汚染源の特定と排除が最も被ばく防止に有効だが、
  それはコストがかかるからしないで、ミックスして基準値以下に薄まれば
  よしとする業界にやさしい食品流通規制を続けていては国民全体が内部被
  ばくさせられるのは必至だ。
 
 4.飲料水の10ベクレルはあまりにも高い。 ちなみに飲料水の基準は米国
  0.111ベクレル、ドイツ0.5ベクレルだ。現在いずれの浄水場も計測値は検
  出限界以下となっている。検出限界値は小数点以下だ。実現できている小
  数点以下の規制値にすべきだが、なぜしないのか。あえてWHO基準の高
  い数値を持ってくる意図はどこにあるのか。再び飲料水の汚染が起こりう
 ると想定しているのかもしれない。
 
 5.幼児、子ども、妊婦への配慮がない  乳児食品と牛乳以外の一般食品
  はおしなべて100ベクレルだ。半分は汚染のない食品で、残り半分がこ
  のレベルぎりぎりの食品を摂取したとする前提で一般食品に割り当てる線
  量は、1mSv/年から「飲料水」の線量(約0.1mSv/年)を差し引いた約0.9
  mSv/年としている。これは内部被ばくだけでだ。
 
  ドイツ放射線防護令では、公衆の年間放射線被ばくの制限値を0.3ミリ
  シーベルトとしている。この基準を守るためには、セシウム137の制限
  値は子どもと青少年に対しては食品1キロ当たり4ベクレルを、大人は8
  ベクレルを超えるべきではないと勧告している。それでも年間0.3ミリ
  シーベルト被ばくすると国際放射線防護委員会(ICRP)のリスク数を
  使用した場合、10万人当たり1~2人が新たに癌で死亡する結果となる。
 
  日本は半分は汚染していない食品という前提だから、ドイツ放射線防護令
  からすると、6倍くらいになるのではないか。日本の年間1ミリシーベル
  トの被ばく限度はICRPの基準を参考にしている。放射線防護の考えは
  出来る限り被ばくは最小化するという原則があったが、ICRPは
  「ALARA(As Low As Reasonably Achievable)」Reasonablyを挿入
  したアララの原則にすり替えた。合理的、現実的に達成できる限り、低く
  というもの。「合理的」とは経済性の観点から決められる。
 
  新基準は明らかに経済性優先で放射線防護がその下に置かれている。日本
  政府はアララの原則に則って基準を決めている。多くの内部被ばくの犠牲
  者を生むことを承知しての基準であり、とうてい納得できるものではない。
 
 6.米、牛肉、大豆については、米、牛肉は2012年9月まで、大豆は12月ま
  で暫定規制値500ベクレルの適用が続く。
  また加工食品については、3月31日までに製造、加工された食品は暫定規
  制値を賞味期限まで認める 9月30日までに製造、加工された米、肉を原料
  とする加工食品は賞味期限まで認める 12月31日までに製造、加工、され
  た大豆食品は賞味期限まで認めるとなっているため、2本立ての基準とな
  り、500ベクレルの食品も流通することになる。注意が必要だ。
 
  それにしても現状は加工食品原料やコンビニ弁当など放射能検査はほとん
  どされていない。食品企業やコンビニ各社に新基準より厳しい自主基準を
  定め、放射能検査体制を敷き、数値を公表するよう電話を集中させよう!
 
 
┏┓
┗■2.<テント日誌 4/3(火)―経産省前テントひろば206日目―>
 │   春の嵐に負けないテント
 │   4/15伊方現地集会への派遣を決定
 └────(M/O)
 
「春一番が吹かなかった」代償か、大気が放射能汚染に怒っているためか「春
の嵐」がやってきた。天気予報で知らされていたため、朝から防御対策が講じ
られた。
 以前に台風に見舞われて時は一時テントをたたみ猛烈な雨風をよけたが、今
回はそうはいかない。テントも三つに増えたし、荷物も結構な量になった。そ
れに経産省側が虎視眈々と機会をうかがっていることもあり、たためないので
ある。第一テントの下幕の二隅をたくし上げ風の通り道を作った。当然、雨が
吹き込まれるので荷物にはシートを被せ重荷を付けた。第二テントも第三テン
トも強風対策を施した。
 
 予報通りに3時ころから風も強まり、雨も降り始めた。テント防衛に参加し
た30数名は雨の吹き込むテントに座り込んでいた。テントの対面は外務省で
あるが、桜が満開に近い。雨のぱらつく中で見事な桜がいやがおうでも目に飛
び込んでくる。思わぬ花見となったが、こんな花見は初めてだ。「花も嵐も踏
み越えて行くがテントの…」なんてセリフが自然に口から出た。それぞれ、ど
こか緊張しながらも愉しそうでもある。
 
 滑稽な役割を演じたのは経産省の連中である。彼らはテント防御のために立
木に結んだ紐を取れと強固に迫ってきた。例の如くビデオカメラを回しながら
である。我々はこんな事で喧嘩するのもアホらしく紐を解いたが、残っていた
のを目ざとく見つけ切断した。こんなところだけ意地悪く強固になる経産省の
面々って一体何なのだろうか。
 朝、見ると外務省前の桜は風に吹き散らされた薄くなっていた。やはり、今
年の桜もかわいそうだ。
 
 予報では9時ころが雨風のピークとあったが7時前後に早まったようだった。
その首相官邸では大飯原発の再稼働についての4閣僚会議が開かれていた。今
会議で再稼働の政治判断は先送りされるということが朝日新聞等で報じられて
いたが、結果はその通りであった(4月4日付け全国紙の朝刊)。
 大阪・京都・滋賀のどの近県の反対が強まり、また、国会でも各議連の動き
が活発になっている。国民の再稼働反対の意志や声が強くなっていることが根
底にある。原子力安全―保安院のお墨付きで「再稼働ありき」に進む野田首相
に国民の怒りが強まっているのだ。再稼働派の巻き返しも予測されるから、油
断はできない。
 原発ゼロに向け国民の声を結集し5月5日に進みたい。。
 
 テント内では強い雨や風の中でテント運営委員会が開かれた。5月5日の
「原発ゼロ」に向けての方向の確認であるが、大飯原発3・4号機の再稼働が
困難になると、今度は伊方原発3号機が狙われるのではないかということが話
題になった。過去にも伊方原発が突破口的な役割を担わされたことはあるわけ
で今回も警戒する必要があるという声が出た。
 そして、伊方の現地で開かれる4月14日・15日の現地集会のテント前ひ
ろばからメンバーを派遣することにした。現地との連帯を強めて行きたいと思
う。テント前ひろばは政府の動向を注視しつつ原発の存在する現地も方々との
連携を強めていきたいのである。
 
 今日のテントの宿泊は臨時の体制となりいつもより多くのメンバーが残った。
テント内ではまず消灯前までの議論が続いた。「日の丸」についての議論が多
くでるようになったのは時代の反映だろうか。
 「40 代以下の人たちとの考えの食い違いを意識してはいる」と書いたこと
があるが、その違いの一端を日の丸についての意識はあらわしているのかもし
れない。僕らは日の丸をあまり意識せず、意識するときは否定的な側面が強い
が、若い世代はどうなのであろうか。ナショナリズム(国家意識)も含めてこ
このところは考え聞いて見たいところである。
 今日は寝るところも狭く、不寝番の人が多く残ったので消灯時間後の議論も
続いた。年を取ってもこんなに議論が好きであるのはいいことなのだろう。こ
れも若いころからの知的貯金のためかも知れない。
 【訂正】4月1日のものが「経産省前テントひろば203日目」となってい
  ましたが、204日目の間違いでしたので、訂正します。4月2日のもの
  は、205日目が抜けていましたので、加えておきます。
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